平成二十三年度 施政方針(要旨) 市議会3月定例会で横田市長は、 「平成23年度施政方針」を述べました  我が国経済は、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況となっています。  本市では、「第6次島原市市勢振興計画」に基づき、都市づくりビジョンの実現や、重点プロジェクトの推進を市民皆様との協働により取り組み、「新しい光を放つ島原市」づくりを進めます。  今年は、雲仙・普賢岳噴火災害から丸20年の年となります。大火砕流により犠牲となられた皆様への追悼や災害体験、復興への道のり、感謝の気持ちを次世代に伝える取組みを進めます。  来年5月に「第5回ジオパーク国際ユネスコ会議」が当地で開催されますが、島原半島3市の緊密な連携を軸に、あらゆる面で「島原半島ジオパーク」を活かし、地域振興に取り組みます。  以下、重点的な施策について、部門ごとに説明します。  1総務部門  行財政改革は、「第4次行政改革大綱」に基づき取り組みます。外部評価については「行政評価委員会」からの提言を踏まえ、事務事業評価制度や補助金制度の見直しなどに努めます。  市ホームページはリニューアルを行い、市民に解りやすい行政情報の提供に努めます。併せて県の「長崎県自治体クラウドサービス」を活用し、電子自治体化への推進を図ります。  「市民との協働」による行政運営は、各種委員会などの委員公募や市民による提案型補助金制度の試行を継続し、地域力を結集した市政推進を図ります。  男女共同参画社会づくりは、「島原市男女共同参画計画」に基づき、具体的施策に取り組みます。  国際化の推進は、ジオパーク国際ユネスコ会議などの開催を契機に、市民の国際感覚の醸成と国際交流を推進します。       広域交通ネットワーク整備は、地域高規格道路「島原道路」の全線早期整備、「島原・天草・長島架橋」の構想推進に向けて引き続き要望を続けます。  また、九州新幹線鹿児島ルートの全線開業により、沿線主要都市との連携を深め交流人口の拡大を目指します。  市内公共交通は、「島原市地域公共交通総合連携計画」に基づき、コミュニティバスや乗り合いタクシーの実証運行などに取り組みます。  市庁舎は、新庁舎建設についての基本構想を策定したいと考えております。  有明庁舎は、耐震性の不足に伴う耐震補強工事を計画しております。  地籍調査事業は、引き続き安中地区を実施します。  防犯灯は、平成23年度で全地域のLED化が完了します。  市税のコンビニエンスストアでの収納は、平成23年度は軽自動車税、平成24年度からは市県民税(普通徴収)、固定資産税および国民健康保険税の取扱いができるように準備を進めます。  文化振興は、自主文化事業などを開催し、地域文化の活性化を推進します。  スポーツの振興は、市民体育祭や各種スポーツ教室を開催し、市民の健康増進とスポーツに親しめる社会づくりを目指します。  さらに、平成26年第69回国民体育大会「長崎がんばらんば国体」の開催に向け、市立弓道場・体育館および人工芝グラウンドの整備に着手します。  2福祉・保健部門  障害者福祉対策は、介護給付事業、訓練等給付事業、地域生活支援事業並びに障害者福祉タクシー助成事業などを実施します。    高齢者福祉対策は、高齢者福祉交通機関利用助成事業や緊急通報システム事業などに加えて、新たに救急医療情報カプセル(命のカプセル)配付事業を実施します。  児童福祉対策は、「島原市次世代育成支援後期行動計画」に基づき子育て支援の充実を図ります。特に、保健センター内に開設した「子育て支援室」を拠点に、在宅における子育て支援を積極的に展開します。  また、子ども手当の支給や、すこやか子育て支援事業に加えて乳幼児福祉医療費の現物給付化の実施に取り組みます。  医療対策は、長崎県島原病院の勤務医師の確保や診療科目の充実を図るため、大学や長崎県病院企業団運営会議および島原病院運営協議会などを通して要望しし、医療体制の確立に取り組みます。また、島原市医師会看護学校が設置する就学金基金に出資し、就学支援と地元定着を図ります。  救急医療対策は、日曜、休日の在宅当番医制と病院群輪番制により対応し、歯科休日診療当番医制に対する助成も実施します。  国民健康保険事業は、財政運営が非常に厳しくなり、保険税率を改定させていただいたところであり、今後とも、事業の円滑な運営に鋭意努力します。  予防接種事業は、定期予防接種に加え、子宮頸がんワクチン、ヒブワクチンおよび小児用肺炎球菌ワクチン接種費用の助成を実施します。  母子保健事業は、妊婦一般健康診査、新生児聴覚検査、5歳児健康診査、むし歯予防のためのフッ素塗布事業などの施策を推進します。  成人期の生活習慣病予防対策は、特定健康診査の受診率向上を図ります。  乳がんや子宮がんの検診は、一定の年齢に達した女性に対し、受診料の無料化を実施します。  食育推進は、食生活改善推進員養成講座を実施し、ボランティアの育成に努め、食生活改善推進員協議会などと連携し、食育を推進します。  3環境部門  環境の保全は、「島原市地球温暖化防止計画」に基づき、より一層の省エネ推進に努めます。新エネルギーの利活用を促進するため、一般家庭向けの太陽光発電設備の設置に対する補助を実施します。  また、国の基金事業を活用した不法投棄パトロールや環境維持支援事業を実施するほか、EM菌による河川などの水質浄化を推進します。  廃棄物処理は、旧島原市と旧有明町の資源物の分別区分および収集体制の統一化を図るとともに、ごみの減量化に努めます。可燃物のごみ収集は、月曜日から木曜日までの祝日については、翌日収集を実施します。  し尿処理は、島原市浄化苑の更新について、基本計画作成に取り組みます。 4農林水産部門  環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加協議問題は、本市としても国に対して慎重な対応を求めるべき課題だと考えております。  農業が基幹産業である本市にとって、「島原やさい」など農産物等のブランド化を図るため、国・県の補助事業を活用しながら経営基盤の強化を図ります。  国においては平成23年度から「農業者戸別所得補償制度」に重点的に取り組むこととされているため、制度の有効な活用を推進します。  担い手対策は、新規農業後継者への就農奨励金支給や各種農業者団体への研修費助成などを実施します。  畜産関係は、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなどの伝染病の発生防止に長崎県や関係団体と連携を図り全力で取り組みます。  平成24年度第10回全国和牛能力共進会長崎県大会の「島原会場」でのイベントを盛大に開催するため、長崎県実行委員会で計画・準備を進めます。  畜舎などの環境保全対策は、耕種農家と連携して堆肥化による土づくりを行う資源循環型農業の確立を推進します。  耕地関係は、県営事業として三会原(みえばる)第2地区の畑地帯総合整備事業が実施中であり、さらに、第3地区の事業採択に向けて事業の推進を行います。  宇土山地区は、耕作放棄地解消・発生防止基盤整備事業に採択され、今年度は実施設計や区画整理工事が予定されており、円滑な推進を支援します。  団体営の基盤整備促進事業は、有明町の下辻(しもつじ)地区区画整理工事に着手しており、今年度は、さらに区域の追加手続きを行い農業基盤整備を推進します。 雲仙グリーンロードに架かる橋りょうの耐震補強工事は、島原市域内では今年度2橋、平成25年度2橋が計画されております。  ため池の改修は、深底(ふかぞこ)ため池、植松(うえまつ)ため池の改修工事を実施しており、今後も整備に努めます。  農作物被害対策は、イノシシやカラスなどの有害鳥獣駆除を実施するとともに、侵入防止柵の設置を推進します。  林業関係は、湊島(みなとじま)や有明町水之出口(みずのでぐち)地区などの松くい虫防除対策を実施します。  水産業振興は、ヒラメやカサゴ、ガザミなどの種苗放流、ヒラメやカサゴなどの中間育成後の放流および抱卵ガザミの保護に取り組みます。  養殖漁業は、トラフグの生産性の向上とともに、販路開拓やブランド化に取り組みます。さらに、ノリ、ワカメ、コンブなどの安定生産はもとより、新たな加工品の研究開発、販路開拓など特色ある産業づくりを目指します。  漁業の後継者・担い手対策は、新規漁業就業者への奨励金制度を実施します。  松尾漁港および三会漁港においては、漁港海岸保全施設整備事業により消波ブロックを設置します。  5商工観光部門  商工業は、国・県の支援施策などの積極的な活用を促し、商工会議所、商工会などとの連携のもと、商工業の振興に努めます。  これまで、湧水などを活かしたポケットパークや湧水ネットワーク整備事業の活用促進を図るとともに、商店街の中に樹木プランターや「一番街まちなか子育てステーション」の設置などに取り組みました。今後も、空き店舗等活用促進事業の実施や、商店街が行うアーケード改修などに対する支援を行います。  企業誘致は、工場設置補助金や情報通信関連企業立地促進補助金の交付、固定資産税の課税免除措置などの優遇措置を講じています。今後も、市有地や民有地の斡旋、空き工場の活用など企業の誘致を図ります。  雇用・労働対策は、国のふるさと雇用再生特別交付金や緊急雇用創出事業臨時特例交付金を活用し、雇用の場の創出に努めます。島原市シルバー人材センターについては、円滑な事業運営について引き続き支援を行います。  物産流通は、関西から中国地域および九州各地において、物産展や商談などを展開して積極的に紹介し、島原らしい特産品の創出と流通促進を目指します。  また、物産館や直売所などにおいて、生産者の顔が見えるような商品を消費者に届けていただけるよう、生産者の皆様方と共に取り組みます。  観光の推進は、地域の特性を活かした滞在型観光や体験型観光、周遊型観光の整備が求められております。  観光客誘致対策は、長崎県観光連盟が実施する修学旅行誘致活動やコンベンション誘致活動と連携し、首都圏や関西地域などへ誘致活動を行います。  観光宣伝は、福岡や熊本等でPR活動を実施し、旬の情報を観光素材集や観光旅行誌などに掲載するとともに、ホームページなどを活用して発信します。  今年3月12日には九州新幹線鹿児島ルートが全線開業するため、誘客活動として関西、中国地域でのPRを行うとともに、熊本駅と島原半島を結ぶシャトルバス運行や、小船や人力車での市内遊覧、市内ジオサイトを巡る無料シャトルバスの運行、宿泊者への地元産品提供などを実施します。  九州新幹線駅の熊本駅、新大牟田駅、新八代駅へ電照看板を設置し、熊本港と熊本駅および三池港と大牟田駅を結ぶシャトルバスへラッピングを行い、観光保養地としてのPR活動を行います。  また、「観光年賀絵はがき」に加え、年賀状に本市の観光や物産の印刷を行い、抽選での当選者に本市の特産品をお年玉としてプレゼントする事業を実施したいと考えております。  観光客の受入れ態勢は、島原港ターミナルや観光ガイド大手門番などの各観光案内所の情報充実を図り、電動自転車によるレンタサイクルを整備します。  島原半島と天草地域で取り組んでいる「雲仙天草観光圏」では、圏域内を巡るパスポート事業を実施するほか、多国語ガイドブックの作成、携帯電話から観光ガイド情報を入手できる事業の拡充を図ります。  島原半島ジオパークの推進は、島原半島ジオパーク推進協議会と国、県、3市がそれぞれの立場で連携を図りながら事業を推進します。  平成23年度は、総合案内板や多国語解説板の整備、ジオ検定本の作成やジオツーリズム講演会、着地型旅行商品モニターツアーの開催や多国語歓迎板の設置、大阪や中国地方などの新幹線駅への電照看板設置に取り組みます。    また、「長崎のいぶくろ島原半島ジオパーク」と題し、ジオグルメマップの作成やグルメイベントを開催します。  島原城は本市にとって大切な財産であり、天守閣をはじめとした4棟の櫓について、耐震診断調査を実施します。なお、築城400周年に向けての事業につきましても、市民皆様からの提言をいただきながら準備を進めます。  コンベンション誘致は、島原復興アリーナを中心とするコンベンション施設の積極的な活用によるスポーツ大会や会議の誘致を図ります。  温泉給湯事業は、今後とも、施設の整備および維持管理を図りながら、温泉の安定供給と温泉事業の円滑な運営に努めます。  6まちづくり部門  活力ある地域づくりと安全で快適なまちづくりのためには、生活環境の整備促進や産業基盤としての幹線道路の整備は必要不可欠であります。  地域高規格道路「島原道路」については、国土交通省や長崎県と連携を図り、全線早期整備に向け積極的に推進します。  船津地区の高潮対策は、県において、護岸などの整備を進められており、市といたしましても招き扉などの増設を計画しております。    公営住宅は、今年度、萩が丘住宅第5期工事の27戸の建設を行い、合計で154戸が完成する予定となっております。  建築物は、戸建て木造住宅の耐震診断、耐震改修計画の作成および耐震改修工事に要する費用の助成などを行います。  都市計画は、地区別懇談会やパブリックコメントなどを実施しながら、新たな「島原都市計画マスタープラン」の策定と併せて、都市計画施設の見直し作業を行います。  都市計画道路は、親和町湊広場線(しんわまちみなとひろばせん)、霊南山ノ神線(れいなんやまのかみせん)、大手北門線(おおてきたもんせん)の整備を計画的に進めます。  景観の形成・保全は、武家屋敷地区をはじめとした景観計画の拡充を進めるとともに、街なみ環境整備事業によるまちづくりに取り組みます。  公園緑地は、「長崎がんばらんば国体」が開催されるため、霊丘公園内の弓道場と体育館の建替えを進めます。  花いっぱいの街づくりは、水無川や中尾川流域における花の観光名所づくりを市民との協働のもと、年次計画で取り組みます。  生活排水対策は、「島原市生活排水処理基本計画」による浄化槽整備を推進します。下水道計画の見直しは、国の制度改正や財政措置の状況を見極めながら取り組みます。  7消防防災部門  防災対策は、「災害に強い人づくり・まちづくり」を推進するとともに、島原市地域防災計画に基づき、災害に強い島原市の実現を目指します。  消防団については、第10分団詰所を移転改築します。  雲仙・普賢岳噴火災害から20年目にあたる今年度は、6月3日の「いのりの日」の行事のほか、噴火災害の体験と教訓を伝承する行事を開催します。  長崎県総合防災訓練は、平成23年度、本市で開催されます。  自主防災組織は、初期消火訓練や救急救命法訓練などの自発的防災活動の促進を図ります。  8教育部門  教育は、郷土や国の将来を左右する最優先の政策課題の一つであり、今後とも、噴火災害からの貴重な体験を通して学んだ「生命(いのち)・きずな・感謝の心」の育成を教育の基盤に置き、心豊かで活力ある生涯学習社会の構築に努めます。  学校教育は、社会の急激な変化に主体的に対応できる、知・徳・体の調和のとれた、郷土島原を担う児童生徒の育成を目指し、保護者や地域の方々との連携を深め、特色ある教育の確立に取り組みます。なお、少人数授業や習熟度別学習などを積極的に取り入れた、きめ細やかな指導の充実を図り、また、地域の方との交流を目的とした土曜教室を継続して実施します。  平成23年度も全ての小・中学校に学校司書を配置し、児童・生徒の豊かな感性を育む読書活動を一層推進します。  いじめ・不登校問題は、各中学校に心の教室相談員を配置し、相談業務の充実を図り未然防止に努めます。  国際化への対応は、小学校高学年で実施している外国語活動の充実を図るとともに、海外中学生などとの相互交流を通して国際感覚の醸成に努めます。  特別支援教育の充実は、「特別支援教育支援員」を増員し、平成23年度から全小学校と中学校3校に配置します。  学校体育は、新学習指導要領に則り、それぞれの特質に応じて適切に行い、健康で安全な活力ある生活を営むための基礎を培わせるよう努めます。  小中学校の施設整備は、計画的に耐震診断の実施とその結果に基づく補強や改築工事を行うなど、学校施設の安全化・教育環境の充実に努めます。  平成23年度は、改築工事中の第一小学校につきまして、2学期からの供用開始に向け工事を進めます。また、新たに第三小学校の改築工事にも着手します。  社会教育は、公民館活動の推進に努めるほか、特に、地域ぐるみの子育てを合言葉に「島原市ココロねっこ運動」に取り組みます。  島原半島ジオパークの関連では、小中学生を対象にジオサイトや郷土の美しい自然を体感する学習を行い、ジオパーク国際ユネスコ会議に向け、英語、中国語および韓国語会話など市民を対象に語学講習会を開催します。  森岳公民館は、利用者の安全性を確保するため耐震補強工事を行います。  文化財の維持管理は、松平文庫などの歴史資料の整理保存に努めるとともに、旧島原藩薬園跡への集客を図るため、来園者用の駐車場の確保を進めます。  9水道部門  「島原市水道事業基本計画」に基づき施設の整備を行います。  有明町簡易水道は、新たな水源の確保、老朽管の布設替えおよび事業の統合を行うため、有明町簡易水道再編推進事業を引き続き行います。  島原市水道事業は、各施設の老朽化に伴う設備の更新や再構築が必要であるため、島原地区簡易水道の統合を含めた施設整備計画を策定します。  また、水道事業全体としては、平成26年度の経営統合および統一料金の設定に向けてさらなる効率的な事業運営について取り組みます。  以上、平成23年度における各部門の主要な施策について、説明しました。厳しい財政状況の中でありますが、全職員一丸となって、時代の要請と市民の期待に応えるため全力を傾注します。  市民皆様におかれましては、市政の推進に一層のご支援とご協力をお願いします。