◆P8-9 ◇輝く島原人Vol.72島原に生きる 【子どもたちの笑顔輝く社会へ】 「人生の達人」蒲池 房子(かまち ふさこ)さん(65) 昭和33 年、南島原市口之津町に生まれ、育つ。 地元の高校を卒業後、保育士を志し、長崎県立短期大学へ進学。故郷に戻り保育士として勤務後、結婚を機に島原へ。有明町で夫が住職を務める浄土真宗本願寺派松音寺の坊守として僧侶の資格も取得。 5人の子育てをしながら、お寺が運営する保育園に保育士として勤務。現在は幼保連 携型認定こども園「清華こども園」の園長として日々、幼児への教育・保育に情熱を注ぐ。  令和5年7月からは、「子どもを守る長崎ひまわりプロジェクト」会長として、県内の女性23団体が連携し、子育てにやさしい笑顔あふれる地域社会づくりを目指して活動に取り組む。 長崎県社会福祉協議会表彰(H14)、九州社会福祉協議会連合会表彰(H17)、全国私立保育園連合会保育功労賞(R2)、日本保育協会永年勤続表彰(R4)、九州保育三団体協議会会長功労賞(R5)。有明町松崎在住。 (写真)蒲池さんと園児たち      前段 ●大好きな子どもたちと共に  「高校3年生の夏休みに保育園で働いていた母の手伝いに行く機会があったんです。  そこで子どもたちの可愛いさ、素晴らしさに魅了され、保育士になろうと思いました。  保育一筋に生きてきて40年余り。とにかく子どもが大好きで根っからの保育好き。  保育を語ることは最高の幸せを感じる時間です。」と、笑顔で語るのは、清華こども園長の蒲池房子さんです。  昨年までは長崎の活水女子大学、その前は長崎玉成短期大学の講師として約16年間、保育者を育てる仕事にも携わりました。  「園では子どもたちのエピソードには事欠きません。毎日がドラマです。  幼い子どもたちですがそれぞれに考えがあって、その言葉や行動にはすべて意味があります。  背景には家庭があり、地域があり、人との関わりがあります。  異年齢の子ども、保護者、保育者みんなが「育ち合っている」ということを感じます。  我々も子どもたちから学ぶことがたくさんあるんですよ。」と、語ります。  田植え前の田んぼで全身泥んこになって遊ぶ「泥リンピック」は、20年以上続く園の恒例行事です。  楽しい中にもこういう体験を通じて「ここが自分が生まれ育ったふるさとなんだよ」と、土の感触と共に、心の原風景として記憶に残しておいてほしいという思いで大切に続けているそうです。 後段 ●地域を編む女性たちのネットワーク  県の地域婦人団体連絡協議会、栄養士会、看護協会、更生保護女性連盟をはじめ、県内23の女性団体が連携協力し「地域の子どもたちを守る」という熱い思いのもと、5年前に結成。  会員数は約12万人、蒲池さんはプロジェクトの会長を務めます。  「それぞれの団体が各分野で活動されていますが、これを縦の糸に例え、横の糸を通していく(連携していく)ことで、子どもたちを面で包み、守っていく地域社会にしていきたい、という事務局長の浦川末子先生の言葉に感銘を受けました。  当時、私は県保育協会の女性部会長でしたが、県内のいろいろな専門分野の方々が集まれば、大きな取り組みになると思い賛同しました。」と、結成当時を振り返ります。  地域でのあいさつや声掛け運動を第一に、ひまわりの植栽などを行い、令和3年度からは「健康応援広場事業」として、ひとり親家庭などを対象にフードバンク活動を県内各地で展開。  今年8月には島原市でも実施しました。  「たくさんの皆さまにご協力をいただきました。「困ったときはお互いさま」の精神で協力し合える体制がこの島原にはあることを実感しました。  こうした活動を通じて子育て家庭を地域社会が見守っていく気運が高まっていければと思っています。子育て中のご家庭には「一人じゃないよ、地域のみんなが応援しているんだよ。」ということを知ってほしいと思います。  人と人とがつながり助け合える温かい地域社会になっていってほしいですね。」と、ひまわりプロジェクト活動への思いを語っていただきました。 (写真)ひまわりプロジェクト(集まった食料品の仕分け作業)でお礼のあいさつをする蒲池会長     作業後、協力いただいた参加者の皆さんと記念撮影(前列中央が蒲池会長)