●ふるさと再発見 ▼「花祭り・卯月八日」  4月8日は花祭りです。各地の寺院で行われるお釈迦様の誕生を祝う行事です。島原でも古くから盛んであり、昭和16年の当時の地元新聞には島原仏教連合会主催の花祭り法要が浄源寺で営まれると報じています。  花祭りは仏生会(ぶっしょうえ)、降誕会(ごうたんえ)とも呼ばれます。誕生仏(釈迦仏)の頭から甘茶をかけて祝福する行事です。したがって灌仏会(かんぶつえ)とも称します。「灌」は注ぐの意味です。古くは5種の香を混入した水を用いていましたが、江戸時代から甘茶に変わりました。参詣者は甘茶を持ち帰って飲む風習が社会に定着しました。  雲仙・満明寺の『島原御領温泉山起立書(しまばらごりょううんせんざんきりつしょ)』には「毎年四月八日佛生日」とあり、多くの参詣者があり、町村の商人たちの露店が立ち並び賑わいました。  いっぽう民衆の間では卯月八日を「山登り」とか「山遊び」と称して近くの山に登り、花を摘んで来て仏前に供えたり、高い竿に挿して庭先に立てたりしました。これを纒頭花(てんとうばな:天道花)と称します。もともと若い女性が花を手折って来たもので、庭先に立てたりするのは、この家に未婚の娘がいることを告知す る標識でもありました。  島原半島では、花は雲仙の山躑躅(やまつつじ)であったと伝え聞いています。また、山岳霊場では4月8日から山開きであり、花を摘んで諸堂社に供える修行がありました。この修行僧は花摘衆(はなつみしゅ)、花衆(げしゅう)と呼ばれ、『平家物語』( 巻2)には夏衆(げしゅう)と見えています。4月8日の花祭りは日本文化のさまざまな基層を残しているのです。  肥前島原松平文庫長・根井 浄(ねい きよし) 白像に花御堂を乗せた花祭り行列 昭和46年頃(写真提供 浄源寺) ●地域おこし協力隊コラムH  地域おこし協力隊 光野 竜司(みつの りゅうじ) ▼地域での起業  地域おこし協力隊として移住して1年が経ちました。この1年は大きな転機となり、また、充実したものでした。昨年、農家の人たちと「株式会社トトノウ」を設立し、「しまばら野菜」を全国へと広めるために日々活動しています。  活動する中で感じたことは、島原ならではの良さ、可能性が秘められているように思います。会社の規模ではまだまだですが、地域の人たちに恵まれ、この先の展開へ向けて有意義な時間を過ごしています。 ▼地域の埋もれた資源  都会で起業するといっても各業種で飽和状態にあり、斬新的、革新的なアイデアは成功するために必要不可欠です。私自身も東京で多様な業種にチャレンジしてきましたが、これといってしっくりするものに出会ってきませんでした。  島原に移住してみて気付いたことは、価値ある資源を十分に活用できていないということです。地元の人たちからすると当たり前の日常の中に埋もれてしまっているものが、風景や産業など、私の目から見るともったいないと感じる ものばかりでした。まさに温故知新の体験がたくさんあり、地域の中に埋もれている資源を活用するチャンス、アイデアが次第に湧き出してきます。 ▼株式会社トトノウ  私が地域の農家の人たちと一体となって設立した法人です。  生産者と消費者の良い関係を構築するため、都会からは馴染みのない「しまばら野菜」の販売を通じて農業の未来に向けた形づくりを目指しています。  興味のある人はぜひ一度、次のホームページをご覧ください。 ▼問い合わせ先 政策企画課(62−8012) トトノウOnlineShop https://to-to-nou.com(73-9423) (写真)トトノウが販売している地元で採れた新鮮な農産物