つなごう!未来へ 島原半島世界ジオパーク68 島原半島ジオパーク協議会(65-5540) ●〜3つの異なる湧水と温泉〜小浜温泉 毎月、島原半島内のジオサイトやその見どころを紹介するこのコーナー。今回は雲仙市の観光スポットの一つである「小浜温泉」です。  小浜バスターミナルでバスを降り、山に向かって坂を上ると、小浜公会堂のレトロな建物が見えてきます。この建物の奥には、清らかな水が湧き出る湧水スポット「上の川湧水」があります。  上の川湧水には、1629年の夏、キリシタンを連れた役人が雲仙に向かう途中に立ち寄って、喉を潤したというエピソードが残っています。かつての庄屋跡を忍ばせる見事な 石垣の下から湧き出る水は、中性の軟水で、水温は真夏でも20度以下です。今も多くの人が水を汲みに来るこの湧水から、約200メートル南に移動したところにあるのが「刈かりみず水」です。  刈水では、地下から炭酸ガスがぼこぼこと音を立てて湧き出し、様相が一変します。水温は28度前後で、水質は酸性です。独特の匂いがしますが、これはガスの中にわずかに硫黄が含まれているため です。温度は低いもののこれも温泉(炭酸水素塩泉)で、この湯はあせもやアトピーなどの皮膚病に効くとされ、昭和の初めころまでは共同浴場もありました。  刈水からさらに200メートルほど南に移動すると、水温が90度以上に達するアルカリ性の温泉(塩化物泉)が、小浜歴史資料館の庭に湧き出しています。  この源泉は、本多氏(後の本多湯太夫(ゆだゆう)※湯太夫とは温泉を管理する称号のこと) が1614年に愛知県三河から小浜に来て、初めて宿泊用の長屋を整備し、島原藩主松平忠房公の命を受け、江戸時代中期より維持管理してきたものです。この本多湯太夫の邸宅跡 が現在の小浜歴史資料館で、正面の門は島原城から払い下げられた本物のお城の門です。  このように、小浜地域ではわずか数100メートル移動するだけで、水温や水質が大きく異なるさまざまな湧水・温泉と、それにまつわる歴史が楽しめます。 歴史や文化、食にも恵まれた小浜の町を、少し違った視点で散策してみませんか。次回は、武家屋敷を紹介します。 (写真)上の川湧水(江戸時代からわき続ける名水)  (写真)刈水(炭酸ガスが湧き出しています) (写真)塩化物泉の源泉(小浜歴史資料館の敷地) ●第5回島原半島ジオパーク検定(初級・中級)開催決定! と き 11月21日(土) ※詳しくは広報しまばら10月号でお知らせします ●島原半島ジオパーク高校生研究発表大会  島原半島を題材とした県内の高校生のジオパーク研究発表会を開催します。発表会は、どなたでも観覧できます。  多くの皆さんのご来場をお待ちしています。 ▼と き 10月3日(土)14時〜 ▼ところ 森岳公民館 ▼問い合わせ先 島原半島ジオパーク協議会(65-5540) (写真)昨年の高校生による研究発表大会の様子