平成25年度 施政方針 3月4日に開会した3月市議会定例会において、古川市長が「平成25年度 施政方針」を発表しました。 「島原の持つ個性を生かした取り組み」を基本理念に 島原市は、人口減少や高齢化が全国平均を上回るペースで推移するなど厳しい状況が続いていますが、今こそ島原の持つ個性を生かし、中長期的な発展に向けた取り組みを果敢に実行します。 そのため、重点分野として次の7つの施策を掲げ取り組みを進めます。 ◎7つの施策 @ 市民目線に立った行財政改革の推進 A 産業の振興と島原地域ブランドの確立 B 歴史と文化を生かした観光都市づくりと交流人口の拡大 C 子育てにやさしいまちづくり D 高齢者や障がい者などを思いやる福祉の充実 E 島原の将来を担う子どもを育てる教育の充実 F 安全で安心して暮らせる快適なまちづくり 施政方針とは…市政運営に対する基本的な考え方や、主要な施策を示したものです 上記の7つの施策をもとに、平成25年度に取り組む主な内容を各部門ごとに紹介します ▼1 総務部門  行財政運営の見直しは、まず、有明庁舎の有効活用や大手広場の再開発にも留意しつつ、市庁舎建設計画の見直しに取り組みます。  市役所の組織は、分かりやすく親しみやすい窓口を目指し見直しに取り組みます。加えて、平日における各種証明書の早朝発行の導入に努めます。 (写真)市役所窓口の様子  行政改革は、定員管理の適正化や民間活力の導入など、さらなる行政サービスの質の向上を目指します。また、「行政評価委員会」による行政評価を活用して行政の施策や運営などを評価し、事務事業評価と併せて効率的な予算編成に反映させます。  職員提案は、幅広い意見を気軽に提案できるよう現行制度の改善に努めます。  指定管理者制度の活用は、施設利用促進懇話会(仮称)の設置などにより、効果的な運営を目指します。  電子行政の推進は、ITを活用した市民対象の講習会を開催し、フェイスブックや各サイトなどへの積極的な情報の掲載・発信を促します。  地域の活性化は、町内会・自治会の活動や自主防災の必要性、高齢者見守りやごみ出し支援活動などの周知を図るとともに、「島原市がまだす地域づくり補助金・交付金」による支援を継続します。加えて、県の交付金や総務省の「地域おこし協力隊事業」を活用し、地域コミュニティの活性化を図ります。 (写真)各地域で行われているごみ出し支援活動  男女共同参画は、懇話会を中心に、講演会、研修会の開催や民間主導の活動を継続します。  国際化の推進は、英語の中級レベルの講座を新設し、国際的な人材育成に努めます。  半島地域の振興は、地域高規格道路「島原道路」の全線早期整備や「島原・天草・長島架橋構想」などの推進に向け、半島三市の連携を図ります。  京都府福知山市とは、姉妹都市提携30周年を迎え、福知山市への友好親善訪問を実施します。  地域公共交通は、バス停上屋の整備促進とともに、ルート設定や運行時間の改善などを検討します。 (写真)福知山への親善訪問(平成14年11月)  島原鉄道については、「島原鉄道自治体連絡協議会」において、今後の支援方針について検証を行います。  市庁舎の建設は、新庁舎の規模を縮小し、経費の縮減に努めます。  なお、基本構想を策定した後、基本設計業務などに取り組みます。 (写真)島原市庁舎  地籍調査事業は、引き続き安中地区を実施します。  文化振興は、自主文化事業、美術展、音楽祭、文化講座などを開催します。  スポーツの振興は、「平成新山島原学生駅伝大会」の開催や新たに整備した島原市霊丘公園体育館・弓道場などを活用し、交流人口の拡大を図ります。また、世代を超えた交流や地域づくり・人づくり、健康増進が期待される総合型地域スポーツクラブを展開します。 (写真)4月1日にオープンした市体育館・弓道場  国体の推進は、各種リハーサル大会ならびに「全国高等学校総合体育大会」のレスリング競技を開催します。 ▼2 福祉・保健部門  児童福祉対策は、各種相談の充実、きめ細やかな情報提供、講座の開催などにより子育てを支援します。  また、新たに、乳幼児のオムツ代などを助成する「すこやか赤ちゃん支援事業」に取り組むとともに、「すこやか子育て支援事業」を引き続き実施します。 (写真)笑顔を見せる赤ちゃん  障がい者福祉対策は、介護給付事業や訓練等給付事業ならびに地域生活支援事業などを実施します。  高齢者福祉対策は、高齢者福祉交通機関利用助成事業、ねたきり老人等介護見舞金支給事業、ねたきり高齢者等おむつ費助成事業、緊急通報システム事業などを実施します。  ひとり親家庭等対策については、母子自立支援員による相談・指導や就労支援などに努めます。  低所得者対策は、ハローワークおよび社会福祉協議会と連携し支援を強化するとともに、新たに就労支援員を配置します。  医療対策は、長崎県島原病院の医師確保や診療科目の充実を図るため、大学や長崎県病院企業団などに対し要望を行うとともに、島原市医師会看護学校の就学金基金に出資を行います。  救急医療対策は、日曜・休日の在宅当番医制、病院群輪番制、歯科休日診療当番医制に対する助成を実施します。また、小児の休日診療事業も医師会などと共同で実施し、診療体制の確保を図ります。 (写真)小児の休日診療事業  国民健康保険事業は、疾病予防事業を充実させ、事業の円滑な運営に取り組みます。  予防接種事業は、定期予防接種や高齢者肺炎球菌ワクチン予防接種を実施するとともに、乳幼児インフルエンザ予防接種助成の対象を小学校児童までに拡大します。  母子保健事業は、健康診査や相談・指導事業のほか、むし歯予防のためのフッ素塗布事業などを実施します。  感染症対策は、県や関係機関などと連携しながら、適切な対応を図ります。 ▼3 環境部門  環境保全は、より一層の省エネ推進や資源物の回収に取り組みます。また、一般家庭向けの太陽光発電設備に対する補助を実施します。  生活環境の向上は、野犬捕獲、不法投棄の監視および回収や河川などの水質浄化を行います。  環境衛生は、飲用井戸の水質検査および浄水器購入補助を実施します。  ごみ減量化は、講習会を実施するほか、生ごみ堆肥化による野菜づくりを広げながら、生ごみの減量化、意識改革に取り組みます。  ごみ袋は、「大」・「中」の2種類に加え、新たに「小」を作製し、ごみ減量化につなげるとともに、資源物回収の周知に努めます。 (写真)リサイクルを目的とした拠点回収の様子  し尿処理については、浄化苑の早期整備に向け、計画的に取り組みます。 ▼4 農林水産部門  産業の振興は、「しまばら」が有する地域資源を一層磨き上げ、「島原まるごとブランド化」を念頭に各施策を展開します。また、農業で日本一豊かな産地を目指すため、国・県の制度や補助事業などを積極的に活用します。  経営基盤の強化対策は、農業用施設や農業用機械の導入、農地の基盤整備を推進します。  担い手対策は、「人・農地プラン」制度を推進するとともに、新規就農者への就農奨励金支給や各種農業者団体への研修費助成などを実施します。  農作物の被害対策は、イノシシやカラスの捕獲などを強化します。また、イノシシ捕獲のための箱ワナの増設や侵入防止柵の設置に取り組みます。  畜産関係は、「第10回全国和牛能力共進会」において、長崎県勢初となる日本一の栄誉に輝いた「長崎和牛」のブランド化に向けて、肉用牛の生産頭数の増加や広報・宣伝に努めます。 (写真)長崎和牛が日本一に  耕地関係は、三会原(みえばる)地区および宇土山(うとやま)地区ならびに下辻(しもつじ)地区の基盤整備事業を引き続き支援するとともに、大三東地区においても基盤整備事業の実施に向けた取り組みを県と連携し推進します。 (写真)三会原地区の基盤整備事業  農業用用排水路や農道の改修は、適時、取り組むとともに、ため池の維持管理は、土地改良施設維持管理適正化事業などを活用し整備に努めます。  農地・水保全管理支払交付金の制度は、本市で12組織が環境保全活動に取り組んでおり、継続的な取り組みを支援します。  林業関係は、松林を守るため、湊島(みなとじま)や有明町水之出口(みずのでぐち)地区などの松くい虫防除対策を実施します。  水産関係は、有明海において藻場の再生や、ヒラメやカサゴ、ガザミなどの種苗放流を継続します。また、ヒラメやカサゴなどの中間育成後の放流、抱卵ガザミの保護などを推進します。  養殖漁業は、新たな加工品の研究開発に取り組むとともに、ジオアワビの養殖事業も実施します。 後継者・担い手対策は、新規漁業就業者への奨励金制度や21世紀の漁業担い手確保推進事業を実施します。 三会漁港、松尾漁港の高潮対策は、消波ブロックの製作などに取り組み、湯江漁港は、施設機能保全診断を行います。 ▼5 商工観光部門  本市の商工業については、国・県の支援施策などの積極的な活用を促し、関係機関との連携のもと、商工業の振興に努めます。  新たな企業の立地は、長崎県産業振興財団との連携や島原市企業誘致アドバイザーの活動により取り組みます。  地場企業については、市内中小企業が行う新商品・新技術開発や需要開拓に対して、新商品開発支援事業などによる支援を推進します。  雇用対策は、企業立地促進・雇用創出事業や国の緊急雇用創出事業臨時特例交付金などの活用による雇用の創出や増大に努めます。  中心市街地商店街の活性化対策は、空き店舗等活用促進事業の実施や商店街が行うアーケード改修や観光案内所の設置・運営に対する支援を行います。  金融面は、島原市中小企業振興資金や国・県の融資制度の利用促進を図ります。  物産流通は、島原ブランドの全国展開を図るため、本市産品の知名度の向上、新商品の開発、販路の拡大の3つを基本の柱として事業を推進します。  本市産品の知名度の向上は、物産展を展開し、本市産品の魅力を積極的に紹介します。さらに、都市圏において、「スペシャルブランド」として統一表示した商品を紹介するコーナーの設置に向け取り組みます。 (写真)全国各地で開催している物産展の様子  新商品の開発は、島原市特産品創出事業を推進し、薬草を使用した商品化に取り組むとともに、市内産品を使った料理レシピの開発を推進します。  販路の拡大は、「島原からのおくりもの」としてホームページやフェイスブックなどを活用した紹介や、都市圏における販売を目指します。また、戦略的施設として、ふるさと村「体験型本格的農水産物直売所(仮称)」の設置についても検討し、島原ブランドの開発と情報発信基地としての活用を目指します。  観光は、本市特有の財産を活用した城下町観光の推進を図ります。  島原城は、天守閣の耐震補強工事を施工します。  なお、築城400周年の記念事業は、市民皆様からのご意見もいただきながら取り組みます。また、松平七万石のルーツ愛知県幸田町(深溝松平)との結びつきを検証しながら新たな観光素材の発掘に努めます。  新たな取り組みとして、地域活性化の有効な手段として全国で人気を博している観光屋台村をはじめ、日本の伝統文化が継承され外国人にも人気の高い「観光民宿」を検証します。  島原半島世界ジオパークは、九州内のジオパークをはじめ、済州島(チェジュとう)ジオパークや香港ジオパークなどとの連携に努めます。また、今年は4年に一度の再審査の年であるため、世界ジオパークの再認定を目指します。 (写真)平成新山  九州新幹線効果により熊本市などとの九州横軸連携を図りつつ、誘客対策を推進し、 さらに、九州新幹線長崎ルートの開業を見据えた取り組みを行います。  観光客誘致事業は、九州はもとより首都圏や関西地域などで修学旅行やコンベンション誘致活動に取り組みます。  観光客の受け入れ態勢には、島原観光ボランティアガイドやジオガイドの活用、観光案内所の充実に努めるとともに、島原城での武将隊による演武披露や甲冑体験、市内を巡るシャトルバス運行などの施策を展開します。  スポーツ・コンベンションやキャンプ誘致として、Jリーグなどのキャンプ誘致やがまだすリーグの開催など、宿泊客の増加を図ります。 (写真)島原がまだすリーグ  島原半島「GAMADASU」プロジェクトは、薬草関連商品の開発や海外からの誘客促進、物産の販売拡大やイベントの開催などを進めます。  温泉給湯事業は、燃油価格の高騰や温泉利用量の減少など厳しい状況が続いておりますが、施設の整備および維持管理を図り円滑な運営に努力します。 ▼6 まちづくり部門  活力ある地域づくりと安全で快適 なまちづくりのためには、生活環境の整備促進や産業基盤としての幹線道路の整備は必要不可欠であります。  地域高規格道路「島原道路」の出平町から有明町間については、補助事業化を要望するなど全線早期完成に向け積極的に推進します。 (写真)早期全線開通が待たれる「島原道路」  市道は、歩道のバリアフリー化や交通安全施設などの整備を進めます。  船津地区の高潮対策は、県と連携し、地元と相談しながら抜本的対策の具体的な手法について検討を進めます。  公営住宅は、萩が丘住宅の第7期工事の21戸の建設を行います。  住宅・建築物の耐震性向上を図るため、戸建て木造住宅の耐震診断、耐震改修計画の作成、耐震改修工事および病院・店舗・ホテルなど民間の建築物の耐震診断に対しても助成を行います。さらに、住宅のリフォーム工事に要する費用の助成を行います。  都市計画は、新たな「島原都市計画マスタープラン」の策定と併せて、用途地域および都市計画道路などの見直し作業を行います。  都市計画道路は、霊南山ノ神線の整備を計画的に進めるとともに長池三会線の延伸の要望を行います。  景観の形成保全は、景観計画地区の拡充を進めるとともに、街なみ環境整備事業によるまちづくりに市民と協働で取り組みます。  花いっぱいの街づくりは、市民と協働で取り組むとともに、砂防指定地内についても、利活用の促進に努めます。  汚水処理対策は、本市の財政事情を勘案し下水道計画のさらなる見直しを行い、地域の実情に応じた適切な手法により事業を検討します。 ▼7 消防防災部門  防災対策は、「災害に強い人づくり・まちづくり」を推進するとともに、災害に強い島原市の実現を目指します。また、津波などの災害に備え、ハザードマップの作成や防災行政無線のデジタル化への整備に向けて取り組みます。  消防の体制は、消防車両の整備や消火栓、防火水槽などの消防施設の整備拡充を図ります。  消防団員の確保については、地元町内会・自治会および消防団後援会との連携・協力を図るとともに、事業所などの理解を得ながら取り組みます。 (写真)消防団員(消防出初式)  自主防災組織は、初期消火訓練や救急救命法訓練、役員を対象とした研修会を開催して、一層の組織の育成に取り組みます。  防災避難訓練は、中央地区を対象に実施します。 ▼8 教育部門  教育は、心豊かでたくましく生き抜く力を身につけた人材を育成していくことが大事です。噴火災害復興の体験から学んだ「生命(いのち)・きずな・感謝の心」の精神を引き継ぎ、心豊かで活力ある生涯学習社会の構築に努めます。  学校教育は、習熟度別学習などを積極的に取り入れた少人数授業や、きめ細かな指導を充実させて、教育活動を推進します。  学校司書と連携し、児童生徒の豊かな感性を育む読書活動を一層推進します。また、社会奉仕体験活動や自然体験活動などを通して豊かな心の育成にも取り組みます。  いじめ・不登校問題は、各中学校に心の教室相談員を配置し、未然防止に努めるとともに、いじめ防止条例の制定に向けて検討します。  国際化への対応は、外国語指導助手4名を中学校に配置し、また、小学校の外国語活動の充実を図るために、外国語活動支援員を配置します。併せて、シンガポールへの訪問などを通して国際感覚の醸成に努めます。  特別支援教育の充実のため、特別支援教育支援員を全小・中学校に配置します。  学校体育は、学校の教育活動を通して行い、体力の向上および心身の健康の保持増進に関する指導については、特別活動などにおいても適切に行います。  小・中学校の施設整備は、校舎・体育館などの建物の耐震化については平成24年度で耐震補強工事が完了します。今後は、体育館などの天井部材の落下防止対策など非構造部材の耐震化に取り組みます。(写真)小・中学校の耐震化が完了 平成25年度では、小学校4校、中学校3校の設計を実施します。  教育用コンピュータの整備は、小学校5校の更新を行います。  多世代交流の場としての活用を目指す地域が一体となった低コスト・低管理による小学校校庭のエコ芝生化については、モデル校を選定し取り組みます。  社会教育は、「地域ぐるみの子育て」を目的とした「島原市ココロねっこ運動」の充実などを図ります。  文化財は、松平文庫の整理保存・活用、旧島原藩薬園跡整備事業、島原城石垣調査、伝統的建造物群保存対策事業などに取り組みます。 ▼9 水道部門  有明町簡易水道事業は、有明町簡易水道再編推進事業が平成25年度で最終年度となります。  島原市水道事業は、島原地区簡易水道の統合、民営水道区域の取込みならびに各施設構築物の老朽化に伴う施設の更新・耐震化による新規水源の開発および取水から配水システム再構築のための準備を進めます。  水道事業全体としては、平成26年度から経営統合および統一料金への改定を計画しております。  以上が、平成25年度における各部門の主要な施策です。  厳しい財政状況の中でありますが、全職員一丸となって、時代の要請と市民の期待に応えるため全力を傾注します。  市民皆様には、市政の推進に一層のご支援とご協力をお願いします。