●知って ふせごう 慢性腎臓病(CKD)〜早期発見・早期予防〜 ▼問い合わせ先 有明保健センター(68-5335) ▼新たな国民病ともいえる、「慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)」  慢性腎臓病とは、何らかの腎障がいが3カ月以上持続することで、タンパク尿や腎機能の異常により診断されます。患者は全国に約1330 万人いるといわれており、これは成人の約8 人に1 人に当たります。  慢性腎臓病は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、メタボリックシンドロームとの関連も深く、誰もがかかる可能性のある病気です。腎臓は体の正常な状態を保つ重要な役割を担っているため、慢性腎臓病によって腎臓の機能が低下することで、体はさまざまな支障を来たします。 ▼初期症状  慢性腎臓病は初期にはほとんど自覚症状がないため、患者が増えている原因でもあります。そして、腎臓は一度悪くなってしまうと、自然に治ることはありません。健康診断などで異常が見つかった場合は、そのままに放置せず、必ず、かかりつけ医などで受診することが大切です。 ▼進行すると  慢性腎臓病が進行すると、むくみ、貧血、倦怠感などの症状が現れてきます。  このような症状を放っておくと、さらに腎臓の働きが悪くなり心臓や血管に負担がかかり、心筋梗塞や脳卒中など命にかかわる病気を起こしやすくなります。  きちんと治療すれば、進行を食い止めることができます。 ▼早く見つける  定期的な健康診断を受け、尿や血圧、血糖の検査をすることが早期発見につながります。特に尿中にタンパクが出た人は要注意ですので、早めに病院で詳しい検査を受けるようにしましょう。また、血糖が高い状態が続くと、腎機能が弱り、尿を作れなくなってしまうことがあります。  血糖の高い人は、腎機能の低下やタンパク尿の出現に注意しましょう。 ▼腎臓機能低下と高血圧  腎臓の働きが悪くなると、余分な塩分と水分の排泄ができなくなって、血液量が増加し、血圧が上がります。さらに、血圧が上がれば腎臓への負担が増え、ますます腎臓の機能が低下するといった悪循環となります。  このため、腎臓の働きを守るためには血圧をコントロールすることがとても大切です。 ▼腎臓の働きを調べる  慢性腎臓病は、重症度に応じて5段階に分けられています。その指標となるのが血清クレアチニン値を基にして出されるeGFR(推算糸球体ろ過量)です。これは、腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示しており、この値が低いほど腎臓の働きが悪いということになります。  市が実施する健康診断ではeGFR を表記していますので、健診結果を確認してみましょう。 ※会社などで健康診断の項目が異なるため、血清クレアチニン値を測定していない場合があります。その場合は、病院などで検査してもらうことができます ※血清クレアチニンは、血液中にある老廃物の一種で、本来であれば尿中に排出されますが、腎臓の働きが悪くなると血液中に溜まっていきます eGFR(推算糸球体ろ過量)における慢性腎臓病の重症度分類 ステージ1eGFR90以上 ステージ2eGFR60 〜 89 ステージ3eGFR30 〜 59 ステージ4eGFR15 〜 29 ステージ5eGFR15 未満 ○ステージ別の症状 自覚症状はほとんどなし 夜間の多尿やむくみなど むくみ、からだがだるい、動悸など むくみ、からだがだるい、食欲がない、吐き気、息切れ ○ステージ別の治療 腎臓の働きを悪くする糖尿病や血圧などの治療が必要 腎臓の働きを保つための治療が必要 透析導入の準備期間。薬などによる腎機能を保つためのサポートが必要 腎臓の代わりに透析治療により生命を守る ※ eGFR(推算糸球体ろ過量)の値が分からない場合は、かかりつけ医などで確認してください ▼生活習慣を改善して予防しましょう  病院や健診などで慢性腎臓病の指摘を受けたことのない人は、肥満、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病の予防に努めましょう。  食べ過ぎ防止、減塩、バランスのとれた食事と肥満予防のための運動に取り組みましょう。  すでに慢性腎臓病の治療中の人は、かかりつけの病院で食事指導などを受けましょう。 ・規則正しい生活 過労などを避け、十分に睡眠をとりましょう ・適度な運動 自分の体力や体調に合わせて、適度な運動を定期的に行いましょう ・飲酒 アルコールは適量を心がけましょう ・食事 腹八分目、塩分を控えたバランスのよい食事を心がけましょう ・血圧管理 高血圧にならないように家庭でも血圧を定期的に測定する習慣をつけましょう ・禁煙 喫煙は心血管病などさまざまな病気の危険因子でもあるので、まずは禁煙することが重要です