つなごう!未来へ 島原半島世界ジオパーク39 島原半島ジオパーク推進連絡協議会(65-5540)  今月は、「ジオパーク 」の仕組みがどのようなものなのかをおさらいしてみましょう。 ジオパークは、2001年にユネスコが世界各国のジオパーク推進活動の支援を決定したことが大きな始まりです。2004年に現在の世界ジオパークネットワーク(GGN)が設立され、GGNは世界各国から申請されたジオパークを審査・認定しています。 ▼ジオパークと世界遺産条約  世界遺産条約は、1972年に始まった取り組みで、正式には「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」といいます。  この条約に批准した国とその地域には、登録された遺産を保護するために、厳しい制約が課せられます。しかし、遺産の保護に要する負担が、地域の財政を圧迫するという事例が生じ始めました。  世界遺産条約は、対象のものを「守る」ことに特化した仕組みでしたが、それをどのように持続させるかについては、きちんと検討がされていませんでした。その不備を補い、「人類にとって大事なものを守りつつ、それをうまく活用して地域を活性化させ、持続的に発展させていく」という仕組みが、ジオパークです。  ジオパークは、貴重な遺産の保護・保全と地域の経済発展を両立させ「地域社会の持続可能な発展」を目指しています。将来的に地域経済が発展することが求められますので、ジオパークに住む私たちが一緒になってジオパークの活動に積極的にかかわることが求められます。 ▼ジオパークがやらなければならないこと  貴重な大地の遺産があるだけでは、ジオパークにはなれません。前提として、大地の遺産が保護されていなければなりません。そのうえで、それらを持続可能な方法で、教育や観光に活用し、地域経済を発展させていく必要があります。  世界遺産条約と異なり、ジオパークの場合は、大地の遺産の保護保全や、それらを活用した地域振興については、その地域独自の方法を取ることが許されています。  そのような手法で本当に遺産が保全され、かつ活用されているかをチェックするため、ジオパークに認定された地域は、4年ごとに再認定審査を受けることが義務付けられています。  島原半島ジオパークでは、GGNから派遣された審査員による再審査が今年の夏ごろ行われる予定です。もし、再審査で審査員からレッドカード(認定をはく奪)を突きつけられたら、その時点で島原半島は世界ジオパークではなくなってしまうのです。 (写真)GGN現地調査の様子(平成21年8月) ▼世界認定がはく奪される?  では、実際に世界認定がはく奪されてしまったジオパークは、これまでにあったのでしょうか。  イギリスの「ロッハーバージオパーク」は、ジオパークを運営するスタッフを確保する予算がなく、ジオパークとしての持続的な活動が維持できないと判断されたために、世界ジオパークの認定がはく奪されました。  このほかにも、イランやオーストラリアなどにあった世界ジオパークが、何らかの理由で世界認定をはく奪されています。  認定を得ることより、その質を維持し、向上させていくことが重視されているのです。  昨年5月、島原半島で「ジオパーク国際ユネスコ会議」を開催し、世界各国の多くの人に島原半島世界ジオパークの素晴らしさを知ってもらいましたが、今後も世界ジオパークとして認めてもらえるよう、引き続き地域全体でジオパークを活用した取り組みを続けていかなければなりません。 (イラスト)ジーオくん「みんなで「島原半島世界ジオパーク」を盛り上げていこう!」