●つなごう!未来へ 島原半島ユネスコ世界ジオパーク  島原半島ジオパーク協議会(65-5540) ○湯けむりを守り続けた人 ー 本多湯太夫(ほんだゆだゆう)と小浜歴史資料館 ー 寒い日が続く2月は、小浜のまちを包む湯けむりもその勢いを増します。小浜温泉は、奈良時代初期に諸国の地名や産物などを記した「肥前国風土記(ひぜんのくにふどき)」にも記述がある温泉場で、100℃近い高温の温泉(ナトリウム―塩化物泉)が大量に湧き出しています。この小浜温泉を代々守り続けてきたのが、本多家です。  1614年、島田氏と共に三河から来た本多親能(ほんだちかよし)氏は、小浜の地に初めて湯小屋を建てます。その後「島原・天草一揆」を経て、1684年、親能の三男・親次(ちかつぐ)が、当時の島原藩主であった松平忠房公から正式に湯太夫の称号を得て以来、本多家は小浜温泉の維持管理と活性化に奔走し、多くの産業や特産品を生み出しました。その中でも特筆すべき取り組みは、「小濱鉄道(おばまてつどう)」の敷設です。  1923年、温泉軽便鉄道が愛野村から千々石まで開通しました。これを契機に鉄道を小浜まで延長し、より多くの観光客を小浜温泉に導くことを目的に、十代目の本多親宗(ほんだちかむね)は有志と共に「小濱地方鉄道株式会社」を設立します。ダイナマイトとつるはしだけを用いて猿葉山(さるばやま)の溶岩を切り通し、トンネルを掘る、という難工事の末、1927年に鉄道は「肥前小浜駅」まで開通しました。しかし、終着駅が温泉街の中心地から離れていたことや、同じ時期に自動車やバスが普及したこともあり、小濱鉄道は開通から11年後の1938年に廃線となってしまいました。この時つくられた「旧小濱鉄道トンネル群」は、近代日本の国際化とそれに伴う経済活動の活性化に貢献したとされ、「雲仙観光ホテルと雲仙観光関連遺産」の構成要素の一つとして、2007年に経済産業省の近代産業遺産に認定されています。  本物の島原城の門が玄関に使用され、築170年以上の歴史を有する本多家の邸宅は、現在は小浜歴史資料館となり、小浜温泉の歴史を今に伝えています。 (写真)小浜歴史資料館 ○第39回「ジオ空教室」 島原半島の歴史・文化・自然、そしてそれらをつくりだしたジオの魅力を、その道のプロが毎回たのしく紹介します。ふるってご参加ください! ▼と き 3月7日(土) 13時30分〜15時30分 ▼ところ 雲仙岳災害記念館 セミナー室(島原市平成町1-1) ▼発表者 九州大学大学院農学研究院および佐賀大学芸術地域デザイン学部 ▼題 目 島原半島の魅力発掘 「島原半島ユネスコ世界ジオパーク学術研究成果発表会」 ▼内 容 今年度、島原半島ユネスコ世界ジオパーク学術研究奨励事業を活用して行われた研究の成果を発表していただきます。 ▼参加料 無料  ※事前申し込み不要 (写真)島原半島の空撮