●平成28年度 施政方針(要旨) 島原らしい個性を生かした「オンリーワンのまちづくり」  島原市は、人口減少対策を最重要課題と位置付け、「島原市人口減少対策本部」を立ち上げて、急速に進展している人口減少に歯止めをかけ、地域の活性化を図りながら、「街が賑わい 人がふれあい 支えあう」市民が主役の島原市を創るため、重点分野の7つの施策を掲げ、4つの政策の取り組みを進めます。 ※3月2日に開会した市議会3月定例会において、古川市長が「平成28年度施政方針」を発表しました。全文など詳しくは市ホームページをご覧ください ▼重点分野7つの施策 @市民目線に立った行財政改革の推進 A産業の振興と島原地域ブランドの確立 B歴史と文化を生かした観光都市づくりと交流人口の拡大 C子育てにやさしいまちづくり D高齢者や障がい者などを思いやる福祉の充実 E島原の将来を担う子どもを育てる教育の充実 F安全で安心して暮らせる快適なまちづくり ▼4つの政策 @しごとをつくり、安心して働けるようにする A新しいひとの流れをつくる B若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる C時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守る   1 総務部門  本市は、「島原市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、「平成47年に人口4万人を維持」する目標の達成に向けて、取り組みを開始します。また、本年は、あの未曾有の大災害「雲仙・普賢岳噴火災害」から25年を迎えるため、「NHKのど自慢」を開催するなど、復興した島原の姿を全国にPRするとともに6月3日には追悼式を開催し、災害の伝承と今次災害で得た教訓を生かした災害に強いまちづくりを進めてまいります。  人口減少対策は、「若者住まい支援補助金」や「子育て世帯住まい支援補助金」、「三世代ファミリー応援補助金」、「定住促進通勤支援補助金」、 「若者チャレンジ事業」などを継続します。  島原市まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、「新観光組織体制構築・戦略策定事業」に取り組みます。  行政改革は、職員の定員管理の適正化や、「行政評価委員会」などの活用による行政サービスの質の向上を目指します。  ふるさと納税は、平成27年度は3億円を超える寄付をいただいており、「お礼の品」のリニューアルなどを行いながら、さらなるふるさと納税の推進に努めます。  「地域おこし協力隊」は、都市部の人材を新たな担い手として本市に受け入れ、隊員の目線で観光客や移住・定住希望者のニーズに合った施策展開を図るなど、地域力のさらなる向上を目指します。  地域活性化については、「島原ふるさと創生小西プロジェクト」を継続して実施し、昨年お披露目しました島原ふるさと創生キャラクター島原守護神「しまばらん」を、本市限定として付加価値を付けた商品の開発や市内外の企業などへさらに活用していただけるよう情報発信に努めます。  UIターンは、古民家など特色のある建物の活用や、移住者の負担を支援するとともに、「空き家バンク」とも連携させ取り組みます。  婚活支援は、地元で頑張る若者に「めぐり逢いの場」の提供や結婚・妊娠・出産・育児までの切れ目のない支援を行う相談窓口「ハッピーカフェ」を継続します。  地域公共交通は、日常生活の移動手段として確保・維持を図るとともに、島原鉄道に対しては、鉄道事業の存続と安全性の確保に向け、関係自治体と一体となって支援します。  友好都市との交流は、本年は、愛知県幸田町からの訪問団を多くの市民皆さんと一緒にお迎えするとともに、兄弟都市・大分県豊後高田市や姉妹都市・京都府福知山市とのさらなる交流促進の取り組みを図ります。 また、国内や国外のジオパークとの交流促進も積極的に進めます。  市庁舎建設は、基本設計の完了後、引き続き実施設計に取り組み、市議会ならびに市民皆さんと一緒になって推進します。  分譲中の仁田住宅団地および安中地区分譲地を対象とし、「土地を購入した人」、「家を新築した人」、「定住した人」に助成を行います。 (写真)地域おこし協力隊の皆さん 2 福祉保健部門  障害者福祉対策は、障害者総合支援法による福祉サービスを総合的に実施するとともに、関係機関と協力・連携して支援します。また、4月1日の障害者差別解消法の施行に伴い、法の趣旨の周知に努めます。  高齢者福祉対策は、高齢者がいきいきと輝く街づくりを目指し、認知症カフェの増設など認知症高齢者対策を推進し、高齢者福祉交通機関利用助成事業などを引き続き実施します。  10月に開催される第29回全国健康福祉祭ながさき大会「ねんりんピック長崎2016」では、本市において弓道、サッカーの2競技を実施します。  低所得者対策は、引き続き「臨時福祉給付金」を支給し、新たに「年金生活者等支援臨時福祉給付金」の支給を行うとともに、生活保護受給者の就労支援や生活困窮者の把握、支援に取り組みます。  児童福祉対策は、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえるため、小学生以下2人目以降を対象に「すこやか子育て支援事業」を、中学生までを対象に「福祉医療制度」を実施しており、さらに出産前後の育児・家事を支援するサポーター派遣の利用期間を出産後1年までに拡充し「産前産後のママサポート事業」として実施します。また、ひとり親家庭等対策は、児童扶養手当を増額します。  救急医療対策は、日曜、休日の在宅当番医制や「歯科休日診療当番医制」、「病院群輪番制」を引き続き実施します。  小児の診療体制の確保は、半島三市と医師会などとの共同による休日診療事業を実施します。  国民健康保険事業は、効率的で適正な事業運営に努めるとともに、新たに20歳から39歳までを対象とした「若年者健診」を実施します。  市民皆さんの健康づくりは、「いきいき健康ポイント事業」や、各種がん検診などに引き続き取り組みます。  母子保健事業は、健康診査や相談・指導のほか、虫歯予防の「フッ素塗布事業」・「フッ化物洗口事業」に取り組みます。  予防接種事業は、定期予防接種やそのほかの予防接種の助成を実施します。また、特定不妊治療費および不育治療費の助成事業を引き続き実施します。 3 環境部門  環境保全は、省エネの推進や、河川などの水質浄化対策、小・中学生を対象とした環境教育の推進、飲用井戸水の水質検査および地下水の湧水量調査などを実施するほか、野犬捕獲や不法投棄防止の周知などを行います。  廃棄物処理は、生ごみ堆肥化講習会を引き続き実施するほか、保育園や小学校などで実施している生ごみ堆肥化による野菜づくりを拡充し、不燃ごみ・資源ごみの再資源化の向上を図ります。  し尿処理は、「汚泥再生処理センター」の建設を平成29年3月完成に向け進めます。  4 農林水産部門  農業は、日本一豊かな産地を目指すとともに、生産基盤の整備を推進し、「もうかる農業」を目指します。  担い手対策は、担い手への農地集積・集約化のほか、青年の新規就農者に対して助成します。  畜産関係は、「長崎和牛」のブランド力の向上と経営の安定を図り、家畜伝染病の口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザ、豚流行性下痢(PED)などの発生防止に取り組みます。  耕地関係は、三会原第3地区や宇土山地区の基盤整備事業の円滑な推進を支援し、新規事業である三会原第4地区の事業着手と、大三東地区の新規採択に向け取り組みます。  水産関係は、藻場の再生や干潟耕うんやアサリの放流などを実施し、ヒラメなどの種苗放流を継続します。  養殖漁業は、トラフグや放流稚魚の中間育成、ノリなどの品質や生産性の向上を目指し、ジオアワビの養殖に引き続き取り組みます。  漁港海岸の高潮対策は、三会漁港において消波ブロックの製作や設置に取り組みます。また、湯江漁港、大三東漁港、猛島漁港の施設機能保全診断を行います。 5 商工観光部門  商工・物産および観光の振興については、若者の定住化と交流を推進する「しまばらまるごとブランド化」を念頭に、各施策に取り組みます。  本市経済の発展は、企業立地促進・雇用創出事業をさらに推進します。  企業活力の活発化は、創業を志す人たちのためのワンストップ相談窓口「しまばら創業サポートセンター」を活用し、創業支援を行います。  雇用の維持と安定、促進は、「雇用拡大支援事業」を実施するとともに、正規雇用の促進と安定的な雇用の確保を目的とする「トライアル雇用応援事業」を設けます。  中心市街地商店街の活性化対策は、空き店舗の提供や開業に至るまでの経営指導を行うチャレンジショップの支援など、「商店街再生事業」を実施します。  金融面は、「島原市中小企業振興利子補給事業」を実施します。  本市特有の地域資源を活用した産業化は、製薬メーカーを誘致し、新たなサプリメントなどを製造販売する、「島原薬草『産学金官』連携プロジェクト事業」を実施します。  イノシシ食肉加工処理施設は、稼働率など順調に推移しており、市内食品製造加工事業者と連携した新たな商品化にもチャレンジします。  しまばらの物産流通は、本市産品の知名度の向上、新商品の開発、販路の拡大の3本柱を基本に、さらなる事業展開を推進します。  本市産品の知名度の向上は、島原市特産品認定制度において認定した商品を観光交流センター「清流亭」で展示・販売するなど、知名度の向上を図ります。  観光は、観光施設の運営などを効果的・効率的に実施できる体制づくりとして、本市の観光事業を一元的に運営する組織の設立に向け協議を進めます。また、島原城は、築城400周年記念事業の実施に向け、具体的な事業計画を策定します。  ジオパークは、日本ジオパークの再認定と平成29年度の世界ジオパークの再認定に向け取り組むとともに、観光・教育資源として活用します。 また、健康志向のジオパークの実現に向け、「九州オルレコース」の認定を目指し取り組みます。  観光誘致対策は、JRグループの国内最大級の観光キャンペーン「長崎デスティネーションキャンペーン」など県を挙げた事業が行われる中、本市においても市ホームページやSNSなど多様な手法で島原の魅力発信に努めます。  各種まつり・イベントは、これから100年もの長きにわたり続いていくような、本市独自のまつりを目指して、新たな企画に挑戦します。  温泉給湯事業は、ヒートポンプ導入による加温設備の更新と給湯管の布設替えの完了により、温泉の安定供給と温泉事業の効率的な運営に努めます。 (写真)清流亭で展示・販売されている商品 6 建設部門  活力ある地域づくりと安全で快適なまちづくりのため、幹線道路を整備するほか、国土交通省や県と連携を図り、「島原道路」の出平町から有明町間の早期完成を目指します。  船津地区の恒久的な高潮対策は、高潮堤防の早期着手に取り組み、ポンプ場の整備や、緊急車輌が通れる防災道路整備の早期の事業着手に向け取り組みます。また、広馬場下内海の埋め立ては、利活用検討委員会を立ち上げ取り組みます。  空き家対策は、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、適切な管理を図ります。老朽危険空き家は、除却費の補助を行います。  都市計画道路は、「霊南山ノ神線」などの整備や、「都市計画道路新山本町線」の事業促進に努めます。  景観の形成・保全は、街なみ環境整備事業によるまちづくりに住民と協働で取り組みます。  水無川、中尾川などの砂防指定地内の利活用は、ジオを体感できる「ウォーキング・ランニングコース」などを整備します。 7 消防防災部門  防災対策は、雲仙・普賢岳噴火災害から25年の節目の年を迎え、噴火災害はもとより、各種災害に対する防災意識の高揚や防災力向上に努めます。  特に、溶岩ドームの崩壊が懸念され、砂防えん堤のかさ上げ工事が実施されていますが、今後も雲仙復興事務所や九州大学地震火山観測研究センターなど防災関係機関と連携を図り、監視・観測体制を強化します。  また、市地域防災計画に基づき、地域FMを活用した防災ラジオの活用、音声と文字を同時に放送可能とした防災行政無線からの情報伝達の活用のほか、災害ごとの避難場所などの周知徹底に努めます。  防災避難訓練は、三会・杉谷地区を対象に実施します。  消防の体制は、消防団第2分団格納庫の建設や消火栓の増設などを図ります。 (写真)かさ上げ工事が実施されている水無川流域 8 教育部門  教育は、噴火災害復興の体験から学んだ「生命( いのち)・きずな・感謝の心」の精神を引き継ぎ、心豊かで活力ある生涯学習社会の構築に努めます。  学校教育は、児童生徒の学力把握の検証軸として市独自の学力調査を導入し、国・県の学力調査と併せ、小学1年生を除くすべての学年で学力調査を継続して実施するとともに、これまでに取り組んできた学力向上対策事業の成果と課題を検証します。  また、「スクールキッズ」事業を市内のすべての地区に拡大するとともに、「放課後子ども学習室」をすべての小中学校に拡大します。  小中学校の施設整備は、小中学校消防設備の機器更新、第一小学校旧校舎普通教室床張替工事および第二小学校プール濾過機取替工事などを実施します。  社会教育は、「地域ぐるみの子育て」を目的とした「島原市ココロねっこ運動」をさらに推進します。  社会教育施設は、太陽光発電設備および蓄電池を、新たに白山公民館に設置します。  文化財は、松平文庫の整理保存・活用に取り組むとともに、島原城が県の史跡指定を受けたことに伴い、文化財保護に関する整備計画の策定に向け取り組みます。  さらに、旧島原藩主松平家墓所がある愛知県幸田町とは、姉妹都市の締結を視野に入れながらさらに交流を深めます。  生涯スポーツは、スポーツ振興計画を策定するとともに、日本体育大学に依頼して創作する健康体操「しまばら健康体操(仮称)」を普及させ、市民皆さんの健康づくりに努めます。  ジュニアスポーツは、「夢の教室公演事業」や「ジュニアスポーツ振興事業」を実施します。  スポーツを活用した地域活性化は、「平成新山島原学生駅伝」を開催します。 (写真)昨年8月に実施した「ジュニアスポーツ振興事業」 9 水道部門  水道事業は、100%天然地下水の水道水を安定供給するため、「島原市水道事業基本計画」に基づき事業を推進します。  平成28年度は、引き続き「油堀・長貫簡易水道事業」の上水道への統合と民営水道への給水区域拡張事業ならびに三会水系の取水から配水システムの再構築のための事業を進めます。  厳しい財政状況ではありますが、全身全霊を傾注し、全職員一丸となって、人口減少の克服をはじめ、地方創生に全力で取り組んでいきますので、市民皆さんには、市政の推進に一層のご支援とご協力をお願いします。