つなごう!未来へ 島原半島世界ジオパーク41 島原半島ジオパーク推進連絡協議会(65−5540) ▼ジオパークであり続けるための取り組み  先月は、法律による大地の遺産の保全の実例を紹介しました。しかし、法律による保全には大きな欠点があります。というのは、ジオパークの認定範囲は島原半島全域ですが、雲仙・天草国立公園と、島原半島内の県立自然公園の範囲を足し合せても、半島全体にはおよびません。つまり、法律だけでは、島原半島内のすべての大地の遺産(ジオサイト)を守ることができないのです。  そのため、自然公園の範囲外にある大地の遺産は、住民の手によって独自に守る必要があるのです。 ▼大地の遺産の保全A 「住民の手による大地の遺産保全」  白土桃山二丁目にある浜の川湧水は、今から221年前に起きた「島原大変」の崩壊土砂が、海を埋め立てた場所に湧き出した湧水です。  この湧水の脇にある共同の洗い場は、用途に応じて利用場所が決められているほか、地域住民が常に掃除をしており、景観の保持に努めています。 (写真)浜の川湧水  南島原市西有家の龍石海岸は、およそ50万年前に始まった雲仙火山の始まりの地層が見られるジオサイトですが、ここは国立公園の範囲からも県立自然公園の範囲からも外れており、法的には保全されていません。  そこで、世界ジオパーク認定以降、南島原市と地域住民が一緒になり、龍石海岸で「ジオサイトクリーン作戦」を定期的に開催し、ジオサイト周辺の草刈りや海岸の清掃活動などの保全活動が続けられています。 (写真)龍石海岸  雲仙市小浜町には、「庄屋の水」として名高い湧水スポット・上の川湧水があります。江戸時代からの古い歴史を持つこの湧水も、地域住民が洗い場の清掃や水底にたまった落ち葉の除去作業が続けられ、地域での保全が続けられています。 (写真)上の川湧水  上記以外にも、雲仙火山が創りだした大地の遺産が、地域に住む人たちの手により大切に守られ、管理されている事例はたくさんあります。どれも地域の自然を維持する大切な作業であり、これがジオパークそのものの品質の保証に繋がっていくのです。  毎年行われている市民清掃も、実は半島内の大地の遺産の保全につながっています。無理なく、身近なことから地域の自然環境を守り、その魅力を次の世代に引き継いでいきましょう。 ▼世界ジオパーク再認定審査  7月9日(火)〜11日(木)の3日間、2名の審査員により、島原半島世界ジオパークの再認定審査が行われます。  4年ごとに行われるこの再審査の結果によっては世界ジオパークの認定がはく奪されることもありうる大変重要な行事です。  この審査では、島原半島地域が世界ジオパークに認定されてからどのように変化したのか、地域の人がどのくらいジオパークの世界認定を喜び、地域の活性化に活用しようとしているのかが評価されます。  審査員の方々が島原半島ジオパークを楽しんでいただけるよう、地域の皆さんの温かいお出迎えをお願いします。