つなごう!未来へ 島原半島世界ジオパーク65 島原半島ジオパーク協議会(65-5540) ●〜緑のトンネル〜旧小M鉄道跡  毎月、島原半島内のジオサイトやその見どころを紹介するこのコーナー。  今回は遺構の一部が経済産業省の近代化産業遺産に登録されている「旧小M鉄道跡」です。 ▼千々石と小浜を結んだ「小M鉄道」  千々石と小浜を結ぶ海沿いの県道201号は、トンネルや切り通しが連続するにもかかわらず、道はとても平坦です。なぜなら、この道は約100年前に鉄道が走っていたからです。  大正12年、愛野村駅(現在の愛野駅)から千々石まで「温泉( うんぜん) 軽便鉄道」が開通しました。これを受け、小浜まで鉄道を開通させ、温泉リゾー ト地として人気を博していた雲仙・小浜に観光客を導き、地域を活性化させようと、地元の有志が立ち上がり、「小M鉄道」が設立されました。  しかし、千々石から小浜までの海岸沿いは、約26万年前に形成された猿葉山の火山噴出物がつくる断崖絶壁が連なっていました。しかも、当時の掘削道具はツルハシとノミ、そしてダイナマイトのみだったため、線路の敷設は困難を極めました。  千々石の町を過ぎると、鉄道の線路は標高20mから一気に標高50mのところまで坂を登りましたが、これは少しでもトンネルの長さを短くするための工夫でした。着工から5年半、工事従事者延べ約20万人と工事費約75万円(現在の貨幣価値で約40億円)を投じて、昭和2年に小M鉄道は開業しました。   しかし、終着駅が小浜温泉の中心街から2km近く離れていたことに加え、同時期に普及した自動車やバスの方が運賃が安かったこともあり、小M鉄道 は開通当初から苦しい経営を強いられました。昭和8年、小M鉄道は温泉軽便鉄道と合併して「雲仙鉄道」と名を変え、営業を続けていましたが、状況は好転せず、難工事の末の開通からわずか11年後の昭和13年に廃線となりました。この数奇な運命は、猿葉山という火山がそこにあったことが遠因と言 えるでしょう。 ▼小浜鉄道のさまざま遺構  県道201号沿いには、かつてここに鉄道が走っていたことを示すさまざまな遺構が残っています。上千々石駅や木津の浜駅のプラットホーム跡はもちろん、蒸気機関車が通れるような背の高い石造りのトンネルや緩やかなカーブは、鉄道線路跡特有のものです。  また、小浜歴史資料館には、小M鉄道の敷設と維持管理に尽力した本多家の功績が展示されています。  初夏になると、小M鉄道跡の切通しは、新緑が「緑のトンネル」となって、かつての鉄道跡を優しく包み込みます。緑の美しいこの時期に、ぜひ小M鉄道跡 を散策してみませんか。この道を歩くと、今でも前から蒸気機関車が力強く走ってくるような気がします。  次回は「がまだすドーム」を紹介します。 (写真)旧小M鉄道千々石第二トンネル (写真)木津の浜駅跡 ●「平成27年度島原半島ジオパークガイド養成講座」開講のお知らせ ▼期 間 7月4日(土)〜11月(月2回程度) ▼日 時 (座学)土曜の午前中      (野外)土曜もしくは日曜の終日 ▼内 容 座学および野外 ▼受講料 無料 ▼申込期限 6月26日(金)まで ▼申し込み・問い合わせ先 島原半島ジオパーク協議会事務局(65-5540・FAX65-5542)