◎輝く島原人 THE SCENE Vol.09 島原に生きる   広報しまばらでは、生き生きと活動し、楽しみながら社会に貢献する人生の達人たちを「輝く島原人」として紹介しています。 第9回目は、野菜の無農薬栽培に取り組んでいる荒木 光義(あらき みつよし)さん(71)を紹介します。 ▼「人生の達人」荒木 光義さん(71)の経歴  昭和22年、6人兄弟の二男として有明町湯江で生まれ、育つ。中学卒業後、家業である漁業を数年手伝った後、潜水士の資格を生かして防波堤や港の基礎づくりなど港湾の仕事に携わる。定年退職後は、「有明ボカシの会」の会長を務め、生ごみ堆肥化や環境美化などに取り組んでいる。有明町湯江在住。  毎日のように家庭から出る生ごみ。その生ごみを堆肥化して、野菜の無農薬栽培に取り組んでいるのは、「有明ボカシの会」の会長 荒木光義さんです。 ▼ふるさとへの恩返し  定年退職後、「人のために何かできることはないか」と考えていた荒木さんは、知人に誘われて参加したごみ減量化の講演会で、捨てるだけの生ごみが、EMぼかしを利用することで環境に優しい良質な堆肥となり、それを使用すると、すごくおいしい野菜ができることを知り、衝撃を受けたそうです。  「この取組は、ごみの減量化だけではく、環境にやさしい、おいしい野菜ができる、1石3鳥のメリットがある。これを多くの人に広めることで『ふるさとへの恩返し』ができるのではないかと考え、それから生ごみを貴重な資源として堆肥化し、無農薬栽培の取り組みを始めました」と話してくれました。 ▼10年の節目の年  平成24年2月に「有明ボカシの会」を設立。設立前からの地道な活動を含めると今年でちょうど10年の節目の年を迎えるそうです。  潜水士だった荒木さんは、生まれて初めて作った野菜がびっくりするほどの出来栄えで衝撃を受け、腕ではなく生ごみを堆肥化した成 果だと実感した瞬間を昨日のことのように鮮明に覚えています。  「無農薬栽培には手間暇がかかり大変な時もありますが、その分、収穫するときの喜びはひとしおです。多くの人に活動を知ってもら うために、毎年、会員が収穫した野菜の展示や試食会を開催しています。まずは、無農薬栽培でつくった野菜の出来栄えを実際見てほし いですね」と力強く話してくれました。 ▼疲れが吹き飛ぶ瞬間  ごみの減量化やリサイクルの意識を高めようと、年間を通して市内の小学校で栽培指導(土づくり、苗植え、収穫)を行っている荒木 さんは、指導した子どもたちから届くお礼の手紙が大切な宝物になっているそうで、「子どもたちから『収穫した野菜がとてもおいし く、嫌いだった野菜が好きになった』というたくさんの手紙が届く時が一番うれしく、やりがいを感じ、疲れが吹き飛ぶ瞬間です」と 笑顔で話してくれました。 ▼会員への思い  有明ボカシの会では、市内小学校での生ごみ堆肥化推進をはじめ、廃油せっけんづくりやゴキブリ団子づくり、また、愛護団体として 道路や河川の清掃など、年間を通してさまざまな活動を行っています。  「これまで継続できたのも、会員皆さんのご協力のおかげです。いつも和やかで、会員同士仲が良く、ボランティア活動にも積極的に参加してくれるのがありがたいです。感謝しかありません。これからも大切な仲間と一緒に楽しく活動していきたいですね」と話してくれました。 ▼これからの抱負  「これからも地道な活動を通して、環境や体に優しいごみ減量化の取り組みを多くの人に知ってほしいです。特に、普段から生ごみ を直接扱う人、老人クラブや婦人会の皆さんなど多くの人に興味・関心をもってもらいたいです。  そして、一人でも多くの人に実践してもらい、ごみの減量化につながればうれしいですね」と笑顔で話してくれました。 「魔法の粉」で生ごみを堆肥化1石3鳥のメリット EMぼかし…「魔法の粉」といわれ、米ぬかにEM(有用微生物群)、糖蜜、キトサンなどの材料を混ぜ込み、1カ月ほど発酵させたものをいいます。生ごみにEM ぼかしをまぶすと、生ごみは腐敗せず発酵して堆肥化します。 (写真1)無農薬野菜を収穫する荒木さん (写真2)新鮮な無農薬野菜 (写真3)有明ボカシの会の皆さんと仲良くぼかしづくり (写真4)小学校で苗植えを指導する荒木さん