◎輝く島原人Vol.44 「想いは風化しない」~御霊に捧ぐ地域の絆~  広報しまばらでは、生き生きと活動し、楽しみながら社会に貢献する人生の達人たちを「輝く島原人」として紹介しています。  第44回目は、雲仙・普賢岳噴火災害の経験から地域防災のために日々活動を続けている横田 哲夫(よこた てつお)さんを紹介します。 「人生の達人」横田 哲夫(71) 昭和25年、白谷町で生まれ、育つ。高校卒業後、県外へ就職。数年後に帰郷し、地元の繊維製品製造会社で定年まで勤務。41歳の時、雲仙・普賢岳噴火災害を経験。後に本市初となる地区独自の自主防災会組織の立ち上げに大きく尽力。安中地区町内会連絡協議会副会長(H25~)、民生委員・児童委員(H30~)、安中地区自主防災会長(H31~)。白谷町在住。 (写真:平成新山を背後に、自宅そばの吉祥白天橋から有明海を望み、微笑む横田さん) ○組織再編への道のり  地元の高校を卒業後、就職のため県外に出ましたが、両親と故郷への想いから島原に戻ってきた横田さん。帰郷後、地元の繊維製品製造会社へ入社し工場長まで上り詰めました。現在も前職と同種の会社を友人と起業し、長年共に働いてきた従業員の皆さんと、仲良く働いています。  39歳のころから白谷町町内会長を務め、地域のために活動し始めた矢先に雲仙・普賢岳噴火災害が発生。自宅は難を逃れましたが、度重なる土石流や火砕流に、自然の脅威をまざまざと見せつけられました。それから生活は一転。警戒区域になった自宅には戻れず、新馬場町など3カ所、計4年半に渡り仮設住宅での生活を余儀なくされました。  災害終息後、全町内会・自治会に自主防災会が組織されましたが、組織の形骸化を日々感じていました。市長を囲む地域懇談会での自身の提案に端を発し、平成31年4月に町内会長と併任しない、専任の自主防災会長で組織する新たな安中地区自主防災会を再編することができました。「災害の風化が叫ばれる中、これで12人の地元消防団員を含む43人の尊い命に対する感謝の思いが、形として伝えられました」と、安堵の表情で組織設立への思いを語ってくれました。 ○二度と犠牲者を出さない強い思い  防災マップの作成や消火栓を使った初期消火活動、防災避難訓練など、現在の自主防災会が出来上がる前から、安中地区独自の活動を地域住民や行政機関などと連携することで、少しずつ防災意識の浸透を図ってきました。  「安中地区は皆さん仲が良いし、つながりを大切にする温かい人たちです。会には元消防署員・元消防団員・元警察官など、防災活動の経験豊富なメンバーがたくさんいるので、これから先も安心して任せられます」と、会長としての素直な思いを話してくれました。  安中地区からもう二度と犠牲者を出さないために、励ましと助け合いの「共助」を大切にし、自力で避難できない人の担当をあらかじめ決めて避難訓練を実施するなど、「自分たちの地域は、自分たちで守る」を合い言葉に活動しています。 「自分たちの命を守るには行政任せではなく、行政と町内会そして自主防災会が共に協力、連携することが非常に重要です。安中地区をモデルケースとして、今後は市内全地区へと拡大していくことで、日本一の自主防災会組織のある島原市に少しでも貢献できれば嬉しいです」と、自主防災会に対する思いを語ってくれました。 (写真1)笑顔や笑いの絶えない職場での朝礼風景 (写真2)自主防災会長として、真剣なまなざしで会議を進行する横田さん