●ふるさと再発見  金兵衛納経塔(きんべえのうきょうとう)(市指定有形文化財)  島原市有明町大三東久保地区(旧三ノ沢村小原)に石塔一基が建っています。屋根に保護され、横に「金兵衛納経塔」と書いた案内柱と説明板があります。  伝承によれば、近くの金兵衛が発心(ほっしん)して山伏(やまぶし)となり、願がんを立てて日本廻国の旅に出た。のち帰郷した金兵衛は、満願成就として経典を読誦(どくじゅ)・埋経(まいきょう)し、その記念の石塔を建てたのだと言います。  石塔の中央には「(梵字)(ぼんじ)奉納大乗妙典六十六部日本廻国」と刻まれています。  「大乗妙典」とは大乗経典、特に法華経を指し、「六十六部」は66カ国・日本全国の意です。つまり金兵衛は日本66カ国の霊場に法華経を納める行者でありました。このような行者を六十六部廻国聖ひじりと称し、室町時代から確認できます。やがて江戸時代には略して「六部」と愛称されるようになりました。  金兵衛が六部となり、旅に出たのは、文政から嘉永年間(19世紀前半)と伝えられています。  島原半島各地には、同類の納経塔が残っていますが、最も古い六十六部聖として有馬出身の茲景(じけい)が知られています。島根県大田市南八幡宮の鉄製納経塔内に納められていた経筒(きょうづつ)に、永正18年(1521)の年号と茲景の名が記されています。  江戸時代の金兵衛納経塔も、中世にみられる六十六部廻国行者の流れを汲むものとして貴重な石塔です。 (肥前島原松平文庫長・根井浄) (写真)金兵衛納経塔(有明町大三東) ●クローズアップ  今回、紹介するのは、3月から地域おこし協力隊として活動している小野友代佳(おの とよか)さんです。小野さんは、東京都出身の21歳。幼いころから自然がいっぱいあるところで住んでみたいと憧れていた小野さん。3月にデザインの専門学校を卒業後、島原の自然豊かなところに魅力を感じて、以前から興味があった地域おこし協力隊への応募を決めたそうです。  小野さんは、「島原は海、山、湧水など自然豊かで、それを毎日、五感で楽しめます。また、道を歩いているといろいろな動物を見ることができるところも魅力的です」と話してくれました。  今後の取り組みは、「キャラクターやイラストを用いて、島原のいろいろな発見や魅力を多くの人に発信していきたいです」と意気込みを語ってくれました。  小野さんは、現在、自身が制作したオリジナルキャラクター「かんザラシ」と地域の物をからめたグッズを企画したり、イベント用のポスターやイラストを制作しているほか、水彩絵の具で食べ物や風景を描くなどの活動をしています。小野さんのこれからの取り組みが島原の地域おこしのひとつとなることが期待されます。  小野さんをはじめ、地域おこし協力隊は合計6人で活動しています。  協力隊の活動はフェイスブックで紹介しているほか、ツイッター(@kan_zarasi) でも「かんザラシ」が島原の魅力を発信しています。興味のある人は、ぜひ、ご覧ください。 ▼問い合わせ先 政策企画課(62-8012)  「かんザラシ」検索 (写真)地域おこし協力隊 小野 友代佳さん 自身が制作したオリジナルキャラクター「かんザラシ」と一緒に写る小野さん