「宗門御改影踏帳(しゅうもんおんあらためかげふみちょう)」
今回紹介する『影踏帳』は、通常「かげふみちょう」と呼んでいますが、「絵踏」から連想して「えぶみちょう」とも読めそうな資料です。1613年(慶長18)、江戸幕府はキリスト教を禁止する法令(禁教令)を発布し、教会の破却や宣教師の追放が実施されるとともに、キリシタンの摘発を目的とした宗門改が行われました。その中で、聖画などを踏ませる絵踏(影踏)を行い、キリシタンでないことを証明させました。
ちなみに、その踏ませる絵のことを「踏絵」といいます。
島原では当初、毎年正月と7月に宗門改が行われていましたが、後に正月のみに行われるようになります。宗門改は町や村毎に実施されますが、影踏帳は町・村の中の組や名(みょう)毎に宗派別に作製されます。各檀家の名前、出生地、年齢の書上と押印をし、その人たちが全てキリシタンでないということを檀那寺(だんなでら)が証明したうえで宗門方の役人に届け出る形を取ります。そのため、当時の領内における家族構成や人口などを知る手がかりにもなるのです。
写真は1832年(天保3)作製の、隈田村里坊名(くまだむらさとぼうみょう)(今の南島原市西有家町)の曹洞宗のものです。裏紙を再利用しており、村で保管する控として作製されたものでしょうか。控にしては、押印されているのが気になる資料です。
(松平文庫学芸員 吉田 信也)
(『広報しまばら』平成26年2月号「ふるさと再発見」)
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【写真】宗門御改影踏帳(しゅうもんおんあらためかげふみちょう) |