●ふるさと再発見    島原領温泉山(うんぜんさん)の古絵図  肥前島原松平文庫に雲仙地獄を描いた一枚の古絵図があります。江戸後期の墨色木版画です。表題として「肥前国高木郡嶋原温泉山之図」とあります。上段に雲仙満明寺の縁起があり、下段に温泉四面神社や満明寺の境内とともに地獄の景観が広がっています。地獄には妄語(もうご)、邪淫(じゃいん)、大叫喚(だいきょうかん)、無間(むげん)、殺生(せっしょう)、飲酒界(おんじゅかい)、偸盗(ちゅうとう)地獄などの名称が刻まれています。  一方、地獄図の中には、鍛冶屋、酒屋、紺屋、酢屋地獄などがあり、地獄の形態や湧き出る湯玉の色や音に由来する世俗的な地獄名が見られます。  このような江戸時代の地獄は満明寺一乗院が案内権を持っており、いろいろな説話が語られていました。絵図中に稚児遊(ちごあそび)とか雀地獄とあり、これは満明寺僧坊(そうぼう)の稚児が一羽の雀の争奪をめぐって勃発したという白雀(はくじゃく)の乱伝説に由来する地獄名でしょう。それを台本化したのが謡曲本『白雀』『温泉(うんぜん)』です。  温泉山図には異本や諸本があり、猛島神社には、ほぼ同図の彩色本がありました。  また、猛島神社に「寺田猛氏蔵」として、やや縦長の温泉山絵図が確認されています。この絵図の同本として東京国立博物館にも「肥前国高来郡温泉山之図」が伝わっています。  今回、紹介した「肥前国高木郡嶋原温泉山之図」は、摺(す)り自体に傷みがあり銘文も不鮮明ですが、現存する雲仙地獄の木版画として貴重な作品です。  肥前島原松平文庫長・根井 浄(ねい ひろし) (図)温泉山(雲仙)の図(肥前島原松平文庫本) ●地域おこし協力隊コラムF   こんにちは。地域おこし協力隊の杉山大介です。新年を迎え少し経ちました。島原に来てから早くも一年が経とうとしています。この一年は人生の中でも特に中身の濃い一年となりました。  島原に来て右も左も分らない私たちに、島原の風習を教えてもらったり、郷土料理や伝統料理を振舞ってもらった地元の人。担当することになった『銀水』について勉強し、当時のレシピを求めてとにかく試作を繰り返す日々。オープンしたときの喜び、理想と現実のギャップ、期待値の高さ、そんなさまざまなことに一喜一憂したこと。どれもが自分を成長させてくれました。  一年を振り返ってみて、達成したことや課題や問題点、もっとできたはずのこと。今すべてを洗い出しています。地域おこし協力隊として島原に来たからには、『どれだけ地域を活性化できたか』を突き詰めていきたい。 そのためには、銀水を一つの起爆剤として、観光や移住の問題をはじめ、さまざまな課題を浮き彫りにして一つ一つ解決へ結び付けていきたいと思います。  島原の良いところを県内はもちろん、どれだけ県外の人に知ってもらえるか。大きなミッションですが、非常にやりがいのある魅力的なミッションだと思います。島原での二年目の生活も楽しくなりそうです。 ▼問い合わせ先 政策企画課(62−8012) (写真)昨年8月、約20年ぶりに復活した「銀水」のオープニングセレモニーでくす玉を割る皆さん