ふるさと再発見  島原城築城にまつわる伝承  1616年(元和2)に大和国五條から移ってきた松倉重政(まつくら しげまさ)は、島原に新しく城を築こうと今村を見分していました。  その夜、重政は「今村より北に森岳という山がある。そこは将来繁栄する城地である」と夢で告げられます。そのお告げに従い、重政は森岳に城を築きました。  これは『島原大変記』(『島原半島史』所収、他)の中で古老の言い伝えとして記されたエピソードです。このお告げを「仏神の御告」と称し、仏神の加護によって災害から島原城が救われたと『島原大変記』では尊ばれています。  実際、1792年(寛政4)の島原大変では、城下で壊滅的な被害を受けた所もあった中で、島原城は大きな被害を受けずに済みました。  今村は古絵図に「今村名」として江東寺の南側に描かれていますが、島原大変によって埋没します。ちなみに、今村刑場は名前を引き継いで大変後に場所を移して新設されており、その跡地が「今村刑場跡」として今に伝わっています。  重政の夢のお告げの真偽は今となっては知るすべもありませんが、江戸後期にこうした伝承があったことは確かです。  今村と森岳。被災状況はあまりにも対照的でした。それだけに、この伝承が印象に残ります。 (松平文庫学芸員 吉田 信也(よしだ しんや)) (写真)『島原大変記』(九州大学蔵) クローズアップ  島原市地域おこし協力隊  今回、紹介するのは今年1月から「地域おこし協力隊」として各種地域おこし活動に取り組む中島愛さ(なかしま あい)んです。  地域おこし協力隊とは、都市部の人材を地域社会の新たな担い手として受け入れ、地域力の充実・強化を目的としたもので、総務省が推進している事業です。  中島さんは、主に島原の伝統工芸品「和ろうそく」の存続・継承に取り組んでおり、絵付け体験の開催などを通し、和ろうそくの魅力を広くPRしています。  中島さんにお話を伺うと「ハゼの実を絞った木ろうを原料とした和ろうそくは、独特な揺らぎで輝く灯りがとても神秘的です。多くの人に、この魅力を伝えていけたら」と笑顔で話してくれました。  皆さんも、和ろうそくを学び、そして火を灯し、神秘的な灯りに癒されてみてはいかがでしょうか。 (写真)和ろうそく絵付け体験の様子 ◎「和ろうそく絵付け体験」参加者募集 ▼と き 毎月第3水曜日 19時30分〜(要予約) ▼ところ 本多木蝋工業所(有明町大三東) ▼参加費 1作品につき800円(定員15人) ▼問い合わせ先 政策企画課(62-8012) 「皆さんの参加お待ちしています!フェイスブックページもありますので、ご覧ください。」  フェイスブックページは愛らしい島原で検索してください (写真)中島愛さん