◎ふるさと創生に向けて  本市では、ふるさと創生に向けて、平成27年10月に「島原市まち・ひと・しごと総合戦略」を策定し、さまざまな施策に取り組んでいます。 今回、国の地方創生人材支援制度により、国土交通省から2年間派遣され、「島原ふるさと創生本部長」として、本市の活性化のため、主に観光地づくりに取り組んでいただいた、塩野 進(しおのすすむ)さんにお話を聞きました。 ▼島原市の課題  人口減少を食い止めることが喫緊の課題ですが、島原特有の本質的な次の3点の課題があります。 @「行政主導のまちづくり」からの脱却  人口減少に伴い、税収も減少する局面では、行政だけではなく、市民による主体的な取り組みが持続的なまちづくりには不可欠です。 A半島外地域との協働を促進  島原半島は地理的なハンデも抱えており、外部との協働を意識的に進めていくことが必要です。 B外部経済圏から「稼ぐ力」を養う  半島内の経済圏で完結するのではなく、半島外からしっかり「稼ぐ」仕組みを作ることが必要です。 ▼課題に対する取り組み @市内観光組織の統合・新会社の設立  島原城をはじめ、市内観光施設の運営者が多岐にわたり、観光全体をマネジメントする組織がありませんでした。そこで、島原城の収益を他の観光施設に活用できていないことなどの問題を解決するため、昨年10月から、市内観光組織を統合する形で新たに「鞄原観光ビューロー」を設立し、一元的な観光施設の運営、プロモーションを行っています。  市民の皆さんも一口2万円からの出資に応募いただき、新会社の経営に株主として参画してもらっています。  新会社設立以降、現場スタッフの収益向上に向けた努力もあり、島原城などを活用した新たな企画、イベントを仕掛ける中で、実際に観光施設入場料や物販の売上げが増加しています。 AIT企業派遣研修制度の創設  先進的なビジネスを展開するITベンチャー企業と連携し、その活力を取り込むとともに、職員の意識改革を進めるため、若手の市職員を東京の複数のITベンチャー企業に派遣する制度を創設しました。  民間意識の吸収といった研修効果だけではなく、派遣先企業と連携して小学生向けプログラミング講座を市内で実施するなど、先進的な取り組みを進めるプラットフォームとして機能しています。 Bシェアリングエコノミーの活用  市民がまちづくりに主体的に参加するひとつの仕組みとして、シェアリングエコノミーの普及促進に取り組み、昨年11月には全国の自治体で初めてとなる「シェアリングシティ宣言」を行いました。  周遊型コスプレイベント「島原コスプレの乱」を開催するなど、島原城などの観光施設を第三者へ貸し出し、個人による体験型ツアーの造成・販売などに取り組んでいます。 ▼2年間の派遣を終えて  市長、市議会、それぞれの取り組みの関係者、多くの市民の方々とさまざまな場面で議論を行い、仕事をさせていただきました。平成 27年9月に島原市に派遣されてからの2年間をひと言でまとめることはできませんが、いきなりやって来たよそ者を受け入れていただいたことに感謝を申し上げます。 島原での取り組みは、単に「地域おこし」ということではなく、これからの行政のあり方、社会のあり方に示唆的なものを多く含んでいるのではないかと考えています。国、地方という区分を超えた、本質的に重要な取り組みがこれからも島原から多く生まれることを願っています。 (写真1)潟Xペースマーケットと「地方創生に向けた連携協定」締結(平成28年9月2日) (写真2)全国の自治体で初めてのシェアリングシティ宣言(平成28年11月24日) (写真3)市内の観光関係4団体を統合して新たな組織として「鞄原観光ビューロー」設立(平成28年10月1日) (写真4)小学生を対象としたプログラミング講座「Tech KidsCAMP in Shimabara」開催(平成29年3月18日) (写真5)島原コスプレの乱(周遊型コスプレイベント)開催(平成29年3月25日) ◎市長コラム古川 骼O郎 塩野さん2年間お疲れ様でした  地方創生に向けて、人口5万人以下の都市に国家公務員などを派遣する地方創生人材支援制度があります。その制度を活用すべく、 東京で塩野進さんに出会いました。「島原には行ったことがない、田舎へ行きたい」が最初の言葉で、奥さんと2歳の娘さんと一緒に来てくれました。以来2年間、島原観光ビューローの設立や、市の若手職員のITベンチャー企業との交流、遊休施設を有効に活用するシェアリングエコノミーの考え方などを本市に取り入れてくれました。  一人の青年の活躍を通して、島原の若者たちが行政だけに頼らず自らの力でまちの未来をつくるという思いが広がったようです。 10年、20 年後、彼の思いが島原で大きな形となることでしょう。  今後も島原市の応援をお願いします。3歳になった娘さんと島原生まれの娘さんを連れて、第2の故郷、島原へ遊びに来てください。