水無川・中尾川流域の防災対策
火砕流や土石流被害から市民を守るため、水無川上流には砂防ダム、下流には導流堤を建設しています。平成10年2月には水無川上流の砂防ダム(1号ダム)が完成しました。このダムの総延長870メートルは日本最長で、約100万立方メートルの貯砂能力を有します。氾濫のない河川を目指す水無川の拡幅改修事業は、平成8年3月に完成しました。
また中尾川の砂防ダム群の基幹施設となる千本木1号砂防ダムが12年3月に完成。総延長約476メートル、約37万立方メートルの貯砂能力を有します。中尾川の河口から500メートルの区間の改修事業も12年3月に完成しました。
安中三角地帯のかさ上げ工事
安中三角地帯は、水無川と導流堤に挟まれ、面積は93ヘクタール。平成3年6月からの度重なる土石流で約7割の家屋が全半壊し、農地なども大きな被害を受けました。
嵩上事業は、地元からの強い要望を受け、防災と新たな住宅地、農地などの再生を目的に、平成7年6月に着工したもの。国・県の支援を受け水無川と中尾川に堆積した土砂を利用し、最高9メートル、平均で6メートルを嵩上げして安全性を確保するという、全国でも類を見ない事業で、平成12年3月竣工しました。使用土砂量は526万立方メートルで、総事業費は90億7千万円です。
現在では、農地復旧事業や区画整理事業も着々と進み、11年末からは、マイホーム再建の槌音が力強く響いています。
復興に関する諸事業
島原深江道路の建設
土石流被害に耐える強固な生命線の確保のために国道57号のバイパスとして「島原深江道路」が地域高規格道路に指定されました。この道路は延長約4.6キロメートル、幅員20.5メートル、4車線の高架式で、平成10年2月に秩父が浦町から中安徳町までの1.4キロメートルの区間が、平成11年2月に中安徳町から深江町諏訪名の3.2キロメートルの区間が、暫定2車線で開通しました。
安徳海岸の埋め立て
安徳海岸から沖合いに向かって約200メートル~300メートル、幅800メートル、面積にして約25ヘクタールの範囲を普賢岳山腹から流れ出た水無川流域の土砂を利用して埋め立てました。埋め立て地は、「平成町」と名付けられ、勤労者総合福祉センターが平成11年7月にオープン。その後も島原復興アリーナが12年9月に、火山観光の拠点となる雲仙岳災害記念館が14年7月にオープンしました。
住宅団地の造成
火砕流・土石流による被害の状況から判断して移転の必要性がある地区の居住者や防災対策の実施に伴う移転者などを対象に、恒久的移転対策として住宅団地の造成を行い、船泊団地、仁田団地、宇土山団地の3か所が完成しました。