ふるさと再発見  松平忠侯と蔵書印 深溝松平家の「文」を継ぐ者  松平忠ただよし侯(※「ただのり」とも言う。1799〜1840)は、松平島原藩の初代・忠房から数えて八代目にあたります。忠侯が20才の若さで藩主となった1819年(文政2)は、いわゆる「島原大変」から4半世紀以上経過したとはいえ、いまだ復興の途上にあったと伝えられています。忠侯は下位の家臣の意見も取り入れながら、倹約した生活の実践を自ら示すことで、災害復旧などの突然かつ巨額の出費による疲弊した藩財政の立て直しを図りました。また、新規に事業を興すよりも、従来からの職務を継続し、全うするよう呼び掛けています。そして忠侯は、所信を表明する中で「文武は士さむらいの本業」とし て、学問と武芸の研鑽を奨励します。特に学問については、毎月講師を招いて積極的に学び、藩政に取り入れていきました。また和歌や漢詩、さらには30年近く日記を記したことなど、忠侯本人が記したとする書跡やエピソードも多く伝わっています。そのためか、忠侯は死後に「文公」の号が贈られています。松平文庫が所蔵する書物の中にも、「尚しょうしゃ舎忠侯」「文庫」、あるいは「摂津守忠侯蔵」と刻まれた蔵書印が見られます。特に前者は、同じく好学の藩主として名高い忠房の蔵書印と同じ文面で、深溝松平家の好学の伝統が引き継がれていることを象徴しているかのようです。 (松平文庫学芸員 吉田 信也(よしだしんや)) (写真)忠侯著といわれる『勤ご んれいるいい例類彙』と蔵書印 クローズアップ 島原観光朝市の会  今回、紹介するのは「島原観光朝市の会」です。この会は「市民をはじめ観光客など多くの人に島原の特産品をアピールしたい」との思いで、地元業者の有志が集まり、今年4月に結成。会員は市内の販売業者を中心に15店舗程が加盟されています。毎月2回(第2・4日曜日の8時から12時まで)鯉の泳ぐまち近くで朝市を開催中。(雨天時は中止の場合あり。)会場には、とれたての旬の野菜、肉、魚、卵などの生鮮食品、ラーメンなどの麺類や果物などがお手頃価格で多数揃えられています。特に島原の炭酸泉で作った温泉玉子は一度食してみる価値ありだそうです。代表の船戸さんは「朝市を通して、市民や観光客の皆さんに島原の旬のものを味わって頂き、島原の特産品をアピールしていきたいですね。また、島原の観光にも繋がればと期待しています。ぜひ、みなさんのお越しをお待ちしています。」と話してくれました。  朝市では、空クジなしの抽選会やポイントカードなどお得なイベントが開催されています。皆さんもお誘い合わせのうえお出かけしてみてはいかがでしょうか。なお、同会では出店者を随時募集中。特に鮮魚やパンを取り扱っている店舗を募集しているそうです。 ▼問い合わせ先…島原観光朝市の会 会長 船戸哲郎(ふなとてつろう)さん(電話63−7444) (写真)島原観光朝市の様子