つなごう!未来へ 島原半島世界ジオパーク57 島原半島ジオパーク協議会(65-5540) ジオの恵みを育む土―黒ボク土  毎月、島原半島内のジオサイトやその見どころを紹介するこのコーナー。今回は黒ボク土について紹介します。 (黒ボク土)  有明町から南島原市深江町の地域には、黒〜こげ茶色の土で覆われた畑が広がっています。これは、土壌学的には黒ボク土と呼ばれ、柔らかくて水持ちが良いことから、地中に深く根を張るダイコンやニンジン、また葉っぱに沢山の水を含むキャベツやハクサイといった葉物野菜の生育に適しています。島原半島で黒ボク土が見られるのは、平成新山や普賢岳の東側にほぼ限られており、半島北部や南部にはほとんど見ら れません。これはなぜなのでしょうか。 (写真)黒ボク土と平成新山(有明町) (黒ボク土が半島の東側に集中する理由)  黒ボク土が黒いのは、枯れたススキなどの植物片と、微生物の活動が組み合わさってできた炭素分に富む腐植が、火山灰に含まれるアルミニウムなどと結び付いて、土の中に安定して残るためです。約50万年間 におよぶ雲仙火山の活動の中でも、数万年前よりも若い時代に起きた火山噴火は、普賢岳や眉山を中心とした半島の東側に集中しているため、半島の東側には断続的に火山灰がもたらされました。これが、半島の 東側にのみ黒ボク土が偏って形成された理由です。 (ジオの恵み)  やわらかい黒ボク土は、農地として耕作がしやすいため、縄文・弥生時代から人々の暮らしに利用されてきました。有明地区に見られる特に分厚い黒ボク土は、もしかしたら、古くからこの地に暮らしてきた先 人たちが行ってきた焼畑耕作のおかげかもしれません。毎日食べる島原半島のおいしい野菜は、火山噴火と長い年月、そして土の中の微生物が産み出した土が育んだ“ジオの恵み”です。次回は「仁田峠と紅葉」を紹介します。 (写真)黒ボク土が育む作物の例(ニンジン) (写真)黒ボク土が育む作物の例(ダイコン) 平成26年度島原半島ジオパーク高校生研究発表大会  島原半島を題材とした県内の高校生のジオパーク研究発表大会を開催します。  発表会は、どなたでも観覧できます。多くの皆さんのご来場をお待ちしています。  と き 10月26日(日)13時30分〜  ところ 雲仙岳災害記念館(がまだすドーム)  問い合わせ先 島原半島ジオパーク協議会(65-5540)