◎輝く島原人 THE SCENE Vol.25 島原に生きる 広報しまばらでは、生き生きと活動し、楽しみながら社会に貢献する人生の達人たちを「輝く島原人」として紹介しています。 第25回目は絵本のおもしろさと読みかたりの楽しさを知り、市内各施設でおはなし会や昔話の朗読をしている山田 和子(やまだ かずこ)さんを紹介します。 「人生の達人」山田 和子(やまだ かずこ)さん  佐々町で生まれ、幼少期を江迎町(現佐世保市)で過ごす。東京の大学を卒業後、教職に就き結婚・出産を機に、絵本の読みかたりを始め、37年前に島 原へ生活の場を移す。市内中学校の国語講師や教育委員会での職務を経て司書資格を取得し、平成19年から学校司書として市内小中学校で勤務している。  島原図書館協議会委員副委員長、第二次島原市子ども読書活動推進計画策定委員会委員副委員長、市制施行70周年記念表彰 教育文化功労(平成22年) 本と共に生きる〜人生の宝箱〜 (写真)児童が興味を持った本に対して、年齢に応じた本の説明や読む際のアドバイスをする山田さん ▼本の楽しさを伝える  小学生時代、担任の先生から「ああ無情」(ヴィクトル・ユーゴー作)の話を聞き、強い衝撃を受け「是非、その本を読んでみたい」と思ったことが、山田さんの記憶に残る本との最初の出会いです。  「本」には自分が経験したことがないことや、味わったことのない感情がたくさん詰まっていて、現実とは違う世界を楽しめたり、たくさんの知恵や生き方を教えてもらえます。  「もっと深く本や図書館のことを知り、多くの人に本を手渡したい」という思いから司書を目指したそうです。  司書として「読書」を勧める理由は、「紙を1枚ずつめくり、違う世界に入っていく楽しみを知ることで、さまざまな経験や感情、考えを積み重ね、心が育っていくように思えるからです」と話してくれました。  あまり本を読まない子どもに本を紹介したところ、「面白かったです」と感想を伝えに来てくれ、十数冊あったシリーズを読破してくれたことが複数の学校であり、今でも忘れられない嬉しい思い出だそうです。逆に何を紹介しても借りるだけで読まない子どももいるので、「いかにして読書力をつけていくかが大きな課題です」と、司書としての胸の内を話してくれました。 ▼子どもたちに出来ること  便利で素早く情報が得られる電子書籍にはない紙媒体の良さは、「紙をめくる行為の心地よさと、何度も自由に先へ進んだり、後戻りしたりできること」だそうです。「本に触れ、活字に触れ、紙に印刷された絵に触れることで本の良さを知り、読書力が育まれると思います」と教えてくれました。  今の子どもたちは忙しく、楽しむ選択肢も増えたため、本をあまり読まなくなったと言われますが、「本に対する反応」は変わらないそうです。読みかたりを始めると、子どもたちは本の世界へすぐ入ってきます。「子どもは本が大好き」ということです。  周囲の大人がちょっと声をかけたり、一緒に読むだけで、本が好きになる子どもはたくさんいると信じて、司書の仕事をしているそうです。  山田さんの好きな言葉は「継続は力なり。」あまり力まず、好きなことを、好きな仲間たちと30数年続けてきましたが、今後は子どもたちの読書の質と読書力を高めるため、家庭はもちろん地域や学校が一丸となり、子どもたちの読書活動の推進に取り組みたいそうです。「市民が参加できる、読書に関する講演会やイベントなども近年なかったので、実現に向けてこれからも頑張りたいです」と今後の目標を語ってくれました。 (写真・左側上)第一小学校で毎週絵本の読みかたりをする山田さん。性別や年齢関係なく、真剣に聞く子 どもたちの眼差しが大好きだそうです。 (写真・左側中・下)学童保育の子どもたちに、読みかたりを始め、手あそびや折り紙あそびなどを通して、大人や地域との触れ合いを大切にする山田さん。 読書週間(10月27日〜 11月9日)