つなごう!未来へ 島原半島世界ジオパーク69 島原半島ジオパーク協議会(65-5540) ●武家屋敷〜湧水と石垣がつくる独特の街並み〜 毎月、島原半島内のジオサイトやその見どころを紹介するこのコーナー。  今回は島原市の代表的な観光スポットの一つ「武家屋敷」です。  武家屋敷は、松倉重政(まつくら しげまさ)公が元和4(1618)年に島原城の築城を始めた際に、下級武士が暮らす住宅地として整備されました。島原城が完成した寛永2(1625)年ごろには、島原城の西側に下ノ丁、中ノ丁、古丁が整備されました。その後、藩主が松平公に変わった後は、下新丁、上新丁、新建、江戸丁、新屋敷が段階的 に整備され、「島原大変」が起こる寛政4(1792)年までに、ほぼ現在の街並みになりました。  この地に暮らしていた武士が鉄砲隊であったことや、建設当初は家の間に垣根がなく、隣の家の中が、まるで鉄砲の筒をのぞくように丸見えだったことから、この屋敷群は「鉄砲町」と呼ばれました。しかし、安永3(1774)年に宇都宮から転封してきた松平忠ただひろ恕公が、「速やかに塀と垣根を作り、宅地の境界を 定めよ」とお触れを出したことから、この翌年に家同士の間に低い石垣と垣根が造られました。  武家屋敷には、幕末に当たる慶応元(1865)年には690戸もの家がありました。ここに暮らす人々の生活を支えるために造られたのが、道の中央を流れる水路です。水路は町並みにあわせて5筋造られ、そこには武家屋敷内にある古丁清水と、杉谷にある杉山権現熊野神社の境内に湧き出す湧水が引かれました。水 路を流れる水は、人々の大切な生活用水であったため、水奉行が置かれ、厳しく管理されていました。  藩政時代が終わり、明治時代になると、垣根は徐々に石垣に代わっていきました。 現在の武家屋敷では、「野面(のづら)積み」「乱積み」、「布積み」、「異形亀甲(きっこう)積み」など、さまざまな組み方の石垣が列を成し、独特の景観を創っています。  これらの石垣を作る溶岩は、雲仙火山から噴出したものです。また、水路を流れる豊富な湧水も、雲仙の山々に降った雨が、長い年月をかけて地中を移動し、地表に湧き出たものです。島原城下400年間の歴史が育んできた独自の景観は、まさに雲仙火山の噴火と、そこから生まれた恵みを活用することによって培われてきたものと言 えるでしょう。次回は「平成噴火の開始」を紹介します。 (写真)下の丁に残る武家屋敷の景観 (写真)武家屋敷に見られる代表的な石垣 ●島原半島ジオパーク検定 参加者募集  今年も、島原半島ジオパーク検定(初級編、中級編※中級編は初級編合格者に限る)を開催します。ぜひ、チャレンジしてください。  ▼と き 11月21日(土) 10 時開場 10時30分〜11時30分  ▼ところ 有明総合文化会館(多目的ホール)  ▼試験問題 「島原半島ジオパークのことがわかる本」2012年度改訂版から70%以上出題します(初級編は全問3 択問題、中級編は問題の70%が3択問題、30%が筆記問題)  ▼検定料 高校生以上1080円、中学生以下540円  ▼申込方法 事務局に備え付けの申込用紙に必要事項を記入の上、申し込んで        ください  ▼申込期間 10月19日(月)〜 11月9日(月)(必着)  ▼申し込み・問い合わせ先 ジオパーク検定事務局(島原半島ジオパーク協議会事務局内 65-5540)  ※「島原半島ジオパークのことがわかる本」は、ジオパーク検定事務局で500円で販売しています