●ふるさと再発見  島原の謡曲「白雀(はくじゃく)]  島原半島に残る能の謡本として「白雀」があります。内容は雲仙に伝わる「白雀の乱」を素材としたものです。『深溝世紀』に載せる伝承によれば、元亀年間(1570〜72年)満明寺の瀬戸石原と別所の2つの僧坊にいた稚児同士が一羽の白雀をめぐって争奪闘争を起し、これが起因となって山内の内乱に発展しました。当時の領主・有馬義純(ありま よしずみ)は、兵三百を遣わして鎮圧したというのです。これが世にいう白雀の乱です。乱の要因を作った稚児は捕縛(ほばく)され、稚児落しの滝に投げられたといいます。 また、白雀も地獄に堕ちて、雲仙地獄の「雀地獄」、「児遊(ちごあそび)」として語り継がれています。  謡曲「白雀」は地獄に堕ちた白雀が僧侶の読経によって救済される内容となっています。台本の一本は『島原半嶋史』(上巻)に収載されています。長い間上演されたことはありませんでしたが、島原宝生会に伝わる謡本に手を加え、平成20年に復曲されました。そして平成27年10月には島原城天守閣復元50周年記念祝謡として島原城薪能の舞台で発表されました。  謡曲本「白雀」の諸本として「温泉」もあります。元長崎県庁兵事課に保存してあった「白雀」を修正して昭和5年に「温泉」と改題した謡曲本です。両本に共通するのは、物語に登場する2人の稚児であり、瀬戸石原の稚児の名を「学一丸」、別所の稚児を「桜若」(一説に宝寿丸)としています。ふるさと独自の謡曲として語り継いでいきたいものです。  肥前島原松平文庫長・根井 浄(ねい ひろし) (絵)白雀の乱を語る謡本 ●地域おこし協力隊コラムG    こんにちは。地域おこし協力隊の松原正武(まつばら まさたけ)です。地域おこし協力隊として1年が過ぎました。  当初は、島原という初めての土地で、期待と不安が半分半分でしたが、今では楽しく過ごすことができています。  島原の第一印象は、街を見守りながら、雄大にそびえたつ眉山と平成新山が素晴らしい景観ということです。有明海と眉山、平成新山という自然に囲まれた土地での新生活に胸が躍りました。  そして、私にとって何よりも心をつかまれたのは「住まい」です。この建物は大正時代に建てられた趣のある貴重なもので、毎日を老舗旅館に泊まっている感覚で過ごしています。  この1年間の活動としては、四季をテーマにした写真集をはじめ、さまざまなところに出かけて、写真や動画を通して島原の魅力を発信したほか、ジオパークの発展のために活動したり、島原城薪能などのイベントにも 参加してきました。  島原の自然や伝統文化に触れ、また、市民をはじめさまざまな人の協力を得ながら活動することができ、貴重な経験をした1年間でした。  今後の取り組みとしては、映像、写真関係やジオパーク関連にさらに力を入れて島原のことをもっとPRしていこうと思っています。  特に、島原半島ユネスコ世界ジオパークは、島原半島の貴重な資源です。この資源を生かしながら映像や写真を通して情報を発信していきます。 ▼問い合わせ先 政策企画課(62−8012) (写真)有明海を眼下に雄大にそびえたつ眉山と平成新山