P14-15 ◇輝く島原人Vol.62  まごころ込めて 輪をつなげる   「人生の達人」荒木 學(あらき まなぶ)さん(85) 昭和12年、上天草市(旧天草郡大矢野町)に生まれ、育つ。中学卒業後、調理師を志し、熊本市の和食料理店で修業し調理師免許を取得。 その後、九州商船株式会社に就職し司厨士として従事。26歳で結婚、その後島原に居を構える。司厨長として定年退職するまで39年間、船上での仕事を勤める。 定年退職後は親和町町内会長を4年間務め、趣味の竹細工や、「遊陶会」の代表として陶芸の創作活動や指導も行う。 高齢者の介護予防のために始めた「白山元気会」では活動の指導やお世話役として代表を務める。 元親和町町内会会長、九州海運局長表彰(H5)、運輸大臣表彰(H7)、内閣府エイジレス章(R3)など。親和町在住。 (P15写真左上)○内閣府が提唱するエイジレス・ライフ実践の模範として「エイジレス章」を受章 (P15写真)作品を手に「遊陶会」の皆さんと 前段 ●乗組員の食事を預かる船上生活 上天草市に12人きょうだい(8男4女)の6男として生まれた荒木さん。 「私の実家は食料品から日用品まで何でも売っているような昔ながらの商店を営んでいて、田畑があり、牛や豚も飼っていました。  中学校を出て家業を手伝っていましたが、調理師になるために熊本市内の和食料理店に就職しました」  約3年間の修行を経て調理師免許を取得。その後、商船会社で船長を務める身内の勧めで就職し、司厨士(船内の調理師)として船上生活が始まります。  主に県内航路で従事し、その仕事ぶりが認められ、平成5年には司厨長として運輸大臣表彰を受賞します。 「当時、司厨部門で大臣表彰をもらうのは珍しかったんですよ。うれしかったですね」と、司厨士として勤め上げた39年間を振り返りました。 後段 ●みんなに慕われる「お世話役」として  定年退職後は町内会長(約4年間)を務める傍ら、趣味の時間が持てるようになりました。  手先の器用さを生かして、竹細工や陶芸など、自宅にはたくさんの作品が飾られています。  特に陶芸は会員さんのご厚意で借りている湊町の古民家を荒木さんが自ら改修し、毎週水・金曜日に作陶活動を続けています。 「以前から陶芸には興味があって、市の福祉センターで機能回復訓練として実施されていた陶芸教室に参加したのが始まりでした。  今の場所で活動するようになって約15年になるでしょうか。好きな仲間が集まって楽しく陶芸ができればと思って「遊陶会」と名付けました。  以前はたくさんの会員さんがいましたが、現在は4人で活動しています。道具も揃っているので、もう少し仲間が増えてくれればうれしいですね」と語ります。 また、自身の健康維持や介護予防がきっかけとなり、包括支援センターのサポートを受けて13年前から活動を始めた「白山元気会」でも代表を務め、奥さんと一緒に様々なお世話をしています。 「毎週火曜日に白山公民館に集まって体操や歌、レクリエーションなどをしています。介護予防や認知症の研修会などにも参加しました。 行けば仲間と楽しい会話もできる。家に閉じこもっているような高齢者がいれば声を掛けて誘い出すようにしています」と語ります。 毎日を元気に過ごす荒木さん。 「元気の秘訣は体操のおかげ。いろいろなお世話も苦になりません。私自身楽しみながら、元気をもらっています。 これからも体が動く限りボランティアでも何でも続けていきたいですね」と、優しい笑顔で語っていただきました。