つなごう!未来へ 島原半島世界ジオパーク70 島原半島ジオパーク協議会(65-5540) ●平成噴火のはじまり  1990年11月17日午前3時22分、気象庁雲仙岳測候所(当時)で、火山性の微動(地面の振動)が観測され、同日の午前8時に、2本の噴煙が上がっているのを、雲仙岳測候所が深江町大野木場と仁田峠第2展望台から確認しました。これが平成噴火の始まりです。この噴火には、どのような前兆現象があったのでしょうか。 ▼噴火の前兆現象  噴火が起こる約1年前の1989年11月22〜23日、島原半島の西側に位置する湾の地下で群発地震が起こりました。 群発地震の回数は徐々に増加し、翌年6月には島原半島中央部まで拡大しました。 また、7月24〜25日には、雲仙岳測候所で最大震度3を含む、26回の有感地震が観測されています。活動は消長を繰り返しながら継続し、噴火の1カ月前に当たる10月には、火山性微動の振れ幅が大きくなるとともに、地震の発生場所も徐々に浅くなっていきました。しかし、地上では、噴気の噴出やガスの発生といった異常現象は確認されませんでした。平成噴火はまさに「突然始まった」のです。  この時の噴火は、マグマからの熱によって温められた岩盤と地下水が接触して起こる「水蒸気噴火」でした。  火山性微動や火山性地震は、地下のマグマの動きを教えてくれます。粘り気の強いマグマが地下で動いたり、火山ガスなどが激しく噴出すると、地面が震え続けます。これが火山性の微動です。   1990年11月17日早朝に観測された火山性微動は、まさに噴火の発生を伝えるものでした。また、マグマは岩盤の中に入り込んで新たな通り道を作る際に、岩盤を割りながら上昇してきます。これが火山性の地震を発生させます。    1989年11月に橘湾の地下で起きた群発地震は、マグマだまりから新しいマグマが地上に向かって動き始める準備をしていたこと、その翌年の6月から続いた火山性地震の発生場所の浅所化と火山性微動の範囲の拡大は、地下のマグマやそこから噴き出たガスが、地表に向けて動き出していたことを意味しています。これが、平成噴火に至る前兆現象だったと言えます。  現在の雲仙火山は、気象庁が設定する「噴火警戒レベル1」(活火山であることに留意)で穏やかな状態にあります。しかし、火山性地震は今も発生し続けています。噴火の予兆をとらえるために、九州大学島原地震火山観測研究センターや気象庁は、常に雲仙火山の様子を観測しています。山が平穏な今こそ、雲仙が噴火の前にどのような活動をし、どんな噴火をするのかを知ることが重要です。  平成噴火の開始から25年。これを機に、普段は忘れがちな「雲仙は活火山である」ことを、もう一度心に留めてみてはいかがでしょうか。  次回は、「九州オルレ(南島原コース)」の見どころを紹介します。 (写真)地獄跡火口(手前)と九十九島火口からの噴煙(H2.11.17撮影) ●〜歩いて楽しむ島原半島ジオパークを目指して〜「九州オルレ(南島原コース)」参加者募集  韓国・済州島から始まり、トレッキングコースの総称として使われている「オルレ」。九州オルレコースのオープンを記念して次のとおりイベントを開催します。豊かな自然を五感で感じながら、ゆっくりとコースを楽しんでみませんか。 ▼開催日時 11月22日(日) 10時〜(受付9時〜) ▼集合場所 南島原市口之津港緑地公園 ▼コース 口之津港〜口之津歴史民俗資料館      (距離10.5キロメートル、所要時間4時間程度) ▼定 員 300人 ▼参加料 無料 ▼申込方法 住所、氏名、年齢、電話番号を明記の上、11月17日(火)までにFAX(0957-82-3086)で申し込んでください ▼申し込み・問い合わせ先 南島原市商工観光課(050-3381-5032)