◎つなごう!未来へ 島原半島ユネスコ世界ジオパーク  島原半島ジオパーク協議会(65-5540) 長い年月と川の流れがもたらした生活用具 土黒川(ひじくろがわ)の砂鉄  「くろがね川の水きよし」。これは雲仙市立土黒小学校の校歌の一節です。  漢字で“鉄川”と表すくろがね川は、土黒川の別名で、川の周りやその河口付近に黒光りする砂鉄がたくさんたまっていることに由来しています。砂鉄は、磁鉄鉱(じてっこう)と呼ばれる鉱物が溶岩から分離したもので、磁石で簡単に集めることができます。そのため、日本では磁鉄鉱の粒を集めて加熱し、比較的温度が低くても純度の高い鉄を採り出すことができる「たたら製鉄」の技法を用いて、千年以上も前からさまざまな鉄製品がつくり出されてきました。土黒川の周辺に金山という地名が残るほか、川の周りには鉄を製錬した時に出来た鉄くずも転がっています。それにしても、なぜ土黒川の周りでたくさんの砂鉄が採れるのでしょうか?  土黒川は、奥雲仙の美しい景色をつくる舞岳や鳥甲山(とりかぶとやま)の麓に源流を持ち、近くの神代川(こうじろがわ)や西郷川に比べて、山奥から流れ始めています。源流付近では、雲仙火山でも比較的古い時代にもたらされた溶岩や火山灰が、数十万年間も雨風にさらされ、風化していることに加え、千々石断層の活動によって地面に多くのひび割れも入っているため、溶岩の中の磁鉄鉱が分離しやすい状態にあります。溶岩や火山灰から分離し、川が運んだ磁鉄鉱は、他の砂粒に比べて比重が大きいため、川の勾配が緩やかになる場所や、海岸の波の穏やかな場所にたまります。それを先人たちが集め、武器や農機具に加工していたのでしょう。  地元の人が親しみを込めて「カナクソ」と呼ぶ、道端に転がる不思議な形の鉄くずが、先人たちの生活を今に伝えています。 (写真)土黒川周辺にみられる、不思議な形をした「カナクソ」 磁石が引き寄せられるほどに、鉄分が含まれてます ○第28回「ジオ空(ぞら)教室」  島原半島の歴史・文化・自然、そしてそれらをつくりだしたジオの魅力を、その道のプロが毎回たのしく紹介します。ふるってご参加ください! ▼と き 2月16日(土)13:30〜15:30 ▼ところ 雲仙岳災害記念館(がまだすドーム)セミナー室 ▼発表者 長崎大学環境科学部の助教、および佐賀大学大学院地域デザイン研究科の大学院生 ▼題 目 島原半島の魅力発掘!〜ジオパーク学術研究成果発表会〜 ▼内 容 平成30年度島原半島ジオパーク学術研究奨励事業を活用して行われた、島原半島の湧水群や歴史・文化に関する研究成果を発表します ▼参加料 無料