ふるさと再発見 島原城のお正月  今回は初代松平島原藩主・松平忠房(まつだいら ただふさ)が島原に入って間もない1670年ごろ(寛文年間)にさかのぼり「島原城のお正月」についてのお話しです。  島原藩の政務を記録した『藩日記』をのぞいてみると、元旦の忠房は、寅の前刻(4時ごろ)に起床し、以後数日にわたって各人からの「御礼(年始の挨拶)」を受けます。  番人・町人や庄屋・乙名(おとな)(村役人)なども「御礼」に参上し、料理や雑煮や酒肴(しゅこう)が振る舞われています。九州の諸藩などからの「御祝儀」(今でいう年賀状)が飛脚によって届けらます。  正月の恒例行事の一つ、「御謡初(おうたいはじめ)」も行われました。  ただ1673年(寛文13年)は、保科正之(ほしな まさゆき)(陸奥会津藩主、徳川家光の弟)が前月に亡くなり、音曲停止が幕府より発令されたため、正月10日に日延べして行われました。  この時のお囃子(はやし)の演目が「老松(おいまつ)・東北(とうぼく)・高砂(たかさご)」だったことも記録されてます。  また、この年は忠房が初夢で富士山を見たようで、それを披露するための内々の「御謡初」も行われました。  料理の振る舞いや夢の披露で幸せを分かち合う。自分だけでなく周りを幸せにするような、そんなお正月にしたいものです。 (松平文庫学芸員 吉田 信也(よしだ しんや)) (写真)松平忠馮(まつだいら ただより)の書状(お殿様の年賀状)(松平文庫蔵) クローズアップ  今回、紹介するのは市民の生命・財産を守るため、女性だけで組織された「島原市女性消防隊」の皆さんです。  女性消防隊は、平成21年4月に結成され、主婦や農業、自営業などさまざまな職種の女性10人が家事との両立を図りながら活動しています。  主な活動は、消防出初式や市防災避難訓練、小学校避難訓練への参加のほか、ロープ結びや礼式、AEDの訓練、独居老人宅での火災予防啓発などを行っています。  隊員に話を聞くと、「入隊するまでは消火器の使用など経験できないことがたくさんありました。今では、消火器やAEDの使用方法も分かり、いざという時、落ち着いて行動できます」、「自分が学んだ知識を地域の皆さんに伝えていきたい」という声がありました。  また、隊長の上田すず子(うえだ すずこ)さんは、「今後も訓練を継続し、女性ならではの視点を生かし、地域のさらなる安全安心なまちづくりに貢献していきたい」と話してくれました。  女性だからこその能力を発揮する女性消防隊員の活躍が、今後ますます期待されています。  女性消防隊に興味がある人は島原市消防団本部(62−4607)へ問い合わせてください。 (写真)女性消防隊 集合写真 (写真)AEDを使った救命講習を受ける隊員の様子