◆P21 ●つなごう!未来へ 島原半島ユネスコ世界ジオパーク ▼問合せ先 島原半島ジオパーク協議会(電話65-5540) ◎大野原遺跡展示館・縄文の里  今回は島原市有明町の有明総合文化会館の中にある「大野原遺跡展示館・縄 文の里」を紹介します。  1996年(平成8年)から約2年間、有明総合文化会館の建設予定地に見つ かった大野原遺跡で発掘調査が行われた結果、有明地区では今から約4000〜 3000年前にあたる縄文時代後期の人たちが暮らしていたことが分かりまし た。  この発掘調査で、遺跡から土器の材料となる粘土を貯蔵した場所(粘土貯蔵 穴)や、地面が赤く焼けた場所(焼土)が多数見つかりました。これらは土器 を作った跡です。有明付近の地表にみられる黒土(クロボク土)は土器を作る には適していなかったため、縄文人は川が削ってできた崖から粘土の地層を見 つけ出し、大野原まで運んで保管していました。雨が少ない時期になると、粘 土貯蔵穴から粘土を取り出し、作業小屋で土器の形に整えたあと、草や泥で窯 をつくって土器を焼いていました。これらの土器の材料となっていた粘土の地 層は、数万年間にも及ぶ年月をかけて地球がつくった“ジオの恵み”です。  館内には、この遺跡から出土した本物の土器片や石器、土偶、石鋸など、先 人たちの生活道具が多数展示されています。これらの出土品を見ると、私たち の先祖は、海にも山にも近いこの地で、時に火山の噴火に対峙しながら、狩り や漁をし、採ってきた木の実を自らが作った土器で煮炊きしながら、生活を営 んできたことが想像できます。何千年も昔から島原半島に暮らす人たちは、 “ジオの恵み”を利用していたのですね。 (写真)「縄文の里」の展示 (写真)「縄文の里」に展示されている土器 ●図書館へ行こう ◎今月の新刊 「ショート・セール」 楡 周平/ 著(光文社) 【内容紹介】  悪質なプロ経営者に潰された父の 仇を打ち砕くべく、1人の辣腕投資 家が立ち上がった。信頼する仲間と 共に、世界経済のトレンドと矛盾を 利用した一世一代の経済ゲリラ戦を 仕掛け…。 【作者紹介】楡 周平(にれ・しゅうへい) 慶應義塾大学大学院修了。著書に「Cの福音」「プラチナタウ ン」「象の墓場」など。 ○島原図書館(電話64-4115)(二次元コード) ▼開館時間 9時〜 18時  ※金曜20時まで ▼休館日 毎週月曜日  30日(木)は資料整理日   ○有明図書館(電話68-5808)(二次元コード) ▼開館時間 9時〜18時 ▼休館日  毎週火曜日  1日(水)・30日(木)は資料整理日   ●発掘をのぞいてみよう! 「一つ一つ大切に! 遺物取り上げ」 昔の人が地面を掘って住 居などを造り、使い終わっ た後には、長い年月の間に 土砂等が堆積します。当時 の人が生活していた痕跡 が、その場所に残る場合が あります。場所の使い方や 物の使い方を知る手がかり として、遺物が出土する位 置なども大切な情報です。発掘調査で遺物が土の中から顔を のぞかせた時に、喜んですぐに取り上げてしまってはいけま せん。竹串などで踏まないように処置し、その後、遺物の位 置や高さを記録するのです。そうすることで、遺物の分布状 況を確認することができ、遺物の集まり方、広がり方で当時 の人の行動などを推察することが可能になります。  遺物の出土状況の実測や写真、出土位置の記録等が完了し たら、遺物を取り上げて大丈夫!取り上げる際もその遺物が どこから出てきたのかわかるように、あらかじめ設定してい た場所を示す番号などを荷札に記入し一緒に保管します。そ の後、遺物の整理や記録の整理などを行い、報告書刊行につ なげます。 (写真)一野遺跡1 号墳 遺物出土状況(竹串部分) 問合せ先 社会教育課