「旧島原藩日記(松平文庫所蔵資料)」
旧島原藩日記は、寛文(かんぶん)九年(1669年)、松平忠房の就封から明治までのおよそ二百年間の、歴代藩主以下庶民の暮らしをはじめ、藩内や隣国のさまざまな出来事、江戸幕府との関係など貴重な記録が記されています。
全1409冊が現存し、松平文庫に1199冊(松平文庫所蔵分631冊、猛島神社寄託分568冊)、慶応大学に210冊保管されています。
松平文庫と猛島神社が所有するものは、昭和58年に島原市の文化財に指定されています。
古い文書である為、虫食いなど破損があるものは、判読が出来るように修復しています。
崩し字で書かれている為、判読は容易ではありませんが、翻刻本(ほんこくぼん)も刊行されています。
巻一は寛文十一年(1671年)から延宝(えんぽう)四年(1676年)まで、巻二は天和(てんな)二年(1682年)から天和四年(1684年)まで、巻三は、貞享(じょうきょう)元年(1684年)から貞享五年(1688年)まで翻刻され、主な内容は、
「巻一」…松平忠房の初参勤にあたり藩士に怠りなく勤めを果たすこと。日照り続きで鷹島権現(たかしまごんげん)へ雨乞いをしたことなど。
「巻二」…藩内の不作、江戸藩邸の火事などで財政事情が思わしくないので倹約することなど。
「巻三」…将軍徳川綱吉が出した「生類憐れみの令」にについて、高札(こうさつ)や御触れ(おふれ)によって周知を図っていること。その一方、豊州島原領(現:豊後高田市)から届いた真鶴を料理して食べたことなどが記されています。
なお、旧島原藩日記の翻刻書は島原図書館2階の松平文庫で販売しています。
(『広報しまばら』平成23年8月号「ふるさと再発見」)
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【写真】旧島原藩日記(松平文庫所蔵資料) |