つなごう!未来へ 島原半島世界ジオパーク53 島原半島ジオパーク協議会(65-5540) ヤマボウシ  毎月、島原半島内のジオサイトを紹介するこのコーナー。今回は、雲仙市の木「ヤマボウシ」です。  ヤマボウシはミズキ科ヤマボウシ属の高木類で、大きなものでは高さ15メートル程にもなります。4枚の白い大きな“花びら”を、白い頭巾をまとった山法師に見立てたことが呼び名の由来です。この“花びら”のように見えるのは、花びらではなく、つぼみを包んでいた葉の一部(総そうほうへん苞片)で、花はこの総苞片の真ん中に密集して咲きます。ハナミズキに似ていますが、ハナミズキは総苞片の形が丸っこく、先がくぼんでいるのに対し、ヤマボウシの総苞片は細長く、先が尖っています。また、ハナミズキの実は小さくて苦く、食用には向きませんが、ヤマボウシの実は甘酸っぱく、ジャムや果実酒などに利用できます。  雲仙市の吹越(ふっこし)は、多くのヤマボウシが見られる場所として有名です。吹越付近は、橘湾から吹きつける湿った西風が雲仙岳にぶつかり、上昇して雨雲ができる場所にあたるため、島原半島でも最も雨が多く降ります。豊富な雨は数十万年前にできた火山の山肌を削り、たくさんの谷をつくりました。この谷が、風通しが良くかつやや湿気の多い場所を好むヤマボウシにとっては、絶好の生育場所になるのです。  橘湾から流れ込む湿った風と、複雑に入り組んだ谷が、雲仙を代表する花・ヤマボウシを元気に育んでいます。  次回は南島原市の「白浜・前浜・野田浜海水浴場」を紹介します。 (写真) ヤマボウシの花  色は白が多く、総苞片の先が尖っています (写真) ハナミズキの花  色はピンクが多く、総苞片の先がくぼんでいます (写真) ヤマボウシの樹  たくさんの花が上向きにつくのが特徴。英語名は「ドッグウッド」で、この呼び名の由来にも諸説あり (写真) 吹越付近の風景  毎年6月になると、多くのヤマボウシが咲き誇ります