●つなごう!未来へ 島原半島ユネスコ世界ジオパーク78 島原半島ジオパーク協議会(65-5540) ○30万年間の大地の動きが見える場所−千々石展望台―  毎月、島原半島内のジオサイトやその見どころを紹介するこのコーナー。  今回は30万年間の大地の動きが見える場所「千々石展望台」について紹介します。 ▼千々石展望台  国道57号沿いにある千々石展望台は、愛野展望所と並んで島原半島ユネスコ世界ジオパークの玄関口に位置し、多くの人が立ち寄る観光スポットです。この展望台からは、橘湾に面した千々石海水浴場と、猿葉山(さるばやま)の上に建つ千々石少年自然の家の白い建物が見えます。高台の上に建つ釜かまぶたじょう蓋城の下には千々石の町並みが広がり、さらにその奥には、九千部岳(くせんぶだけ)から田代原を経て吾妻岳に至る、奥雲仙の景観が一望できます。天気が良いときには平成新山から小浜温泉、国崎半島までが一望できるこの絶景をつくりあげたのは、およそ30万年に及ぶ、ゆっくりとした大地の動きです。 ▼千々石断層  島原半島全体は、今この瞬間もゆっくりと南北に広がるように動いています。この動きは、半島内を東西に横断する複数のひび割れ(断層)をつくりました。断層ができた後も地面が広がり続けたために、断層に囲まれた部分が沈み、断層に沿って大きな崖ができたのです。島原半島内にある断層のうち、千々石にあるこの断層は「千々石断層」と呼ばれ、その長さは半島内で最長です。千々石展望 台は、千々石断層の動きがつくった崖の途中にあり、景色を遮るものがないため、絶景がみられるのです。  千々石断層の動きは美しい景色をつくり出しただけではありません。ぜひ、千々石展望台から見える雲仙岳の形を見てください。千々石断層の動きによって吾妻岳が切られ、雲仙岳のすそ野がずれています。地面が沈む速度は1年間で1〜2ミリ程度ですが、それが30 万年間も続けば、山のすそ野をずらすほどのずれになるのです。 (写真)千々石展望台から見える景色。雲仙岳のすそ野が、千々石断層によって切られ、ずれています様子 ▼正断層  地面の広がる動きがつくる断層は「正断層」といいます。プレートの沈み込みの影響を受け、地面が押されることが多い日本は、「逆断層」というタイプの断層が多いのですが、深江断層や布津断層、そして千々石断層といった、規模の大きな正断層がたくさん見られる島原半島は、日本の中では大変珍しい場所です。  次回は「雲仙・諏訪の池ビジターセンター」を紹介します。 ●「第2回島原半島ユネスコ世界ジオパークセミナー」  島原半島の歴史・文化・自然、そしてそれらを支えるジオの魅力を専門の先生が毎月やさしく紹介します。今回は、夏休みの自由研究にも役立つ内容です。ぜひ、参加してください。 ▼と き 7月23日(土) 10時〜12時 ▼ところ がまだすドーム セミナー室(講話)      われん川河口の砂浜(野外観察) ▼参加料 無料 ▼講 師 桃下 大(ももした ひろし) 氏(長崎県生物学会) ▼題 目 島原半島のめずらしい海辺の生き物探し! ▼服 装 ぬれてもいい服装 ▼問い合わせ先 島原半島ジオパーク協議会(65-5540)