◎輝く島原人 THE SCENE Vol.06 島原に生きる  広報しまばらでは、生き生きと活動し、楽しみながら社会に貢献する人生の達人たちを「輝く島原人」として紹介しています。  第6回目は「人は生姜のように根っこでつながっている」と語る松本綾子(まつもとあやこ)さん(48)を紹介します。 (写真1)収穫した生姜をもって笑顔の松本綾子さん  昭和44年、3姉妹の2番目として佐世保市で生まれ、長崎市で育つ。学生時代の恩師との出会いが農業、農産加工の魅力を知るきっかけになる。その後、島原市で100年余り続く生姜農家の5代目の松本政彦(まつもとまさひこ)氏と結婚し、2男1女に恵まれる。生姜農家だからこそ知る生姜の良さを発信するため、生姜を使った加工品も開発し、数々の賞を受賞。平成29年には、農作物、農産加工品の生産・販売などを行う株式会社「人作」を立ち上げ、家族とともに新しい農業経営にチャレンジしている。女性の地位向上にも取り組み、長崎県男女共同参画アドバイザーとしても活躍している。長貫町在住。 ▼輝く農業女子  島原で百年余り続く生姜農家に嫁ぎ、島原生姜のブランド化や加工品の開発・販売を手掛け、農業の可能性に挑戦しているのは、松本農園の松本綾子さんです。  綾子さんは、農業大学校で出会った夫の政彦さんと結婚して、就農しました。結婚した当初は、慣れない土地で気軽に話せる人もおらず、辛かったと語る綾子さん。しかし、子どもが生まれ、家族の支えや地域の皆さんの温かさに触れ、農業も子育ても楽しいと感じるようになったそうです。そして、子どもと一緒に考えた「プリンde(で)しょうが」がJA中央会主催の「ご当地スイーツコンテスト」で最優秀賞を受賞したことがきっかけとなり、加工品の開発にも積極的に取り組むようになりました。その後、生姜を使った数々の商品を開発して、さまざな賞を受賞し、輝く農業女子として、テレビ、雑誌などでも取り上げられるようになりました。 ▼広がる農業の可能性  「農業は子育てと同じ」と語る綾子さん。「最近は、機械化や農業技術が進み、以前よりも楽になりましたが、手作業も多く、重労働のところもあります。しかし、愛情を込めて農産物を育てるとおいしいものができます。そして、それをお客様が食べておいしいと喜ぶ姿を見ることがうれしく、やりがいになります。また、今は、自信を持って育てた農作物で作った加工品が別の地域の店舗やインターネットを通じて、皆さんにお届けできるようになりました。アイデア次第で農業の可能性が広がることが、農業の魅力ではないでしょうか」と笑顔で話してくれました。 ▼人との出会いが私を成長させた  「小さな出会いが大きな出会いになった」という綾子さんは、いつもお客様には心を込めて商品の説明をしてきました。そこで出会った皆さんが松本農園の農作物を楽しみにしてくれ、さらに知り合いに紹介してくれるようになったそうです。その一つが博多駅前で行われる農産物マルシェ「博多ファーマーズマーケット」。この出店を機に大手のスーパーから商品の出荷をお願いされるようになりました。そのほかにも、小さな出会いが、有名レストランでのイベント開催や海外での商談会への参加などにもつながったそうです。また、新商品の開発でも自分のアイデアに沿った事業者を紹介して くれたり、さまざまなアドバイスをいただくことができました。「生姜農家だからではないですが、人は生姜のようにどこか根っこでつながっていると思います。地域や出会った皆さんとのつながりが、私を成長させてくれました。そして、私のチャレンジを支えてくれた家族にも感謝しています」と話してくれました。 ▼新しい3Kを目指し  綾子さんに今後の目標を伺うと、「農家レストランや体験型農業施設をつくること。また、バックパッカー専用の宿を開くことなど、やりたいことはたくさんあります。今、3人の子どもたちが島原で農業に関わる仕事に就きたいとそれぞれの道で修行しています。家族みんなで農業経営に関わり、『かっこ良くて、感動があって、稼げる3K』を目指し頑張りたい」と力強く話してくれました。 (写真2)数々の賞を受賞し、大手のスーパーからも発注がある「プリンdeしょうが」の写真 (写真3)野菜ソムリエとして、調理実習で野菜の説明をしている綾子さんの写真