◎輝く島原人 THE SCENE Vol.03 島原に生きる  広報しまばらでは、生き生きと活動し、楽しみながら社会に貢献する人生の達人たちを「輝く島原人」として紹介しています。  第3回目はふるさとをこよなく愛し、さまざまな活動を通して、ふるさとを広く発信している。大好きなふるさとを伝えたいと話す金子 加代子(かねこ かよこ)さん(74)を紹介します。 「人生の達人」金子 加代子(かねこ かよこ)さん(74)  昭和18年、7人兄弟の3番目として中国大連市桔梗町で生まれ、終戦を機に引き揚げる。新上五島町(旧魚目村)で育ち、上五島高校卒業後、教諭として約21年間教壇に立つ。結婚後、旧有明町民となり、退職してからは、旧有明町教育委員会社会教育指導員として婦人会の育成など約23年間務めた。ふるさとをこよなく愛し、さまざまな活動を通して、ふるさとを広く発信している。有明町湯江在住。 ▼幻の反物「島原木綿」の反物を継承  400年の歴史がある幻の反物「島原木綿」。島原木綿は平成22年に市の無形文化財に指定され、県内で唯一の機織り技術で大変貴重なものです。その「島原木綿」を再現し、技法の継承に取り組んでいる「島原木綿保存会」の会長として活動している金子さん。島原木綿は藍染めの濃淡による美しい縦縞と丈夫で長持ちが特長 で、「一本の道も間違ってはいけない。人が生きる道と同じ」と先人から教えられたとおり、反物を仕上げるためには、17の工程を確実にものにしながら織り上げていかねばならず、一本一本と語らいながら、糸がいうことを聞いてくれなければ作業ができないほどの繊細さが求められます。  「とにかく根気がいる仕事で、それぞれの過程で大変なこともありますが、理想の縞をイメージしながら織るので、想像の喜びを感じながら楽しく織ることができています」と話す金子さん。  機械化になった現代だからこそ、先人の人間性のすばらしさや手織り機の巧妙さを実感しているそうで、「これからも、当時の人々がどんなに大変だったか思いを馳せながら、昔の技術を継承するとともに、現代にあった、軽やかな透明感のある新しい縞にも挑戦していきたいです」と意気込みを語ってくれました。 ▼ふるさとを語る  幼少のころから本が大好きで、教諭になってからも子どもたちに本の素晴らしさを伝えたい幻と思っていた金子さんは、平成元年に結成された「有明童話の会くすのき」では副会長として精力的に活動しています。  本の読み聞かせだけでなく、子どもたちに民話を残すため、島原半島の民話を掘り起こしています。これまで発掘した島原半島の民話は150を数え、現地で民話を語り、映像で末永く残す取り組みも行っており、島原半島の歴史や風土から生まれたふるさとの民話と島原半島ジオパークの魅力ある風景を取り上げたFMラジオ番組「民話そこここバーチャルジオツアー」を通してジオ民話を世界に発信しています。  「民話は祖先からのメッセージ」という言葉を大切にして「子どもたちの心にふるさとを根付かせたい思いで、これからも民話を語っていきます。また、いずれ巣立っていく子どもたちが、生まれ育ったふるさとに愛着を持ち、いつまでも記憶に残してくれるとうれしいですね」と話してくれました。 ▼歌と踊りでふるさとを発信  約23年間、社会教育指導員として婦人会の育成などにかかわってきた金子さんは、平成11年の有明総合文化会館の落成を契機に婦人会を中心として結成された「平成ありあけ音頭継承グループ」の一員としても活動しています。  しまばら温泉不知火まつりなどのイベントで披露している「平成ありあけ音頭」は歌詞にふるさとの風景や生活の様子が織り交ぜてあり、歌と踊りを通してふるさとの素晴らしさを伝えています。また、自身が作詞・作曲した「寒ざらしの歌」は、「民話そこここ(銀水のかんざらし)」を制作する過程で自然につぶやいて出た 歌で、しまばらの湧水と島原名物の寒ざらしをイメージさせ、楽しく歌える曲です。一人でも多くの人に聞いてもらって元気になってもらいたいですね。 ▼幸せさがし  戦時中に中国大連市で生まれた金子さんは、幸せ探しをすることが多く、産んでくれた親に感謝し、自然に恵まれたところで生かされ、安心して住めるところがあることの有難さを感じ、今できることを一生懸命にやってるそうです。 ▼ふるさと大きみ〜んなで?  「これまでやって来られたのも、家族の理解や周りの皆さんの支えのおかげだと感謝しています。何かをキッカケに人と出会い、仲間と一緒に頑張れることが幸せです。これからも人との出会いを大切にして、さまざまな活動を通し、人情味あふれる『大好きなふるさと島原』を広く伝えていきたいです」と笑顔で話してくれました。 (写真1)機織り機に座り笑顔で島原木綿を織る金子さん (写真2)幻の反物「島原木綿」3種類の反物 (写真3)FMラジオ番組「民話そこここ」でジオ民話を語る金子さん (写真4)寒ざらしの歌 歌詞    1番 まん丸プワプワ寒ざらし ヨイヨイ       とろりふんわり 丸い玉       ジオの恵みのうまか水       島原名物たべてみて       寒ざらし寒ざらし    2番 白くてプワプワ寒ざらし ヨイヨイ       ころころころがる口の中       ジオの恵みの水の音(ね)に       島原よかとこ響きあう       寒ざらし寒ざらし