○島原市公害防止条例
昭和47年9月21日条例第14号
島原市公害防止条例
自然と人間との調和を無視して発展してきた現代の産業と都市は、大気汚染、水質の汚濁、騒音、振動、悪臭などによつて自然を破壊し、人の健康と暮しを阻害する公害をもたらした。
この公害は、今後ますます激化拡大する傾向にある。
ここに、われわれ島原市民は、総力をあげて、島原市の自然を破壊し、健康で安全、かつ快適な暮しをおびやかすすべての公害を防止する姿勢を明らかにするとともに良好な生活環境を保全することを目的として、次の原則を宣言し、この条例を制定する。
1 すべての市民は、恵まれた風光とやすらぎを求め、健康で安全、かつ、快適な生活を営む権利を有するものであつて、その権利を侵かす公害の発生原因となるような自然及び生活環境の破壊行為を行なつてはならない。
2 豊かな産業のまちとしての事業活動を営む者などは、自然と歴史的遺産の恩恵を享受し、健康で快適な暮しを営む市民の権利を公害により侵害してはならない。
3 島原市は、豊かな自然と天与の遺産の恩恵を享受し、健康で快適な暮しを営む市民の権利を実現するため、あらゆる施策を通じて公害の防止絶滅をはからなければならない。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、法令又は長崎県未来につながる環境を守り育てる条例(平成20年長崎県条例第15号。以下「県条例」という。)に特別の定めのあるもののほか、公害防止のため必要な事項を定めることにより、市民の健康を保護するとともに生活環境を保全することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「公害」とは、事業活動その他の人の活動に伴つて生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、騒音、振動、悪臭、土壊の汚染及び地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘さくによるものを除く。)(以下「大気の汚染等」という。)によつて人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。
2 この条例にいう「生活環境」には、人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含むものとする。
第2章 市長の責務
(基本的責務)
第3条 市長は、法令又は県条例の規定によりその権限に属する責務を遂行するとともに、市民の健康を保護し、生活環境を保全するため、あらゆる施策を通じて公害の防止に努めなければならない。
(処理計画)
第4条 市長は、事業者の事業活動により公害が発生し、又は発生するおそれがあるときは、当該事業者に対し期限を定めて公害を防止するための処理計画を作成させその提出を命ずることができる。
2 市長は、前項の規定により処理計画の作成及び提出を命ずるときは、当該計画に記載すべき事項を示して行わなければならない。
3 市長は、第1項の規定により処理計画の提出があつた場合において、当該計画が公害を防止するために十分でないと認めるときは、当該計画の変更を命ずることができる。
4 市長は、前項の規定により処理計画の変更を命じようとするときは、当該事業者又はその代理人に口頭又は文書で弁明の機会を与えなければならない。
5 市長は、事業者が第1項の規定により提出した処理計画又は第3項の規定により変更を命じられた処理計画を履行しないときは、当該事業者に対して、期限を定めて当該計画の実施を命ずることができる。
(監視)
第5条 市長は、公害の発生の状況を常時監視しなければならない。
(小規模の事業者に対する助成)
第6条 市長は、小規模の事業者が、公害防止のために施設整備その他の措置を行う場合においては、必要な金融上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
(公害紛争の処理)
第7条 市長は、公害に係る紛争が生じた場合においては、その適正な解決ができるよう努めなければならない。
(報告等)
第8条 市長は、必要に応じ、本市の公害状況及びその公害の防止の施策について市議会に報告し、又は市民に公表するものとする。
第3章 事業者の責務
(基本的責務)
第9条 事業者は、その事業活動による公害を防止するため、その責任において、必要な措置を講じなければならない。
(努力義務)
第10条 事業者は、その事業活動により生ずる大気の汚染等が法令又は県条例の規定に違反しないものである場合においても、その大気の汚染等によつて、被害が生ずるおそれがあり又は現に被害が生じているときは、その公害の防止のため、最大限の努力をしなければならない。
(協力義務)
第11条 事業者は、市長が行う公害の防止に関する施策に積極的に協力しなければならない。
(報告義務)
第12条 事業者は、次の各号に掲げる場合に該当するときは、当該各号に定める事項を、ただちに市長に報告しなければならない。
(1) その者の事業活動により、公害が発生し、又は発生するおそれがあると認められるとき 当該公害の内容及び当該公害の防止のために講じようとする措置の状況
(2) その者の管理する施設について、故障、破損その他の事故が発生した場合において、当該事故により公害が発生し、又は発生するおそれがあると認められるとき 当該事故の状況並びにその事故に対する応急の措置の内容及び復旧工事の計画
2 市長は、前項に定めるもののほか、この条例の施行に必要な限度において、事業者に対し、公害の防止に関して必要な事項の報告を求めることができる。
第4章 市民の責務
(市民の責務)
第13条 市民は、生活環境を保全するため公害を発生させることのないよう常に努めなければならない。
2 市民は、市長が行う公害の防止に関する施策に積極的に協力しなければならない。
第5章 公害防止協定
(公害の防止に関する協議)
第14条 事業者は、大気の汚染等を生ずるおそれがある工場又は事業場の設置(増改設を含む。)をしようとするときは、あらかじめ、市長にその工場又は事業場の設置計画を示し、その公害防止対策に関し、次の各号に掲げる事項について市長に協議するものとする。
(1) 公害防止のために必要な施設整備、燃料規制その他の措置に関すること。
(2) 公害が生じた場合における措置その他必要なこと。
(公害防止協定)
第15条 前条の規定による公害防止対策に関する協議が整つた場合において、市長の求めがあつたときは、事業者は、その協議の結果に基づいて市長と公害防止協定を結ぶものとする。
(既設の工場又は事業場に係る公害防止協定)
第16条 この条例の施行の日現在において、第14条に規定する工場又は事業場で大気の汚染等を生ずるおそれがあり、又は現に大気の汚染等を生じているものを設置している事業者は、市長の求めがあつた場合においては、速やかに前2条の規定の例により公害防止対策に関する協議及び公害防止協定の締結をするものとする。
(報告の聴取及び立入検査)
第17条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、事業者に対して報告を求め、又は市職員をして事業所に立ち入り、施設その他の物件等を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を証する証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第6章 雑則
(委任)
第18条 この条例の施行について必要な事項は、別に規則で定める。
第7章 罰則
(罰則)
第19条 第4条第5項の規定による命令に違反して、期限内に処理計画を履行しなかつた事業者は、10万円以下の罰金に処する。
2 第4条第1項の規定による命令に違反して、期限内に処理計画を提出しなかつた事業者は、6万円以下の罰金に処する。
3 第12条第2項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした事業者は、2万円以下の罰金に処する。
(両罰規定)
第20条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(有明町の編入に伴う経過措置)
2 有明町の編入の日(以下「編入日」という。)前に、有明町公害防止条例(平成2年有明町条例第9号。以下「有明町条例」という。)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。
3 編入日前にした有明町条例に違反する行為に対する罰則の適用については、有明町条例の例による。
附 則(平成17年12月21日条例第94号)
この条例は、平成18年1月1日から施行する。
附 則(平成20年6月20日条例第18号)
この条例は、公布の日から施行する。