◇輝く島原人Vol.58  大事なことは「ちゃんとやった」と胸を張れる仕事をすること   「人生の達人」宇土 和俊(うと かずとし)さん(62)  昭和34年、有明町大三東で生まれ、育つ。島原農業高校を卒業後、家業である農業を継ぎ、青年期は農業にいそしむ傍ら、青年団や地域活動、スポーツ(相撲、剣道、バレーボールなど)にも積極的に取り組む。高校PTA会長や農業生産部会長などを歴任し、農業はもとより地域のリーダーとして活躍している。  現在は島原市相撲協会会長(H19〜)、県警少年補導員(H1〜)、人権擁護委員(H29〜)を務める。特に相撲競技では長崎県相撲連盟副会長も務め、競技人口の拡大、県内トップレベルの選手育成にも貢献している。  長崎県スポーツ功労者表彰(R3)、長崎地方法務局長表彰(R4)など。有明町大三東在住。 (写真)右上から ・「黒小玉スイカ」を収穫する宇土 和俊さん ・2回目の国体出場時の記念写真(26歳) ・相撲を指導する宇土 和俊さん 「島原の豊かな恵みを全国に届ける」  有明町大三東で農業を営む宇土さん。島原農業高校を卒業後、家業である農業を継ぎ、毎日の農作業に忙しい日々を送っています。ビニールハウスでのイチゴ、メロン、スイカをはじめ、露地栽培ではニンジンや白菜など、多くの作物を栽培しています。 7月中旬からは丹精込めて育てた島原特産「黒小玉スイカ」の収穫シーズンに入り、真夏のビニールハウスの中で汗だくになりながら、一つ一つ丁寧に収穫を行っています。島原の豊かな大地で育った艶やかな黒小玉すいかは、甘みが強く、シャリっとした食感で近年人気が高まっています。 「主に関西方面への出荷となります。収穫のタイミングを把握するため、着果後に一つ一つ目印の棒を立てて管理しています。手間はかかりますが、消費地で島原のスイカは甘くておいしいと言ってもらえるよう、島原ブランドを守るためにも欠かせない作業ですね」とスイカ栽培にかける思いを語りました。収穫は8月末頃まで続きます。 「相撲を通じて学んだ信念」 若い頃から地元の青年団や地域活動、スポーツにも励んできた宇土さん。特に相撲競技においては20代の頃から長崎県代表として国民体育大会に7回も出場し、島原半島はもとより長崎県をリードする選手として活躍しました。相撲を始めたきっかけをお聞きすると「高校3年生の頃に先生から強く勧められて初めて出場した大会で優勝したことが相撲人生の始まりでした。父も相撲で活躍していましたが、実はまわし姿が恥ずかしくて、それまではあまり興味がわかなかったんですよ」と笑いながら話してくれました。 選手としての現役を退いた後も、県相撲連盟の国体強化委員長などを約20年務めるなど、県内トップレベルの選手育成にも貢献し、現在は島原市相撲協会会長、長崎県相撲連盟副会長を務めています。 日頃大切にしていることをお聞きすると「何気なく使われている言葉ですが『ちゃんとやる』ということです。若い頃、相撲の練習後に指導者から言われた言葉ですが、不思議と今も心に残っているんですよ。勉強や子育て、日々の農作業においても。するべきことを『ちゃんとやれただろうか』と振り返り、『ちゃんとやった』と胸を張って言えるように頑張ることを心掛けています。言葉としては簡単ですが、これがなかなか難しいんですね」と、相撲から学んだ人生訓を語ってくれました。