●3月12日は「世界腎臓デー」〜早期発見・早期予防〜  「世界腎臓デー」は、増え続ける腎臓病を防ぐため2006 年に定められました。この日を中心に、腎臓病の治療と対策を啓発するイベントが各地で展開されます。そして、腎臓病の早期発見と対策のために「慢性腎臓病(CKD;Chronic Kidney Disease)」という新しい病気の概念が生まれ、新たな国民病として注目を集めています。  市では、平成24年度から市民公開講座を開催し、腎臓病に対する啓発活動を実施しています。 「慢性腎臓病(CKD)」とは…  次の@またはAの状態が3カ月以上続く状態です。  @腎臓の働きが健康な人の60%未満(eGFR=60ml/分/1.73u未満)に低下  Aタンパク尿などの腎臓の異常がある 「eGFR( 糸球体ろ過量)」とは…  尿の元をつくる働きのことです。腎臓は毎日約150リットルの尿の元を作っています。そのうち、必要なものは再利用されて、毒素などの不必要なものが尿に溶けた形で体外に排泄されます。 現在、日本には成人の約8人に1人にあたる約1330万人のCKD患者がいます @慢性腎臓病(CKD)は人工透析を要する腎不全の予備軍  慢性腎臓病(CKD) が重症化すると透析治療が必要になります。世界には200万人以上の透析患者がいます。そのうち日本人の透析患者は約30万人といわれ、約6人に1人が日本人にあたります。  透析患者は年々増加しており、世界共通の問題となっています。 ●維持透析患者数の推移(万人) 西暦 1980年 1990年 2000年 2006年 2010年 世界  15.8  42.6  108.5 149.2 209.5 米国  5.3 12.8   27.6 38.7 54.3 日本  3.6 10.3 20.6 26.4 30.0 A慢性腎臓病(CKD)は心筋梗塞など心血管疾患に対する重大な危険因子  最近になり,中程度の腎機能低下や、タンパク尿があると、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の危険が高まることが分かってきました。  慢性腎臓病(CKD) では 、心血管系疾患の発症率が約3倍と報告されています。  慢性腎臓病(CKD) は自覚症状がないため、見つかりにくい病気です。  慢性腎臓病(CKD)は、尿と血液の検査で簡単に診断できます。  CKDは早期発見が大事です。必ず健康診断を受けましょう。 B島原市特定健診の結果では、eGFR=60ml/ 分/1.73u未満の割合が増加 左表を見ると、各年代とも5年間で割合が2倍程度に増えており、年を取るにつれて、腎臓の働きが弱まってきていることが分かります。  運動や食習慣の生活を改善しましょう。 ▼島原市特定健診の結果に基づく、推算糸球体ろ過量(eGFR)の推移      平成20年  平成25年 40歳代    3.3%    5.5% 50歳代    3.3%    6.2% 60歳代   12.8%   23.7% 70〜74歳 13.8% 40.6% ●こんな人は要注意です ▼高血圧や糖尿病高齢者などの生活習慣病やメタボリックシンドローム ▼過去に心臓病や腎臓病になったことがある ▼健診などでタンパク尿が見つかったことがある ▼家族に腎臓病の人がいる ▼たばこを吸っている ▼高齢者 C生活習慣を改善して慢性腎臓病(CKD)を予防しましょう ▼規則正しい生活…過労などを避け、十分に睡眠をとりましょう ▼運動不足…自分の体力や体調に合わせて、適度な運動を定期的に行いましょう ▼飲酒…アルコールは適量を心がけましょう ▼食事…腹八分目、塩分を控えたバランスのよい食事を心がけましょう ▼血圧管理…血圧の管理目標を130/80mmHg以下に設定し、家庭でも血圧を測定する習慣をつけしましょう ▼禁煙…喫煙は心血管病などさまざまな病気の危険因子でもあるので、まずは禁煙することが重要です 慢性腎臓病(CKD)は治療ができます  @慢性腎臓病(CKD)と診断されたら、きちんとかかりつけ医の診察を受けましょう  A糖尿病や脂質異常症と診断されたら、しっかりと治療しましょう  B腎機能が高度に低下すると貧血などの症状が生じるので、腎臓専門医の診察を受けましょう  C腎機能が低下すると薬の確認が必要です。薬剤師にも相談しましょう 問い合わせ先 有明保健センター(68-5335)