平成24年度施政方針(要旨) (写真)島原市長 横田修一郎  3月1日に開会された市議会3月定例会初日に、横田市長が平成24年度市政運営に対する基本姿勢および今後取り組む重点施策を「平成24年度施政方針」として述べました。 はじめに  我が国の経済は、東日本大震災と福島第一原発事故により大きな打撃を被るとともに、円高の影響などから、先行き不透明な状況です。  本市としては、平成22年に策定した「第6次島原市市勢振興計画」における5つの都市づくりビジョンの実現に向け、「市民と行政との協働」により、「新しい光を放つ島原市」づくりを推進します。  重点施策としては、以下の四つについて取り組みます。 @観光活性化と交流人口の拡大  第5回ジオパーク国際ユネスコ会議、第10回全国和牛能力共進会が開催されるため、市民の皆様と力を合わせて成功させます。これらイベントや長崎〜上海航路の本格運航を契機に、観光活性化や交流人口の拡大に全力で取り組みます。 A地域経済の活性化と雇用の創出  地域経済の活性化ならびに雇用の創出・増大を図るため、農援隊を利用する際の農家の負担軽減策を新たに講じるとともに、新規企業の立地や地場企業の拡大ならびに雇用の増大に向け、新たな制度を創設します。 B安全・安心なまちづくりと防災対策の推進  安全・安心なまちづくりには、「市民と行政との協働」が不可欠であり、町内会・自治会における高齢者見守り活動などへの支援制度を創設します。また防災面では、防災行政無線のデジタル化に向けた検討を進めます。 C行財政改革のさらなる推進  行財政改革は、不断の取組みが必要であり、徹底した行政コストの縮減や施設運営のあり方検討などに、鋭意取り組みます。  以下、部門ごとに申し上げます。 1 総務部門  行財政改革は、定員管理の適正化や民間委託の推進、職員の意識改革や人材育成など、「第4次行政改革大綱」に基づき取り組みます。  指定管理者制度の活用は、「有明福祉センター」と「平成町人工芝グラウンド」の管理を開始します。  電子行政の推進として、持ち運び可能なタブレット端末を導入するとともに、フェイスブックやツイッターに対応したホームページへの改修を行います。  「市民との協働」は、公募委員の拡充とともに、「島原市がまだす地域づくり補助金」を改善し地域づくりの推進や町内会・自治会における、地域の見守り、ごみ収集、自主的な清掃活動などを支援します。  男女共同参画社会づくりは、「島原市男女共同参画計画」に基づき、すべての個人がその個性と能力を十分に発揮できる地域づくりを目指します。  国際化の推進は、外国語講座に加え、外国人との交流の機会を増やすなど、国際化に対応した人材育成への取り組みを充実します。    半島地域の振興は、地域高規格道路「島原道路」の全線早期整備や、「島原・天草・長島架橋構想」の推進など、関係省庁へ要望を続けます。  九州新幹線鹿児島ルートの全線開業を受け、沿線主要都市との連携を深め、交流人口の拡大を目指します。  市内公共交通は、バス停上屋の整備促進とともに、地域の実情に合った公共交通について具体的な検討を行い、本格運行につなげます。  市庁舎の建設は、基本構想案を策定中であり、今後、パブリックコメントを実施し、この基本構想をもとに基本設計業務などを行います。  有明庁舎は、エレベーターの設置に向け設計を行います。  地籍調査事業は、引き続き安中地区を実施します。  交通安全対策は、高齢者に対する交通安全講習会を開催します。  防犯対策は、「振り込め詐欺」の被害防止に取り組みます。  市県民税、固定資産税および国民健康保険税のコンビニエンスストアでの収納取扱いを開始します。  窓口業務は、土曜日・日曜日の窓口開庁を引き続き取り組みます。  住民票の住所は、アパート名などを入れ、分かりやすい表示とします。  文化振興は、自主文化事業、美術展、音楽祭、文化講座などを開催します。  スポーツの振興は、平成新山島原学生駅伝大会の開催や平成町人工芝グラウンドなどを活用して、生涯スポーツの推進に努めます。 2 福祉・保健部門  障がい者福祉対策は、介護給付事業や訓練等給付事業ならびに地域生活支援事業を実施します。  高齢者福祉対策は、高齢者福祉交通機関利用助成事業、ねたきり高齢者等おむつ費助成事業、緊急通報システム事業などを実施します。  児童福祉対策は、各種相談の充実を図るとともに、各種講座・講演会などを開催します。さらに、「すこやか子育て支援事業」に引き続き取り組みます。  ひとり親家庭等対策は、母子自立支援員による相談・指導や貸付制度および就労支援などに努めます。  低所得者対策は、ハローワークおよび社会福祉協議会と連携し、離職者に対する支援の強化や生活保護制度を適正に運用し、自立を促進します。  医療対策は、長崎県島原病院の医師確保や診療科目の充実を図るため、大学や長崎県病院企業団などに対し要望を行うとともに、島原市医師会看護学校の就学金基金に出資を行います。  救急医療対策は、医師会などと共同で小児の休日診療事業を実施し、在宅当番医制と病院群輪番制や歯科休日診療当番医制に助成を実施します。  国民健康保険事業は、財政運営が大変厳しい状況にあり、今後とも、生活習慣病の予防対策などの充実を図り事業の円滑な運営に向けて取り組みます。  生活習慣病予防対策は、特定保健指導や慢性腎臓病対策を実施し、また、健康診査データを一貫して把握できる健康診査システムを新たに整備します。  健康づくりは、高齢者の運動・口腔機能の向上や栄養改善を図るため介護予防事業、また、食生活改善推進員協議会などと連携し食育を推進します。  予防接種事業は、定期予防接種、子宮頸がん予防のためのワクチン接種、細菌性髄膜炎予防のためのヒブワクチンおよび小児用肺炎球菌ワクチンの接種、高齢者を対象として肺炎球菌ワクチン接種費用の助成を実施します。  母子保健事業は、妊婦一般健康診査、乳幼児の各種健康診査、5歳児健康診査、フッ素塗布事業などの施策を推進します。  がん検診は、各種がん検診の受診料の助成や、一定の年齢に達した方に受診料無料化の実施など、早期発見、早期治療を図ります。 3 環境部門  環境の保全は、温室効果ガス削減に取り組み、一般家庭向けの太陽光発電設備に対する補助を実施するほか、新エネルギーの利活用について研究を進めます。また、EM菌による河川などの水質浄化を推進します。  環境衛生は、飲用井戸の水質検査および湧水量の調査を継続します。  廃棄物処理は、生ごみの堆肥化や資源ごみの再資源化を推進します。  可燃物のごみ収集は、月曜日から木曜日までの祝日について翌日収集を実施しており、金曜日が祝日に当たる場合についても新たに前日収集を実施します。  し尿処理は、島原市浄化苑の更新について、基本設計の作成に取り組みます。 4 農林水産部門  環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)については、市としても、全国市長会を通して慎重に判断されるよう、国に強く要請しています。  経営基盤の強化対策は、農地の基盤整備や農業用施設、機械などの導入を進め、経営規模の拡大を図ります。  担い手対策は、新規農業後継者への就農奨励金支給や各種農業者団体への研修費助成などを実施します。  環境保全型農業は、緑肥用ヒマワリの作付けを推進します。  農作物の被害対策は、イノシシ捕獲のための箱ワナの増設や捕獲檻でのカラスの捕獲などにより有害鳥獣駆除を強化します。  畜産関係は、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザ伝染病の発生防止に取り組みます。また、第10回全国和牛能力共進会長崎県大会の「島原会場」でのイベントを盛大に開催するため、PRに取り組みます。  耕地関係は、三会原第3地区も平成25年度の新規事業採択に向け、手続きを進めます。宇土山地区は、区画工事に着手しており、引き続き円滑な推進を支援します。  団体営事業として、有明町の水田地帯である下辻(しもつじ)地区の北側水田の約4.7ヘクタールについても事業区域の追加手続を行います。  農業用用排水路や農道の改修は、国の戦略作物生産拡大関連基盤整備事業などで取り組むとともに、ため池の維持管理は、土地改良施設維持管理適正化事業などを活用し整備に努めます。  農地・水保全管理支払交付金の制度は、本市で24組織が環境保全活動に取り組んでおり、事業の継続的取り組みや新規地区の推進などを支援します。  林業関係は、松林を守るため、湊島(みなとじま)や有明町水之出口(みずのでぐち)地区などの松くい虫防除対策を実施します。  水産関係は、ヒラメやカサゴ、ガザミなどの種苗放流を実施し、ヒラメやカサゴなどの中間育成後の放流、抱卵ガザミの保護などに取り組みます。  漁場整備は、有明海の大規模な海底耕耘が計画的に実施されており、併せて、海藻の移植などに取り組む環境生態系保全活動を支援します。 養殖漁業は、トラフグやノリ、ワカメ、コンブなどの品質や生産性の向上を目指すとともに、ジオアワビの養殖事業についても取り組みます。 後継者・担い手対策は、新規漁業就業者への奨励金制度を実施します。 三会漁港、松尾漁港の高潮対策は、今年度から消波ブロックを設置します。 5 商工観光部門  本市の商工業は、国・県の支援施策などの積極的な活用を促し、商工会議所、商工会などの関係機関との連携のもと振興に努めます。  中心市街地への来街者増加対策として、湧水ネットワーク整備事業の活用を促進し、街のお休み処を設置し、ゆとろぎの湯駐車場において毎月第2・第4日曜日います。  今後も、空き店舗等活用促進事業の実施や、商店街が行うアーケード改修に支援を行います。  企業誘致は、新規企業の立地や地場企業の拡大を促進して産業の振興と雇用の創出や増大を目指し、条例に基づく新たな支援制度を設けます。  中小企業の育成・支援は、商工会議所、商工会による取り組みを支援します。  金融面は、本市の融資制度である島原市中小企業振興資金や国・県の融資制度の利用促進を図ります。  雇用・労働対策は、新たな支援制度や国の緊急雇用創出事業臨時特例交付金などを活用します。  物産流通は、本市産品の知名度の向上、新商品開発、販路拡大の3つを基本の柱とし、さらなる島原ブランドの確立に向けて取り組みます。  本市産品の知名度の向上は、物産展や商談会などを展開して農畜産物や水産物、加工品の魅力を積極的に紹介します。  新商品開発は、島原市特産品創出事業「島原のこらやっちゃよかばい事業」に加えて、商品の研究・開発の段階から支援制度を設けます。  販路拡大は、本市の商品が「島原からのおくりもの」として、首都圏における百貨店やスーパーでの販売がなされるよう流通促進に取り組みます。  観光は、第5回ジオパーク国際ユネスコ会議を島原半島民一体となって成功に向けて全力で取り組みます。  今年度は、総合案内板や多国語解説板、誘導案内板の整備、ジオ検定を実施するほか、ガイド養成講座を開講します。  九州新幹線鹿児島ルートの活用は、熊本県や熊本市と連携を図りつつ、関西、中国地域でのPRを行うなど誘客対策を推進します。  このため、熊本駅と島原半島を結ぶシャトルバス(シーガル)の運行、小船や人力車での市内遊覧、市内ジオサイトを巡る無料シャトルバスの運行、しまばら湧水館での郷土料理体験、宿泊者への地元産品提供などに取り組みます。  また、空港や九州新幹線駅へ電照看板を設置し、観光宣伝に努めます。  観光客誘致事業は、首都圏や関西地域などの学校や学会などへ修学旅行やコンベンション誘致活動を行います。  観光客の受け入れ態勢は、島原観光ボランティアガイドやジオガイドの活用、島原港ターミナルや観光ガイド大手門番などの各観光案内所の充実に努め、総合的な観光ガイドブック「よかナビ島原ガイドブック」を作成します。  スポーツ・コンベンションやキャンプ誘致は、島原復興アリーナ、平成町人工芝グラウンドなどの積極的な活用を図ります。  島原半島と天草地域で取り組んでいる「雲仙天草観光圏協議会」では、教育旅行の誘致に向けた取り組みなど、誘客対策の強化に努めます。  島原半島「GAMADASU(がまだす)」プロジェクトでは、観光客の誘致と特産品の販売拡大に取り組みます。  本市では「薬草ウィーク」を開催し、薬草の生産・加工・販売が促進されるよう連携を図ります。  島原城は、天守閣の耐震補強設計を実施します。  なお、西暦1618年に築城が開始されており、築城400周年の記念事業は、市民皆様からのご意見もいただきながら取り組みます。  温泉給湯事業は、温泉の安定供給と温泉事業の円滑な運営を図る見地から、温泉給湯事業検討委員会での提言を踏まえ検討します。 6 まちづくり部門 活力ある地域づくりと安全で快適なまちづくりのためには、生活環境の整備促進や産業基盤としての幹線道路の整備は必要不可欠であります。  地域高規格道路「島原道路」の秩父が浦町から下折橋町間は、整備促進が図られており、さらに、出平町から有明町間の新規事業化を要望します。  市道は、道路の改良や舗装などを実施するとともに、歩道のバリアフリー化や交通安全施設などの整備を進めます。  船津地区の高潮対策は、県および白山霊丘地区高潮対策連絡協議会と連携し、高潮対策を進めます。  公営住宅は、萩が丘住宅の第6期工事の27戸の建設を行います。  建築物の耐震向上を図るため、戸建て木造住宅の耐震診断、耐震改修計画の作成および耐震改修工事、不特定多数者や身体的弱者などを収容する民間の建築物の耐震診断に対しても助成を行います。  さらに、住宅の省エネルギー化やバリアフリー化および長寿命化への増改築や修繕などのリフォーム工事に要する費用の助成を行います。  都市計画は、新たな「島原都市計画マスタープラン」の策定と併せて、都市計画区域、用途地域および都市計画道路などの見直し作業を行います。  都市計画道路は、霊南山ノ神(れいなんやまのかみ)線の整備を計画的に進めるとともに長池三会(ながいけみえ)線の延伸について要望を行います。  景観の形成・保全は、景観計画地区の拡充を進めるとともに、街なみ環境整備事業によるまちづくりに住民と協働で取り組みます。  公園緑地は、平成26年に「長崎がんばらんば国体」が開催されるため、平成25年3月の完成を目指し、霊丘公園内の弓道場と体育館の建替えを進めます。  新町二丁目に購入しております土地は、鯉の泳ぐまち地区の雰囲気に相応しい施設を整備するため設計に着手します。  花いっぱいの街づくりは、市民との協働による推進を図り、砂防指定地内の利活用と併せ、年次計画で取り組みます。 生活排水対策は、「島原市生活排水処理基本計画」による浄化槽整備を推進します。また、下水道計画の見直しは、国の制度改正や財政措置の状況を見極めながら検討します。 7 消防防災部門  防災対策は、「災害に強い人づくり・まちづくり」を推進するとともに、災害に強い島原市の実現を目指します。また、避難所および道路の標高表示、避難所への誘導看板の設置、防災行政無線のデジタル化に向け検討を進めます。  消防の体制は、消防車両の整備や消火栓、防火水槽などの整備拡充を図ります。なお、平成24年度は中央地区が長崎県消防団ポンプ操法大会に出場予定です。  平成24年度は、三会・杉谷地区を対象とした防災避難訓練を行います。  自主防災組織は、初期消火訓練や救急救命法訓練などの自発的防災活動の促進を図ります。 8 教育部門  教育は、心豊かでたくましく生き抜く力を身につけた人材を育成していくことが大事です。噴火災害復興の体験から学んだ「生命(いのち)・きずな・感謝の心」の精神を引き継ぎ、心豊かで活力ある生涯学習社会の構築に努めます。  学校教育は、少人数授業やきめ細かな指導を充実させて、教育活動を推進します。  学校司書を中心に、読書活動を一層推進します。また、社会奉仕体験活動や自然体験活動などを通して豊かな心を育成します。  いじめ・不登校問題は、各中学校に心の教室相談員を配置し、未然防止に努めます。  国際化への対応は、外国語指導助手4名を中学校に配置し、小学校で実施している外国語活動のために、新たに外国語活動支援員を配置します。併せて、中国への訪問や現地の中学生との交流を通して国際感覚を醸成します。  特別支援教育の充実は、特別支援教育支援員を全小学校と中学校4校に配置します。  学校体育は、体力の向上および心身の健康の保持増進に関する指導は、特別活動などにおいて行い、日常生活においては基礎を培わせるよう努めます。  情報機器の整備は、小中学校に配備しているパソコンについて、平成23年度から平成25年度にかけて、全ての更新を完了する予定です。  社会教育は、公民館活動の推進や青少年の健全育成に努め、「地域ぐるみの子育て」を目的とした「島原市ココロねっこ運動」の充実を図ります。  島原半島ジオパークの関連では、ジオサイトを巡る自然体験学習を行うとともに、英語、中国語および韓国語会話など語学講習会を開催します。  文化財は、歴史資料の整理保存と公開に努めるとともに、旧島原藩薬園跡の整備と駐車場の建設を進めます。また、鉄砲町(てっぽうまち)への伝統的建造物群保存地区制度の導入は、皆様のご意見を伺いながら議論を深めます。  社会教育施設は、有明公民館の耐震補強工事を行います。 9 水道部門  水道事業は、「島原市水道事業基本計画」に基づく施設の整備を行うとともに、平成24年度から水道料金のコンビニエンスストアでの納付取扱いを開始します。  有明町簡易水道は、新たな水源の確保、老朽管の布設替えおよび事業の統合を行うため、有明町簡易水道再編推進事業を引き続き行います。  島原市水道事業は、島原地区簡易水道の統合を含めた、設備の更新や配水システム再構築などのため事業計画の見直しを行い、施設整備を進めます。  水道事業全体としては、平成26年度の経営統合および統一料金の設定に向けて、さらなる効率的な事業運営を検討し取り組みます。  以上が、平成24年度における各部門の主要な施策です。厳しい財政状況の中でありますが、全職員一丸となって、時代の要請と市民の期待に応えるため全力を傾注します。  市民皆様には、市政の推進に一層のご支援とご協力をお願いします。