上の町のはずれにあるコンパクトな総二階建ての木造洋館で、大正12年に建てられました。一、二階とも建物前方部分を洋風造り、後方部分は和風造りとする、和洋折衷となっています。
全国的に洋館ブームが巻き起こった関東大震災後、その波は島原まで押し寄せて、このようなモダンな建物が造られました。
当時、流行の最先端を行く病院や理髪店、写真館などには洋館造りが多く見られたそうです。
戦後は町の床屋さんとして長い間親しまれていましたが、床屋の廃業後は住む人もなく老朽化が進んでいました。
取り壊しも囁かれていましたが、かつての風情を惜しむ声も多く、森岳商店街の活性化事業の一環として再生に取り組むことになりました。
地域の方々の協力のもと、平成12年に「青い理髪舘」としてリニューアルし、今では森岳商店街のまちづくりのシンボルとなっています。
トイレのバリアフリー化など必要最小限の改造にとどめた建物は、昔のまま保全し、外装は皆の心の色に残っている青い色を再現したそうです。また、建物の中へ入ると大きな鏡や椅子など今も床屋さんの道具がそのまま残っていて、当時の様子が偲ばれます。
再生後は訪問者から気軽に親しんでもらえるように、1階は喫茶とお菓子のお店「工房モモ」、2階が休憩室を兼ねたギャラリーになっていて、地元の作家の展覧会などさまざまな企画展の開催の場として利用されています。