条文目次 このページを閉じる


○島原市子どものいじめの防止等に関する条例
平成27年3月23日条例第7号
島原市子どものいじめの防止等に関する条例
子どもは、次代を担うかけがえのない存在であり、その成長は家庭のみならず、社会全体の夢と希望へとつながる、みんなの大切なたからです。
いじめは、子どもの健やかな心身の成長や、人格の形成に重大な影響を与える人権侵害であり、私たちの社会にあってはならないものです。子どもがいきいきと笑顔で遊び、安心して生活し、学ぶことができる環境を整えることは、全市民が一体となって取り組むべき重要な課題です。
私たちは、お互いを尊重しながら共に支え合う、いじめのない社会を実現するため、あらゆる手段を講じながらいじめの根絶に取り組んでいかなければなりません。
そこで、いじめの防止等についての基本理念を明らかにし、いじめの防止等のための施策を推進していくため、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」といいます。)の趣旨を踏まえ、子どもに対するいじめの防止等に係る基本理念及び責務を明らかにするとともに、いじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめの対処をいいます。以下同じです。)を図るための基本となる事項を定めることにより、子どもが安心して生活し、学ぶことができる環境をつくることを目的とします。
(用語の定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによります。
(1) いじめ 子どもと一定の人間関係にある他の子どもが行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含みます。)であって、当該行為の対象となった子どもが心身の苦痛を感じているものをいいます。
(2) 子ども 第4号に規定する学校に通学する児童及び生徒並びに第5号に規定する保育所等に通う児童その他これらの者と等しくいじめの防止等の対象とすることが適当と認められる者をいいます。
(3) 市立学校 島原市立小中学校条例(昭和39年島原市条例第34号)別表に掲げる小学校及び中学校をいいます。
(4) 学校 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除きます。)で、本市の区域内にあるものをいいます。
(5) 保育所等 市内の保育所、幼稚園、認定こども園などをいいます。
(6) 保護者 親権を有する者、未成年後見人その他の子どもを現に監護する者をいいます。
(7) 市民 本市の区域内に居住し、通勤し、又は通学する者をいいます。
(8) 事業者等 市内に事業所を有する個人又は法人等で、事業を営むものをいいます。
(9) 関係機関等 警察、法務局その他子どものいじめの問題に関係する機関及び団体をいいます。
(10) 重大事態 いじめにより子どもの生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑い又はいじめにより子どもが相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがある事態をいいます。
(基本理念)
第3条 いじめは、子どもの健やかな心身の成長や、人格の形成に重大な影響を与える人権侵害であり、いかなる理由によるかを問わず、絶対に行われないようにしなければなりません。
2 市、学校、保育所等、保護者、市民、事業者等及び関係機関等は、主体的かつ積極的に相互に連携して、いじめの防止等に取り組み、子どもが安心して生活し、学ぶことができる環境を整え、一人一人の尊厳を大切にし、相互に尊重しあう社会の実現に努めなければなりません。
(市の責務)
第4条 市は、国、県、学校、保育所等、市民及び事業者等と連携し、いじめの防止等を図るための必要な体制を整備するとともに、必要な施策を講じなければなりません。
2 市は、子どもをいじめから守るため、関係機関等と緊密な連携を図らなければなりません。
3 市は、市立学校を除く学校で発生したいじめについても誠実に対応し、当該学校の設置者又は管理者に調査等を求めるとともに、当該調査等に協力するよう努めなければなりません。
4 市は、いじめが子どもの心身に及ぼす影響、いじめを防止することの重要性、いじめに係る相談制度等について必要な広報その他の啓発活動を行わなければなりません。
(市立学校の責務)
第5条 市立学校は、保護者、地域住民、保育所等及び関係機関等との連携を図りつつ、教職員に対し、いじめの防止等のための対策に関する資質の向上及び教職員同士の連携強化を図り、学校全体でいじめの防止等に取り組まなければなりません。
2 市立学校は、子ども及び保護者が安心して相談することができるよう環境を整えなければなりません。
3 市立学校は、教育活動を通して、子どもの自他の生命を大切にする心や、人権を守ろうとする心を育み、子ども自身がいじめについて主体的に考え行動できるよう、きめ細やかな指導を行わなければなりません。
(保護者の責務)
第6条 保護者は、子どもの教育の第一義的責任を有することを自覚し、子どもに対し、いじめは許されない行為であることを充分に理解させるよう努めなければなりません。
2 保護者は、日常生活において愛情をもって子どもを育み、しつけなければなりません。
3 保護者は、互いの違いを認め合い、自他の尊厳を大切にする子どもを育むよう努めなければなりません。
4 保護者は、市及び市立学校が講ずるいじめの防止等のための措置に協力するよう努めなければなりません。
(保育所等の役割)
第7条 保育所等は、子どもをいじめ等から守ることについて理解を深め、いじめ等を見過ごさず、子どもが安心して育ち学ぶことができる環境づくりに努めるものとします。
(市民及び事業者等の役割)
第8条 市民及び事業者等は、それぞれの地域において子どもに対する見守り、声かけ等を行い、子どもが安心して過ごすことができる環境づくりに努めるものとします。
2 市民及び事業者等は、いじめを発見し、又はいじめの疑いを認めた場合には、市、学校、保育所等又は関係機関等に情報を提供するよう努めるものとします。
(子どものつとめ)
第9条 子どもは、いじめをなくすために、つぎのことをまもりましよう。
(1) 子どもは、自分を大切にしましょう。
(2) 子どもは、まわりの人を思いやり、いっしょになかよくしましょう。
(3) 子どもは、いじめなどを見たら、見ていないふりをしないようにしましょう。
(4) 子どもは、ひとりでなやまず、親やまわりの人にすぐにそうだんしましょう。
(いじめ防止基本方針の策定)
第10条 市は、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するため、法第12条の規定により島原市いじめ防止基本方針(以下「市基本方針」といいます。)を策定するものとします。
(学校基本方針の策定)
第11条 市立学校は、法第13条の規定により市基本方針等を参酌し、当該学校の実情に応じたいじめの防止等の基本的な方向や取組を定めた方針(以下「学校基本方針」といいます。)を策定するものとします。
2 市立学校は、学校基本方針を策定したときは、これを公表し、保護者及び地域住民の理解と協力が得られるよう努めるものとします。
(いじめ問題対策連絡協議会)
第12条 市は、法第14条第1項の規定により島原市いじめ問題対策連絡協議会(以下「協議会」といいます。)を設置するものとします。
2 協議会は、いじめの防止等に係る関係機関等の連携の推進に関し必要な事項を協議するとともに、当該関係機関等の連絡調整を図るものとします。
(相談体制の整備)
第13条 市は、いじめに関する相談等に速やかに対応するとともに、全ての子ども、保護者その他いじめの防止等に関わる者が安心して相談等ができるよういじめに関する相談体制を整備するものとします。
(市立学校におけるいじめの防止等のための組織)
第14条 市立学校は、法第22条及び第28条第1項の規定により当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、複数の教職員、心理・福祉等の専門的知識を有する者その他関係者で構成する組織(以下「学校いじめ防止組織」といいます。)を設置するものとします。
2 学校いじめ防止組織は次に掲げる事項を所掌します。
(1) いじめの防止等のための対策の推進に関すること。
(2) 重大事態が発生した場合における調査に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、学校または教育委員会が必要と認めるもの
(いじめ問題調査会)
第15条 教育委員会は、法第14条第3項及び第28条第1項の規定により島原市いじめ問題調査会(以下「調査会」といいます。)を設置するものとします。
2 調査会は次に掲げる事項を所掌します。
(1) いじめの防止等のための対策の推進に関すること。
(2) 重大事態が発生した場合における調査に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、教育委員会が必要と認めるもの
(重大事態への対応)
第16条 市立学校又は教育委員会は、重大事態が発生したと認めるときは、市立学校にあっては教育委員会を通じて、教育委員会にあってはその旨を市長に報告するものとします。
2 市立学校又は教育委員会は、重大事態に対処するとともに、当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、適切な方法により調査するものとします。
3 市長は、前項の規定による調査結果の報告を受けた場合において、必要があると認めるときは、自らの権限と責任において再調査を行い、その結果を議会に報告するものとします。
(いじめ問題再調査委員会)
第17条 市は、法第30条第2項の規定により島原市いじめ問題再調査委員会(以下「委員会」といいます。)を設置するものとします。
2 委員会は、いじめに関する市長の諮問に応じ、その解決を図るために必要な調査、審査、審議又は関係者との調整(以下「調査等」といいます。)を行うものとします。
3 市長は、必要があると認めるときは、関係者に対する助言又は支援を委員会に行わせることができます。
4 委員会は、必要に応じて市長に対し、再発防止及びいじめ問題の解決を図るための方策の提言等を行うことができます。
5 委員会は、教育委員会からの協議に応じることができます。
(是正の要請)
第18条 市長は、委員会の調査等の結果を受け、必要があると認めるときは関係者に対して是正を要請するものとします。
2 是正の要請を受けた者は、これを尊重し、必要な措置を講ずるとともに、当該是正の要請に係る対応状況を市長に報告するものとします。
3 市長は、是正を要請したときは、その後の経過の確認を行い、その結果を委員会に報告するものとします。
(委員会への協力)
第19条 市立学校、保護者、保育所等、市民、子ども及び事業者等は、委員会の調査等に協力するものとします。この場合において、子どもへの調査等の協力については、子どもに過度な負担が生じないよう最大限配慮するものとします。
(市立学校以外の学校への協力要請)
第20条 市長は、市立学校を除く学校の設置者又は管理者に対し、いじめの防止等について必要な協力を求めることができます。
2 委員会は、市立学校を除く学校の設置者又は管理者に対し、委員会が行う調査等について、協力を求めることができます。
(個人情報に対する取扱い)
第21条 市は、この条例の施行に当たって知り得た個人情報の保護及び取扱いに万全を期するものとし、当該個人情報をいじめの防止等に関する業務の遂行以外に用いてはなりません。
2 いじめに関する相談等に関係した者は、正当な理由なく、その際に知り得た個人情報を他人に漏らしてはなりません。
(委任)
第22条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定めます。
(財政的措置)
第23条 市は、この条例の目的を達成するため、適切な財政的措置を講ずるものとします。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成27年7月1日から施行する。
(島原市報酬及び費用弁償条例の一部改正)
(次のよう略)



このページの先頭へ 条文目次 このページを閉じる