島原市民にとって、決して忘れることができないあの忌まわしい雲仙・普賢岳噴火の大火砕流惨事からまもなく丸24年を迎えます。
大火砕流により尊い犠牲となられた44名の方々の無念の思いとご遺族の深い悲しみに思いをいたす時、耐え難い痛惜の念がこみ上げてまいります。ここに謹んで哀悼の誠を捧げます。
今年も、午前8時30分から午後6時まで、市内仁田町の仁田団地第一公園内に献花所を設けますので、多くの皆様の献花をお願いいたします。また、災害発生時刻の午後4時8分には、防災行政無線により全市内にサイレンを吹鳴いたしますので、黙とうをお願いいたします。
思い起こしますと、平成2年11月、198年ぶりの噴火に始まり、翌年6月3日に多くの死者・行方不明者を出す大火砕流惨事、私も当時消防団員として共に警戒に当たっており、同志であった消防団員12名の方々をはじめとする尊い人命を失った悲しみ、また、子供たちも含め多くの市民がこの先どうなるのか不安に怯えていた光景は、今も深く心に刻まれています。その後の相次ぐ土石流や火砕流、降灰により、多くの市民の皆様が長期にわたる避難生活を強いられ、社会的・経済的に甚大な被害を受けました。
5年にも及ぶ災害の連続と、終息から復興への長い道のりではありましたが、国・県をはじめ全国から多くの皆様の温かいご支援を支えに、市民皆様の「ふるさと島原を蘇らせたい」という強い思いが行政と一体となって、今日の復興を成し遂げることができました。
しかしながら、災害から24年が経過した今、災害の記憶も少しずつ薄らぎつつあるのも事実です。こうした時の流れを踏まえ、島原市では6月3日を「いのりの日」として位置付け、雲仙・普賢岳噴火災害により犠牲になられた方々を慰霊し、噴火災害を風化させることなく、災害教訓を後世に伝えていく決意を新たにする日としております。
当日、市内各小・中学校ではそれぞれ「いのりの日」の集会を開催し、当時の災害や復興の過程などを学ぶこととしております。
また、噴火災害と復興の貴重な経験を通して学んだ「生命・きずな・感謝の心」をこれからもずっと大切にしながら、「人と火山が共生する」島原半島の更なる飛躍に向け、島原半島世界ジオパークを核とした地域の活性化と災害に強いまちづくり、防災教育の充実などに取り組んでまいりたいと存じます。
引き続き皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。
島原市長 古川 隆三郎