新年を迎えて  島原市長 横田 修一郎  新年明けましておめでとうございます。  市民の皆様にはご家族お揃いで輝かしい新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。  平成20年12月に市民皆様のご信任をいただき、第19代島原市長として島原市政の運営を進めてまいりまして、早3年が過ぎました。  この間、土・日午前中開庁をはじめ様々な新規事業、施策の推進により「新しい光を放つ島原市」づくりに尽力してまいりましたが、これまで、市政の運営に際しまして皆様から賜りましたご理解とご協力、ご支援に対しまして厚くお礼を申し上げます。  さて、皆様にとりまして、昨年はどのような年でしたでしょうか。  昨年は、平成3年6月の大火砕流惨事から20年の節目の年であることから、1年を通じて雲仙・普賢岳噴火災害20周年事業を実施してまいりました。「いのりの日」の6月3日には、ご遺族はじめ関係の方々など約700名が参列され「犠牲者追悼式」を執り行い、6月4日には「災害・復興シンポジウム」を、10月23日には「医療・保健シンポジウム」を開催しました。犠牲者のご冥福をお祈りするとともに、災害当時第一線で活躍された方々の貴重な体験談や、長期避難者への医療・保健活動を次の世代へ語り継ぎ、今後の災害に備えて、あるいは同じ自然災害で苦しむ他の被災地のために島原の経験や教訓をどのように活かせるかを考える良い機会になったものと存じております。  現在、噴火災害から20年経過した今を後世に伝える記録集の作成を進めております。噴火災害と復興の貴重な経験を通して学んだ「生命(いのち)・きずな・感謝の心」を大切にしながら、この災害の記憶を風化させることなく、後世に伝えていくとともに、全国の被災地に「災害は必ず復興できる」との応援メッセージを発信し、さらなる支援につなげてまいりたいと存じます。  折しも、昨年は大規模な自然災害が数多く発生した年でした。2月の霧島新燃岳の噴火、3月11日に発生した東日本大震災、台風による記録的な豪雨災害、海外でも自然災害が相次ぎました。犠牲となられた方々に衷心よりお悔み申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。  それぞれの災害に対し市の基準による災害見舞金の送金や、募金箱の設置などの対応をさせていただきましたが、特に東日本大震災に対しましては、災害発生後すぐに備蓄していた毛布などの支援物資を送付するとともに、職員を派遣し給水支援を実施しました。  また市内20の関係団体にお集まりいただき「東日本大震災支援島原実行委員会」を立ち上げ、広く市民皆様から義援金や救援物資も提供いただきました。  島原半島出身の「在京者による東日本大震災救援対策本部」のご支援ご協力により、島原半島3市が連携して被災地での炊き出し支援や、昨年暮れには岩手・宮城・福島の各県から約100名の小・中学生を島原半島に招待することもできました。安中地区の菊生産者による白菊1万本の支援や、ボランティアバス「ご恩返し号」による支援、様々な行事での被災地特産品の支援販売、さらには島原の子ども達による心のこもった激励もありました。災害発生直後から被災地に派遣した島原市職員は、昨年末時点で77人に上り、延べ日数にいたしますと895日間、現地で災害支援業務に当たっております。  この間市民・関係皆様のご理解ご協力により、災害を経験した島原ならではの支援ができたものと思っておりまして、今後ともできる限り息の長い支援を続けてまいりたいと存じております。  さて、私は市政の運営に際して、市民皆様と行政との「協働」の取り組みを基本にしております。地方自治、地域主権の主人公であります住民の皆さんと行政が共に知恵と汗を出し合って、みんなが幸せを実感できるまちづくりを進めていくという理念のもとに、様々な施策の実現に努めており、昨年も様々な分野で多くの方々の参画をいただきました。本年も、市民皆様と行政が一体となって、各種施策のさらなる推進を図ってまいりたいと存じます。  いよいよ本年5月12日から15日まで日本で初めてとなる「第5回ジオパーク国際ユネスコ会議」が当地で開催されます。会議に参加される国内外からのお客様に対して島原半島の歴史や文化を感じていただき、火山と共生する島原半島ジオパークの魅力を大いにアピールし、半島3市一体となり、市民の皆様と協働で大会を成功させたいと存じております。  また、本年10月25日から29日にかけては「第10回全国和牛能力共進会」が島原復興アリーナと佐世保市を会場として開催され、多くの入場者が見込まれております。さらには平成26年の「長崎がんばらんば国体」の開催に向けたプレイベントの開催など大型イベントが続きます。加えて間もなく予定されている長崎〜上海航路の本格運航を本市観光活性化の絶好の機会と捉え、交流人口の拡大を図ってまいりたいと考えております。  本年も、島原市市勢振興計画の実行指針であります五つの都市づくりビジョンに沿って様々な事業を実施してまいりますが、それら事業構想の一部をご紹介しながら新年の抱負の一端を述べたいと存じます。  一つ目は「島原半島の中心都市づくり」についてであります。平成26年開催の「長崎がんばらんば国体」の開催に向け、昨年島原市体育館弓道場及び人工芝グランドの本体工事に着手し、受け入れ態勢の整備を行っております。 今後は積極的なPRや広報活動により市民総参加への機運の醸成に努めてまいります。また、市役所新庁舎の建設に向けて、庁舎建設基本構想を作成中でありまして、事業スケジュールなどについてさらなる検討を進めてまいります。島原城につきましては天守閣をはじめ4棟の耐震診断を昨年から実施しておりまして、その診断結果を踏まえ、築城400年を見据えながら、歴史と文化が薫るまちづくりに向け、検討を進めてまいります。  二つ目の「交通・情報ネットワークづくり」についてでありますが、昨年11月、地域高規格道路「島原道路」建設促進決起集会を開催し、島原半島住民の悲願であります全線早期完成に向けた地元の熱意を多くの参加者とともにアピールしたところであります。島原中央道路の本年秋の供用開始が見込まれる中、「ルート未決定区間」のままとなっております本市出平町〜雲仙市吾妻町間(約18q)の調査区間への早期指定、中でも出平町〜有明町間(4q)の新規事業化を強く働きかけてまいります。  三つ目の「安全・安心な暮らしづくり」についてでありますが、昨年より島原市安心・安全な住宅リフォーム支援事業を新たに開始し、市内の施工業者を活用した省エネやバリアフリー化、長寿命化リフォームに対し支援を行っております。また、公用車のエコカー導入や新エネルギーの普及促進など地球環境保全の取り組みを進めるとともに、各種防災対策、交通安全・防犯の推進等、快適な生活環境の整備に努めてまいります。  四つ目の「特色ある産業づくり」についてでありますが、三会漁港及び松尾漁港の海岸保全施設整備事業や下辻地区、三会地区及び宇土山地区の基盤整備事業を推進するなど、農林水産業の生産基盤の一層の向上を図ります。 また、長崎〜上海航路の本格就航を契機とした中国人観光客の受け入れ態勢整備や、九州新幹線鹿児島ルートと熊本航路で通じる九州横断軸の確立を図るとともに、島原半島ジオパークを核とした観光施策の実施、新たな特産品の創出や積極的な物産展開催等により、島原産品のブランド化と販路拡大に努めてまいります。  五つ目の「健康で誇り高く暮らせる『ひとづくり』」につきましては、昨年「健康づくり推進員」を創設し、健康づくりの伝道師としてご活躍いただいておりまして、今後も普及活動を支援してまいります。また各種子育て支援事業や予防接種事業を推進し、医師確保の問題に関しましても、引き続き関係機関等に対し働きかけを行ってまいります。  教育施設の耐震対策につきましては、昨年8月に第一小学校の改築が完了し、9月からは第三小学校の改築工事に着工し現在工事が進んでおります。今後も計画的に耐震補強工事を実施し、平成24年度中にはほぼ100%の耐震化率を達成する見込みです。  これらのビジョンを支える「三つの行動方針」に基づき、行財政改革の着実な実施、正確・迅速な情報発信などに努め、経済情勢や社会の変化に的確に対応した各種施策を効果的に実施してまいります。  以上が、五つの都市づくりビジョンに沿った私の新年の抱負の一端であります。  大変厳しい社会情勢、経済環境下ではありますが、「市民と行政の協働」によるまちづくりを推し進め、歴史や文化、雄大な自然やその恵みなど、他の地域にはない島原の素晴らしい潜在力を磨き、活かして、未来に向けて光を放つ島原市を着実に築き上げてまいりたいと存じております。  どうか、皆様方の一層のご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。  本年が、皆様にとりまして、素晴らしい年となりますよう心から祈念いたしまして、新年のご挨拶といたします。