●つなごう!未来へ 島原半島ユネスコ世界ジオパーク82 島原半島ジオパーク協議会(65-5540) ○大野原(おおのばる)遺跡展示館・縄文の里  毎月、島原半島内のジオサイトやその見どころなどを紹介するこのコーナー。  今回は島原市有明町にある大野原遺跡展示館「縄文の里」について紹介します。 ▼大野原遺跡  大野原遺跡展示館「縄文の里」は、有明総合文化会館(グリーンウェーブ)の中にあります。  有明総合文化会館の建設予定地に見つかった大野原遺跡。平成8年から約2年間の発掘調査で、今から約3千〜4千年前にあたる縄文時代後期の人たちが有明地区に暮らしていたことが分かりました。 また、この発掘調査では、遺跡から土器の材料となる粘土を貯蔵した場所(粘土貯蔵穴)や地面が赤く焼けた場所(焼土)が多数見つかりました。これらは土器を作った跡です。有明付近の地表にみられる黒土(クロボク土)は土器を作るには適していなかったため、縄文人は川が削ってできた崖から粘土の地層を見つけ出し、大野原まで運んで保管していました。雨が少ない時期になると、粘土貯蔵穴から粘土を取り出し、作業小屋で土器の形に整えた後、草や泥で窯をつくって土器を焼いていました。これらの土器の材料となる粘土の地層は、数万年にも及ぶ年月がつくった地球からの贈り物です。 ▼大野原遺跡展示館「縄文の里」  館内には、有明総合文化会館の敷地から出土した本物の土器片や石器、土偶、石鋸など、先人たちの生活道具が多数展示されています。これらの出土品を見ると、私たちの先祖は、海にも山にも近いこの地で、時に眉山の噴火に対峙しながら、狩りや漁をし、採ってきた木の実を自らが作った土器で煮炊きしながら、生活を営んできたことが想像できます。島原半島に暮らす人たちは、何千年もの昔から、“ジオの恵み”を利用していたのです。  次回は「ほっとふっと105(いちまるご)」を紹介します。 ※「大野原遺跡展示館・縄文の里」の開館時間は9時〜17時で入館無料。毎週火曜および年末年始は休館。見学するときは事務所に声を掛けてください ・「縄文の里」を見学する子どもたち (写真)「縄文の里」の展示物を見学している写真 ・(写真)「縄文の里」に展示中の土器 ○第6回島原半島ユネスコ世界ジオパークセミナー  島原半島の歴史・文化・自然、そしてそれらを支えるジオの魅力を毎月やさしく紹介します。 ▼とき 11月26日(土)10時〜12時 ▼ところ 雲仙岳災害記念館セミナー室 ▼参加料 無料 ▼講師 長井大輔(ながいだいすけ) 氏(雲仙岳災害記念館展示運営主任) ▼題目 「自然災害を実験で考える」 ▼問い合わせ先 島原半島ジオパーク協議会(65-5540)