数多くある湧水の中でも「浜の川湧水」には、4つの区画に区切られた洗い場があって、食料品を洗うところ、食器を洗うところなど各用途によって上から順々に水を利用していくような仕組みになっており、現在もそのしきたりが守られています。
現在みられる島原市内の湧水の多くは、1792(寛政4)年の雲仙岳噴火に伴う群発地震による地殻変動によって誘発されたものといわれています。
市街地においては、地下の地層帯が、火山灰層や砂れき層が互層した良好な帯水層となっていて、源水涵養帯としての透水性に富む山体(眉山)が直前にまで迫っていることから、地下水に強い圧力が加わり自噴しやすい状態となっているため湧出しているといわれています。
市内の各所に祀られた水神様に、水を大切に思い感謝した先人たちの気持ちがしのばれ、それは今に受け継がれてきています。湧水池や水路、洗い場などの環境保全は、現在も地域住民の手によって行われています。
このような住民の手による管理保全や湧水の利用、また、市が進めてきた水辺環境の整備などが評価され、昭和60年に環境庁から島原湧水群が全国「名水百選」の一つに、また、平成7年には国土庁から「水の郷」に選定されました。
「浜の川湧水」に隣接して、島原名物かんざらしの名店「銀水」があります。平成28年8月6日、20年近い時を経て、観光客と地域住民の交流の場として、「湧水」による「島原らしさ」を演出できる新たな観光スポットとして、島原市地域おこし協力隊による地域活性化の発信拠点として、復活しました。