「水神祠(すいじんし)」
武家屋敷売店敷地の北側に、向唐破風造(むかいからはふづくり)の水神祠があります。松倉重政(まつくらしげまさ)が領内の三会村にあった水神祠を城下に移し、寛永元年(1624年)に完成したものといいます。祭神(さいじん)は水波能売大神(みずはのめのおおかみ)で、飲料水や醸造用水、灌漑用水(かんがいようすい)の守護神として信仰されてきました。
この水神祠で、目を引くのは、正面の唐破風(からはふ)です。破風(はふ)とは、屋根の妻側の三角形部分の造形のことです。そのうち、中央部が弓形で左右両端が反り返った曲線状の破風を唐破風と言います。
当初から向唐破風造の水神祠であったかというと、納まりが悪い部分もあるので、そうとは言えません。明治7年(1874年)の島原城廃城の際、その用材で改築され、現地に移されたということから、島原城内にあった唐門(からもん 屋根に唐破風をもつ門のこと)を使って、建立された可能性が考えられます。
○参考文献:「島原市鉄砲町伝統的建造物群保存対策調査報告書」島原市 平成21年3月
(『広報しまばら』平成25年1月号「ふるさと再発見」)
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【写真】水神祠 |