令和7年度 施政方針
令和7年3月島原市議会定例会の開会に当たり、令和7年度における市政運営の方針並びに当初予算の大綱等について施政方針を申し述べ、市民皆様並びに議員各位のご理解とご協力をお願いする次第であります。
少子高齢化の急激な進展や長引く物価高騰の影響等により、今後の地方存続や地域経済の維持への岐路にあるといえる今日、市民の生命と財産を守り、安全・安心を届け、未来の子ども達へ引き継ぐふるさとを創り、育てることが、今の私に課せられた最大の使命であります。
このような中、島原城築城400年の節目であった昨年12月20日には、島原城跡が国史跡の指定答申を受け、嬉しいお知らせを市民皆様に届けることができました。これからも「市民と街が主人公の島原」を目指し、立ち止まることなく、積極果敢に市政に取り組んでまいりますので、市民皆様におかれましても引き続き市政運営にご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。
さて、我が国経済は、総合経済対策の効果が下支えとなって、賃金上昇が物価上昇を上回り、個人消費が増加するとともに、企業の設備投資も堅調な動きが継続するなど、引き続き、民間需要主導の経済成長となることが期待されております。
また、地方財政におきましては、物価高への対応や少子化が深刻化する中、社会保障関係費の増加はもとより、賃金上昇による人件費の大幅増、こども・子育て政策の強化やデジタル化、脱炭素化、地方創生の推進、防災・減災対策等に係る歳出増が見込まれており、全国市長会など地方6団体が発表した令和7年度地方財政対策についての共同声明によりますと、国と一体となって最重要課題である人口減少対策と地方創生の再起動に全力で邁進していくとされております。
本市は、島原市第五次行政改革大綱に掲げる「島原の未来を創る市政運営の実現」を目指し取り組んでおり、令和7年度一般会計当初予算は、「市民と街が主人公!誰もが笑顔のまちづくり!」をテーマとして編成し、島原温水プール整備事業や児童手当給付費、障害者自立支援給付費に係る経費、県央県南広域環境組合負担金の増等により過去最大の278億2,100万円となり、国民健康保険事業など3つの特別会計を含めた当初予算の総額は、約348億8,400万円で前年度から大幅増となったところであります。
令和7年度の当初予算編成に当たっては、人口減少対策や子育て支援などの重点施策を中心に予算配分する一方で、燃料費等の価格高騰や賃金上昇の影響を考慮し、さらには、少子高齢化に伴う社会保障費や老朽化が進む公共施設の改修等に係る経費が大幅に増加したことから、必要な経費の確保に苦慮したところであります。
厳しい財政状況の中、ふるさと納税をはじめとした自主財源の確保とともに、「地方創生」をはじめとした国、県などの重点施策の動向に常にアンテナを張り、本市にとって有利な補助金や交付金などの特定財源の確保に努めてまいります。
企業誘致や新たな地域コミュニティづくり、若者の出会い対策、子育て支援など、特に重要な施策につきましては、それぞれの部や課の垣根を越えて、お互いが支え合い、協力し合うとともに、「若手職員によるプロジェクトチームの活用」も含め、スピード感を持って市全体で取り組むよう努めてまいります。
以下、重点的な施策について、部門ごとに申し上げます。
1 総務部門
人口減少問題は、本市におきましても最重要課題であることから、若年層の人口増加のための支援や結婚を希望する人への支援、子育て世代への支援など、総合的な人口減少対策事業に取り組んでまいります。
取組の内容として、移住の推進については、テレビ番組やCMにより全国から注目を浴びている島原鉄道「大三東駅」等も活用しながら、SNS等により「しまばら暮らし」の良さを効果的に発信するとともに、移住希望者が求める要望に応じ、「空き家バンク」登録物件のほか空き店舗、空き倉庫の情報提供や「お試し住宅」の活用、オーダーメイドツアーの実施など、きめ細かな支援を行ってまいります。
また、島原の魅力を効果的に情報発信するため、映画やドラマ、CMなどのロケ誘致を行い、きめ細かな撮影サポートを行ったことにより、多くの撮影が島原で行われております。映像作品を通して、広く島原の魅力を発信するとともに、市民皆様が島原の魅力を再発見するきっかけとなり、郷土愛の醸成にもつながるものと感じております。今後も島原の活力になるよう引き続きロケツーリズムを推進してまいります。
生活交通路線である公共交通機関を維持するため、経営が厳しい島原鉄道に対し、バス路線の維持費を助成するほか、鉄道の存続と安全性の確保を図るため、安全輸送設備等整備に係る事業費について国・県・沿線3市で補助を行うほか、鉄道事業の運営に係る支援も沿線3市で行ってまいります。
コミュニティバス「予約・あいのり・たしろ号」は、多くの市民の方に利用され、今や市民の足として欠かせない移動手段となっております。今後もEV車による脱炭素社会の実現を目指し、市民に寄り添う公共交通機関となるよう停留所の追加や増便などの利便性向上に努めるとともに、不測の事態に備え、乗客や地域の安全・安心のためAEDの設置など更なる機能の充実を図ってまいります。
デジタル化については、国が進める自治体システムの標準化に取り組み、住民サービスの向上及び行政の効率化を目指してまいります。また、近年増加の傾向にあるサイバー攻撃などから市民の大切な情報を守るため、セキュリティ対策を強化するとともに、安定した情報システム運用に取り組んでまいります。
また、パソコンやスマートフォンを使って、いつでもどこでも住民票の写しや税の証明書などの申請ができる「行かない窓口」や、マイナンバーカードなどを使って、申請書の手書きによる負担を軽減する「書かない窓口」の利用促進など、市民が便利さを実感できる行政サービスを実現するため、デジタル技術を使った取組を積極的に進めてまいります。
マイナンバーカードの普及については、市民のほぼ全員にマイナンバーカードを取得いただくことを目標に、公民館や事業所等への出張申請サポートに加え、障害・病気・けが・要介護状態など、やむを得ない理由で窓口に出向くのが困難な方に対し、職員がご自宅に訪問し交付申請受付を行うなど、市民が取得しやすい環境整備を行ってまいります。
また、行政サービス窓口「しまばらん窓口 とるっと」では、引き続きパスポート業務や各種証明書発行業務、マイナンバーカードの申請受付及び交付を行うなど、今後も利便性の向上を図ってまいります。
市の広報については、市民皆様が島原を好きになってもらえるような分かりやすく楽しい「広報しまばら」作成に取り組むほか、市ホームページの充実やSNSを活用した更なる情報発信の強化を図り、島原の魅力を市内外へ積極的に発信してまいります。
兄弟・姉妹都市との交流については、豊後高田市が1市2町の合併20周年を迎えるに当たり、住民同士の友好交流を通じ兄弟都市の節目の年をお祝いし、両市の良好な関係をより一層促進するため、新豊後高田市20周年記念交流事業を実施いたします。
職員研修については、自治大学校や市町村アカデミー等への派遣研修をはじめ、行政実務や社会経済全般に関する幅広い知識を習得するための研修を充実することで、職員の能力向上及び意識改革を図りながら、時代の変化に対応できる職員の育成を進めてまいります。
市税などの収納については、令和5年度決算で現年度分収納率が市税で約99.0%、国民健康保険税で約96.0%と一定の水準を維持しており、今後とも収納率の向上に取り組み、税収の確保に努めてまいります。
市有財産については、自主財源確保を図るため未利用地の売却を積極的に進めるとともに、公共施設等総合管理計画に基づく公共施設の適正な管理に努めてまいります。
市分譲地の売却促進及び定住促進事業については、仁田住宅団地及び安中地区分譲地を対象として、土地の購入者や住宅新築後の定住者、若年世帯で市外からの移住者に奨励金を交付し、定住促進及び地域経済の活性化を図ってまいります。
地籍調査事業については、平成22年度から実施しておりますが、引き続き、計画的に調査を実施してまいります。
入札・契約事務については、より一層の競争性及び透明性の向上を図るとともに、優秀工事表彰を行うことにより、公共工事の適正な施工の確保や品質向上に努めます。また、電子入札の導入については、国が入札参加申請から契約まで全国一律のシステムを構築する方向性を示しているため、国の動向に沿って取り組んでまいります。
現在、地域コミュニティづくりについては、全国的にも人口減少等により町内会・自治会をはじめ、各種団体の機能の維持や課題解決が難しくなってきております。
そのような中、本市が取り組んでいます地域住民が主体となり、子どもの見守り、ルールに則ったゴミ出し、地域住民同士による日常での声かけなど、子どもからご高齢の方まで顔の見える関係づくりが地域コミュニティの大事な部分と認識しているところであります。
それぞれの地域にあった島原らしい強い絆による地域づくりに取り組むため、国の集落支援員制度を活用し、引き続き安中地区、三会地区に集落支援員を配置するとともに、令和7年度は杉谷地区にも配置する予定であります。以降も、順次他の地域にも集落支援員を配置するなど、各地域の活性化を図ってまいります。
また、コミュニティづくりに女性の力は必要であるため、団体や個人の枠にとらわれず、誰もが地域活動で大いに活躍できるよう引き続き支援を行ってまいります。
町内会・自治会については、地域住民がお互いに協力し合い、支え合いながら、住みよい豊かなまちづくりを実現するため、島原市町内会・自治会連合会と相互に連携しながら、年間を通して様々な取組を行い、町内会・自治会への加入促進を図ってまいります。
防犯対策については、セーフティライト(防犯灯)の整備や防犯意識の啓発活動のための各種施策を講じ、協力団体と連携して見守り活動を実施し、安全で安心なまちづくりを推進いたします。
交通安全対策については、関係機関・団体等と連携しながら、広報活動や交通安全教育を開催し、交通弱者の事故防止対策や交通道徳の高揚を図るとともに、交通事故の防止に努めてまいります。
男女共同参画については、本年3月完成に向けて「第4次島原市男女共同参画計画」を策定中であり、「あなたもわたしもともに認め合えるしまばら」をキャッチフレーズに、男女共同参画リーダー育成事業など各種セミナーを開催するとともに、審議会等への女性の参画推進についても引き続き取り組んでまいります。
消費生活相談については、消費生活相談員資格(国家資格)をもった相談員を配置し、近年、増加傾向にある消費生活をめぐるトラブル等に対応しております。さらに市民が抱える様々な悩みや不安を的確に把握し、適切な助言により問題解決に向けた相談体制の一層の充実を図ってまいります。
2 福祉保健部門
福祉保健分野については、少子高齢化と人口減少社会が進展していく中、著しい社会環境の変化や複雑化・多様化する福祉保健サービス需要に対応し、明るい市民生活の実現に向け、きめ細かなサービスを推進してまいります。
高齢者福祉については、高齢者が安心して暮らし続けられるよう医療や介護、予防、住まい、生活支援のサービスを提供する地域包括ケアシステムの更なる深化・推進に向け、関係機関と連携し取り組んでまいります。
障害者福祉については、障害者総合支援法に基づく福祉サービスの総合的な提供により、障害のある人もない人も地域で安心して暮らせる「共生社会」の実現に向け、関係機関と協力・連携して支援してまいります。
生活保護については、生活保護制度を適正に運用し、就業機会の提供など保護世帯の自立を推進いたします。あわせて、生活保護受給者以外の生活困窮者に対しても、引き続き関係機関等と連携し、安心して自立した生活が営まれるよう相談や支援に取り組んでまいります。
児童福祉については、令和7年3月に策定する「島原市こども計画」に沿って、全ての妊産婦、子育て世帯、こどもに対し、出産前から子育て期にかかる切れ目ない支援を包括的に行う施設として、令和8年度中に「こども家庭センター」を中心市街地に設置し、周辺のまちの賑わいと協調しながら、利便性も兼ね備えた施設を目指します。
昨今の地域コミュニティなど人と人との支え合いやふれ合いが低下している現状が子育てに大きく影響していることを踏まえ、親育ちへの情報提供や妊娠期から小学校1年生までの「はじめの100か月」に豊かな遊びと体験の獲得や親子の愛着形成の手助けに重点を置く支援を充実してまいります。
また、豊かな知恵を持つ高齢者の方のご協力を頂くことで、子育て環境に厚みを持たせるとともに、全ての市民が気軽に立ち寄り、世代間の交流や情報交換・相談ができる地域の拠り所となるよう準備を進めてまいります。
少子化及び家庭や地域の養育力の低下による子育て家庭の孤立化、経済的不安など厳しい子育て環境の中でも全ての家庭が安心とゆとりをもって子どもを産み、子育てを楽しむことができ、将来の地域社会を支える子どもが健やかに成長できる環境の整備を進めてまいります。
「とことん子育てにやさしいまち島原」の更なる実現のため、第2子以降の保育料の完全無料化や副食費の助成、乳幼児から中学生までの医療費の現物給付などの経済的支援、次世代を担う児童の健全育成や子育て支援の充実を図るとともに、ひとり親家庭に対する生活の安定や自立のための支援を推進してまいります。
母子保健については、妊産婦健診や産後ケア事業、離乳食教室をはじめとした各種教室、乳幼児相談などを行い伴走型相談支援の充実を図るほか、妊婦のための支援給付金を活用した経済的支援を実施し、安心して出産・育児ができる環境づくりを推進してまいります。
また、不妊治療や不育治療を受けられる方の経済的負担の軽減を図るため、医療費の助成を行い、子どもを望まれる方の支援を行ってまいります。
医療対策については、医師会等の関係機関と連携し、市民が安心できる救急医療体制の維持・充実、看護師などの医療人材の確保を図ってまいります。
市民の健康づくりについては、健康増進計画及び食育推進計画に基づき、健康づくり推進員、食生活改善推進員協議会をはじめ、関係団体と連携し、市民との協働により取り組むとともに、各種がん検診や人間ドック、成人歯科検診などの健康増進事業にも取り組んでまいります。
予防接種事業については、定期予防接種では乳幼児の予防接種のほか子宮頸がんワクチン、高齢者を対象とした新型コロナや帯状疱疹、インフルエンザの予防接種など15種の接種勧奨と実施を、任意予防接種では乳幼児から中学生までのインフルエンザ予防接種助成事業を継続して実施し、社会全体の感染症のまん延予防及び個人の発病や重症化予防に取り組んでまいります。
国民健康保険事業については、都道府県単位化に伴う事務事業を円滑に遂行するとともに、ジェネリック医薬品の普及や特定健康診査の受診率向上に努めてまいります。また、糖尿病性腎臓病を原因疾患とする人工透析への移行を防止・遅延することを目的に、糖尿病性腎臓病重症化予防事業を実施し、医療費の適正化に取り組んでまいります。
後期高齢者の保健事業については、人生100年時代の本格的な到来を見据え、運動の継続や栄養状態の改善、社会参加の促進などのフレイル予防対策に取り組み、高齢者の健康づくりを支援いたします。
あわせて、医療費削減や健康寿命の延伸を目的として高齢者の健康増進のための保健事業と介護予防事業を一体的に取り組んでまいります。
3 環境部門
地球温暖化対策については、本市は令和5年4月に「島原市ゼロカーボンシティ宣言」を行い、脱炭素社会実現を目指すことを表明いたしました。これ以上の地球温暖化を食い止め、2050年までに本市の目標である9万トンの温室効果ガスを削減するため、本年度中に「島原市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」を策定し、行政・市民・事業者が一体となった取組を推進してまいります。
また、連携協定を締結している長崎総合科学大学をはじめ、関係機関と連携し、家畜糞尿や野菜残渣等を利用したバイオマス発電事業の導入に向けた調査・研究を早急に進め、市民の足である「EVたしろ号」への電力供給に活用するなど、クリーンエネルギーの地産地消の仕組みづくりに取り組んでまいります。
廃棄物処理については、生ごみの水切りや古紙類、容器包装プラスチック等の分別の徹底、草木ごみの乾燥排出等を引き続き周知するとともに、事業系一般廃棄物の減量化を目指す「オフィスダイエット作戦」として、主に調理の際に出る生ごみや食べ残し、古紙類の減量化について事業所を個別訪問して呼びかけ、民間と一体となったごみ減量化に引き続き取り組んでまいります。
あわせて、食品ロスの削減などに取り組み、ごみ処理経費に要する財政負担を軽減することを目標として、可燃ごみの排出量1人1日850グラムを目指し、「4万人のごみ減量プロジェクト」に引き続き取り組んでまいります。
また、収集運搬業務の更なる効率化を図るため、ごみ収集のステーション化を引き続き推進してまいります。
資源・不燃ごみについては、島原リサイクルプラントで中間処理した後、島原地域広域市町村圏組合で処理するほか、リサイクルできるものは資源化に努めているところであり、今後も市民皆様への周知を徹底し、再資源化の推進を図ってまいります。
環境衛生対策については、島原半島窒素負荷低減計画に係る飲用井戸水の水質検査や地下水の湧水量調査を実施するほか、野犬捕獲や不法投棄防止の周知等を通じて、生活環境の向上を図ってまいります。
また、市民生活に不可欠な施設である、しまばら斎場や前浜クリーン館についても設備の機能を維持するための更新、修繕等を計画的に実施し、健全な管理・運営に努めてまいります。
4 農林水産部門
農林水産業は、食糧を国民に供給するうえで大変重要な役割を果たすとともに、本市地域経済の活性化を進めるうえで極めて重要であります。
しかしながら、最近の消費動向の多様化や国際的な原材料価格の上昇及び輸入物価の上昇による農業生産資材や飼料、燃油等の高騰による生産コストの増大に加え、農林水産物の価格が不安定であるなど、将来的にも農林水産業を取り巻く情勢は厳しいものがあります。
このような中、本市の農業については、県下随一の農業地帯である強みを生かし、元気で豊かな産地を目指すため、経営基盤の強化を重点施策として、国・県の補助事業などを積極的に活用し、経営規模の拡大や農作業の省力化、生産コストの縮減、先進技術を活用したスマート農業や次世代施設園芸等の促進を図ってまいります。
あわせて、規模拡大に必要な労働力の確保対策として、労力支援システムの強化に努めるとともに、担い手への農地集積、集約化等の推進を図り、本市農業の競争力強化に努めてまいります。
担い手対策については、本市は比較的農業後継者に恵まれた地域でありますので、引き続き、経営開始資金や経営発展支援事業など、新規就農者に対する助成を活用し、次世代を担う若手農業者の更なる育成を図ってまいります。また、婚活支援についても島原で働く若い農業者の個性と自然の中で働ける農業の魅力を多くの人に理解してもらえるような出会いの場を提供してまいります。
有害鳥獣による農作物への被害防止対策については、引き続き猟友会や県と連携した捕獲体制の強化と侵入防止柵の整備を進めてまいります。
畜産関係については、鳥インフルエンザや豚熱などの家畜伝染病の予防と安定的な畜産振興を図るため、家畜飼養施設における衛生管理の徹底に努めるとともに、優良な家畜の導入等により、生産基盤の維持・拡大を進め、競争力の強化と経営の維持・安定を図ってまいります。
耕地関係については、基盤整備事業の実施により担い手の経営規模拡大、耕地利用率の向上や高収益作物の導入による農業所得の増加など、事業による一定の効果が得られており、これにより農業後継者の定着にもつながり、地域に活力が生まれております。
現在、県営基盤整備事業により三会原第4地区、中原・寺中地区及び一野地区が事業を実施中であり、引き続き円滑な事業の推進を支援してまいります。また、東大地区においても、本年度に事業採択され、事業実施に向け地元や関係機関と一体となって取り組んでいるところであります。
なお、都市部の農地についても、都市計画区域との調整を行いながら、優良農地の確保に向け基盤整備を検討してまいります。
農業用用水路や農道等については、維持補修・管理に努めるとともに、ため池の防災減災機能の強化を図り、あわせて、農地・農業用施設の維持管理や地域環境の保全を行う地域団体への支援を行います。また、土地改良施設の適切な維持管理や将来にわたる組織の体制強化を図るため、土地改良区合同事務所等への支援も継続してまいります。
林業関係については、今後も引き続き、松くい虫防除対策や市有林・分収林等の健全な育成と保全に努めるとともに、森林環境譲与税の活用により、私有林の整備を促進し、防災機能などの公益的機能を有する森林資源の適正な管理につなげてまいります。
水産業については、漁業者や漁獲量の減少が進む厳しい状況となっているため、引き続き漁業を支援する取組が必要であります。
担い手の確保対策としては、後継者の育成、就業後の漁業定着が必要であることから、県の事業を活用した新規漁業就業希望者の就業研修等の取組を支援してまいります。
漁場生産力・水産多面的機能強化対策事業を活用した干潟耕耘やアサリの放流とあわせ、放流したアサリの食害防止対策を継続して実施し、アマモの保護育成については教育との連携の中で子どもたちや漁業者と共に藻場を復活させる取組により、漁場環境の保全に努めるとともに、有明海栽培漁業推進協議会などと連携し、地域の特性に合った魚種の種苗放流を継続することで、水産資源の確保と漁獲の安定を図ってまいります。
養殖業の推進については、本年度に県と共に整備を支援した大三東地区のワカメ養殖施設により、令和7年度からの水揚げに期待しているところであり、今後も有明海に適した養殖種の可能性を模索し、将来的な漁業者の所得向上に向けて「つくり育てる漁業」を支援してまいります。
これまでトラフグやアワビなどの養殖に活用されてきた島原市陸上養殖施設につきましては、現在、閉鎖している状況でありますが、利活用を図るため、県と連携した施設の情報発信、公募による売却等を進め、民間企業等の知恵や技術の投入に軸足をおいた、二枚貝など新たな魚介類の養殖技術の確立を推進してまいります。
さらに、本年度から取り組んでいる安全で快適な就労環境の創出や水産物の生産性の向上を目指したFRP製浮桟橋についても年次的な整備に向けて準備を進めてまいります。
農林漁業体験実習施設「舞岳山荘」については、絶好のロケーションと豊かで良質な水源を誇る舞岳源水など、施設が持つポテンシャルを生かし、利用される方の快適な環境整備はもとより、大手企業の参入や企業誘致などの民間活力を視野に入れながら、より有効的な活用を検討し、施設の更なる魅力アップや利便性向上を図ってまいります。
5 商工観光部門
商工業については、商工会議所、商工会などの関係機関と連携のもと、地元企業の経営基盤の安定と強化に全力で取り組んでまいります。
中小企業者の経営安定については、商工団体による経営指導等に対する支援をはじめ、中小企業の経営に必要な資金調達を円滑化することを目的とした島原市中小企業振興資金や、事業者の借入に係る利子及び保証料を支援する中小企業振興利子補給制度などの施策に取り組んでまいります。
商店街を含む中心市街地の活性化については、空き店舗と出店希望者のマッチングを支援するしまばら出店応援ナビ制度や、空き店舗への出店に係る改修費等を支援する商店街活性化事業を実施し、持続可能な商店街づくりを推進いたします。
また、大手広場を中心として、近隣商店街や地域住民等と一体となり、市民や観光客が集い、賑わう特産市「島原城大手門市」を開催することにより、中心市街地の賑わい創出と活性化を図ってまいります。
さらに、市内県立高校5校と共に、はみ出せ島原!高校生共創プロジェクト事業を実施し、長崎県をはじめ学校や地域、地元企業等との連携により、各高校の魅力の向上や地域活性化の促進を図ってまいります。
また、市内の県立高校において、専門的な技能を習得し一流の人材を育てるため、本市独自の学科等の設置を目指し、即戦力として社会で活躍できる環境づくりに努めてまいります。
雇用・労働対策については、厚生労働省長崎労働局との連携を更に密にし、人材の確保や育成をはじめ、多様な人材が活躍できる就労支援や雇用の安定を図ってまいります。
また、県や島原公共職業安定所などの関係機関と連携のもと、島原半島企業説明会を開催し、高校の新規学卒者の地元就職を促進するとともに、市内事業所に就職する高校や大学等の新規学卒者やUIターン者を支援する雇用拡大支援事業を実施し、新規雇用の創出と拡大に努めてまいります。
さらに、高齢者の生きがいづくりや意欲と能力をもった高齢者の積極的な社会参加を促すため、島原市シルバー人材センターの円滑な事業運営に向けた支援を行うとともに、勤労者の福祉の増進を図るため、勤労者会館の円滑な運営に努めてまいります。
創業支援については、経営基盤が不安定な創業者に対し、創業支援等利子補給事業補助金により融資に対する支援を行うとともに、創業支援ワンストップ相談窓口「しまばら創業サポートセンター」を通じて、経営面、財務面、労務面など様々なサポートを行うことにより、創業による地域産業の活性化を図ってまいります。
本市経済の発展は、新規企業の立地や既存地場企業の活力増大が大きな原動力になるものと思われることから、本市への企業誘致を実現するため、工業用水に適した優良な湧水などの島原特有の資源をアピールしながら、企業誘致に積極的に取り組み、安定した雇用の場を確保するため、「若者が残りたい!都会から戻りたい!」などの思いが実現できるよう、様々な方向から誘致に取り組んでまいります。あわせて、新規企業の市内への立地や地場企業の規模拡大を促進するため、企業立地促進・雇用創出事業奨励金を活用し、産業の振興と雇用の創出を図ってまいります。
また、アフターコロナにおいて働く場の多様化が加速する中、三大都市圏から本市に一定期間滞在してテレワークを行う方や、本市をサテライトオフィス等の設置候補地の一つとして検討している企業等の現地視察に対し交通費を支援する島原でしてみんねテレワーク支援事業補助金や、事務所開設に係る諸経費を支援するサテライトオフィス等開設支援事業補助金を活用し、本市へのサテライトオフィスの誘致を図ってまいります。
加えて、旧堀部邸等を活用したワーケーション活用事業に取り組むことで、誘致企業と地元企業との交流による産業の活性化や、移住・定住及び二地域居住等による関係人口の拡大を図ってまいります。
物産振興については、島原市産品のブランド化、販路拡大及び新商品開発の3つを大きな柱とし、継続的で丹念な取組を行ってまいります。そのため、新商品開発や品質向上への取組の支援とともに、特産品認定制度の認定品をはじめとする商品群を物産展等で積極的に紹介する特産品認定・催事支援事業を実施いたします。また、「島原市産品振興による地域活性化事業」の推進により、本市で水揚げされるシバエビ・昆布・ワカメなどの水産物や本市で生産される生姜・かぼちゃなどの農産物等を使用した良質な島原の地場産品や特産品に、消費者視点を重視した高付加価値を加えるためのブラッシュアップを行い、農水産業の生産者や製造業者といった異業種間の協力体制を整え、併せて出口戦略(売り先)にも取り組み、都市圏への販路拡大を図ってまいります。
有明の森フラワー公園及び物産館本館については、直営での管理・運営を行い、引き続き来場者に親しまれる公園づくりに努めてまいります。
ふるさと納税については、厳しい財政状況下にある本市において、自主財源を確保する有効な手段としてだけではなく、地元企業の振興にも大きく寄与しております。
全国の皆様から頂いた寄附金は、地域の活性化や教育、福祉の充実、子育て支援など、多くの事業に活用しているところであり、引き続き本市の取組を応援していただけるよう寄附金の使い道や新規事業プロジェクトなどの情報を積極的に発信してまいります。今後は、寄附金30億円の受入れを目標として、地場企業の生産性の向上や事業拡大、魅力ある地場産品の創出につながる新規企業の誘致を行い、官民一体となって、本市の更なる魅力アップにつながる返礼品の開発に取り組んでまいります。
本市の観光関連産業につきましては、コロナ禍前と同水準まで回復してきており、今後の取組としては、多様化する旅行形態や海外からのインバウンド層に対応できる地域の特性を生かした滞在型、体験型、周遊型観光の推進に注力してまいります。
また、令和7年、4度目の再認定審査を受ける島原半島ユネスコ世界ジオパークの資源でもあり、国史跡の指定答申を受けた島原城跡などの歴史的財産をはじめ、湧水庭園「四明荘」に代表される湧水や温泉、雲仙岳災害記念館などのジオパーク関連施設を最大限に活用するとともに、ジオパークをテーマとした九州オルレ島原コースの魅力アップに努めてまいります。
観光客の受入体制については、島原観光ビューローや近隣市をはじめ、様々な観光関係事業者と連携を図り、広域的な観光振興策としてサイクルツーリズム事業による半島及び市内周遊コースの造成や地域の食の磨き上げ事業等に取り組み、滞在時間を長くし、観光消費額を増加させる施策を展開してまいります。
交流人口の拡大については、観光客の多数を占めている福岡方面をはじめ、シリコンシーライン構想による半導体企業が進出している熊本方面からの誘客強化のため、従来のパンフレットによるPRからインターネットやSNSなどの活用にシフトしながら旬の情報を広く効果的に発信するとともに、島原城や武家屋敷などの城下町の歴史や和の文化を体験できる地域特有の観光資源を磨き上げることで、付加価値を向上させインバウンドや富裕層の取り込みにも努めてまいります。
さらに、スポーツキャンプ・合宿や大会等の誘致については、島原復興アリーナや平成町多目的広場、平成町人工芝グラウンドなど施設が充実しており、屋内外を問わず様々な競技において高い評価を受けていることから、引き続き誘致に努めるとともに、新たな競技の誘致にも積極的に取り組んでまいります。
施設の管理・運営については、島原城をはじめ、鯉の泳ぐまち観光交流施設、浜の川湧水観光交流施設、島原温泉ゆとろぎの湯で指定管理者制度を導入しており、指定管理者と連携し、更なるサービス向上を図ってまいります。
温泉給湯事業については、ヒートポンプによる給湯システムの適切な維持管理に努めるとともに、温泉の安定供給と事業の円滑な運営を図ってまいります。
6 建設部門
幹線道路の整備については、活力ある地域づくり、安全で快適なまちづくり、利便性の高い都市づくりを目指し、道路環境の整備を図ってまいります。
なお、中心市街地の活性化を目的とした市道堀町縦線の改良工事においては、用地の約8割が取得済みで、工事においても白土湖通りの市道外港・大手広場線交差点からアーケード側へ順調に工事を進めている状況であり、早期完成に向け取り組んでまいります。
また、島原鉄道廃線跡地を活用した自転車歩行者専用道路の整備については、南島原市と連携を図りながら、令和8年度完成を目指し事業を進めるとともに、完成後の交流人口の増加を見据えてナショナルサイクルルートの認定に向けた取組を進めてまいります。
高規格道路「島原道路」につきましては、島原工区の出平有明バイパスから有明瑞穂バイパスにかけて目に見える形で工事も進んでおり、引き続き早期完成に向けて全線の整備促進を国や県へ強く要望してまいります。
令和8年度までに島原三会インターと大三東インターが完成する予定となっており、インターチェンジ周辺における土地利用については、居住誘導施策として農業振興地域との調整を行いながら防災拠点の整備や住居地域の指定などを検討してまいります。
島原城周辺の無電柱化整備事業につきましては、島原城周辺の景観や災害に強いまちづくりを目的に無電柱化事業による電線の地中化と歩行者に優しい安全で快適な歩行空間の創出のための歩道整備を引き続き実施してまいります。
都市計画道路の整備については、用地の取得状況が親和町湊広場線で約3割、安徳新山線で約8割が取得済みとなっており、工事も順調に進捗している状況で、新湊川の橋梁工事も令和7年度完成見込みであります。今後も引き続き、都市計画道路全線の早期完成に向けた取組を更に進めてまいります。
本市の都市計画については、昭和9年に区域を指定した後、昭和48年に用途地域の拡大、平成8年に用途区分の見直しが行われています。その後は、大幅な見直しは行われておらず、今日の車社会の到来をはじめ、SNSの普及、AI技術の発達、人口減少社会など、社会情勢の変化や現在の土地利用の実情などを踏まえて、今後も持続可能な都市経営のため、豊かな農業地域を守りながら、企業誘致をはじめ、居住や都市機能の誘導など、機能的でコンパクトなまちを目指し、将来を見据えた全体的な見直しを検討してまいります。
白土湖の再生としては、昨年から取り組んでおります白土湖再生プロジェクトを更に推進し、藻対策や湖底の浄化方法などの検討を行い、水の都・島原を体感できる場として、水質改善と湖面を見渡せる環境整備に努めてまいります。
生活排水対策については、令和3年度に公共下水道整備計画を廃止し、合併処理浄化槽による整備計画への方針転換により、令和4年度から本市独自の浄化槽設置費に対する上乗せ補助や宅内配管工事への補助を実施しています。
なお、市民からの高い評価を受け、更なる合併処理浄化槽への転換を促進するため、令和6年度までの時限措置として行っておりました7割補助の時限措置期間を令和7年度まで延長し、今後も県の平均である84.2%を目指し、汚水処理人口普及率の向上に努めてまいります。
空き家問題については、空き家の増加が防犯面などの機能を低下させるだけでなく、管理不全な空き家が周辺住民の生活環境への悪影響にもなることから、第2期島原市空家等対策計画による空き家の「発生予防・適正管理・活用推進」について、関係機関と連携を図りながら進めてまいります。
7 消防防災部門
全国各地で自然災害が頻繁に発生し、その災害が大規模化、多様化、激甚化する中、昨年発生した能登半島地震では、半島地域の交通インフラの脆弱性が顕在化し、公助が入るまでの間、地域住民が自ら支え合い、協力し合って避難生活を送られており、地域に即した新たなコミュニティで、子供から高齢者まで顔が見え、声を掛け合い、支え合う地域の絆の必要性を改めて強く感じたところであります。
そのため、地域で自助・共助を担う自主防災会の組織再編と機能強化を進め、日本一の自主防災会を実現するため、地域の要である消防団や関係機関と連携を図り、各種研修や避難訓練等を実施してまいります。
防災行政無線施設については、主要装置が更新時期を迎えることから、国の財源措置を活用して高機能化を図っており、施設の長寿命化と安定運用に努めてまいります。
あわせて、大型化する自然災害に伴い、避難施設の開設頻度や避難者数が増加していることから、避難所機能の充実を図るとともに、防災食などの災害備蓄品の計画的な配備と、新たなハザードマップの作成・配布による啓発を進めてまいります。
溶岩ドーム対策については、引き続き長崎河川国道事務所による直轄砂防管理が行われており、今後も国直轄機関の存続や九州大学地震火山観測研究センターの観測体制強化を含め、防災関係機関と連携を図ることで、地域における安全・安心がより大きくなるよう安全対策に取り組んでまいります。
眉山対策については、計画的な治山施設の整備促進、堆積土砂の排除や航空実播による植生の回復などが実施され、さらには、豪雨による災害事象シミュレーションのソフト対策についても分析調査を実施いただいており、引き続き林野庁をはじめ、関係機関と連携を図ってまいります。
消防団については、常備消防との連携を図りながら、各種訓練を通じて消防団員の資質の向上やスキルアップに努めるとともに、「管轄区域及び消防団員定数等の見直し」に対しての消防審議会の答申結果を踏まえ、変化する社会情勢に即応した消防団体制の充実強化に努めてまいります。
8 教育部門
教育は、郷土や国の将来を左右する最優先の政策課題の一つであり、郷土の発展を担う誇りと責任を自覚し、国際社会でも活躍できる心豊かで創造性に富み、変化への対応力を身に付けた人材を育成していくことが大事と考えております。
今後とも、噴火災害復興の体験から学んだ「生命・きずな・感謝の心」の精神を引き継ぎ、学校、家庭、地域の教育力を結集して、心豊かで活力ある生涯学習社会の構築と広い視野に立った施策の推進に努めてまいります。
児童生徒の学力の向上については、確かな学力を育むために、国・県に加え、市独自の学力調査を行うことにより、児童生徒の学力の実態を把握するとともに、一人一台端末を活用した授業や家庭学習の改善を図り、一人一人に応じた学習指導に努めてまいります。また、引き続き全ての小中学校へ学習支援員を配置し、特別支援教育の充実に努めてまいります。
英語教育推進については、グローバルな人材育成を目指した英語教育の充実を図るために、引き続き外国語指導助手を配置し、学校の授業に加え、島原市ジオパーク・イングリッシュキャンプやスピーチコンテストの開催など、英語に親しむ機会をつくることで、英語によるコミュニケーションへの関心や能力を養うとともに、英語学習への関心を高めるために、英語検定試験の受験料を支援してまいります。
児童生徒の心の育成については、豊かな感性や情操を育む道徳教育の一層の推進を図るとともに、全ての小中学校に配置している学校司書と連携して読書活動を推進いたします。また、島原半島ユネスコ世界ジオパークからふるさとの自然を学び、ふるさとへの愛着と誇りを持ち、遠く離れた地からもふるさとの発展を願う児童生徒を育むためにふるさと教育の充実に努めてまいります。
いじめや不登校問題については、全国的に増加傾向にある中、いじめアンケート調査の実施をはじめ、全ての小中学校へのスクールカウンセラーの配置や全中学校への心の教室相談員の配置に加え、スクールソーシャルワーカーの有効活用を図ることで、関係機関と連携し、相談体制の充実を図りながら、早期発見、早期対応及び未然防止に努めてまいります。
近年の物価高騰の影響を受け、教育に要する保護者負担も大きくなる中、学校給食については、令和7年度においても食材の高騰分として一人当たり小学生10,800円、中学生11,800円を市で支援することで保護者の負担を軽減する「おいしくいただきます」子育て応援学校給食費支援事業を実施してまいります。また、令和8年度に入学する児童に対し、通学かばんを支給する子育て応援新入学児童通学用かばん支給事業を引き続き実施いたします。
小中学校の将来的再編については、これまでの説明会で頂いた意見を大切にしながら素案を検討し、引き続き地域住民をはじめ、小中学校や就学前の保護者に丁寧な説明を行ってまいります。
部活動の地域移行については、陸上部活動において部員数の減少に伴い、令和7年4月から地域クラブとしての活動がスタートします。これは、外部指導者及び市陸上協会の意向によるものであり、専門的な指導体制や陸上に興味がある生徒への拡充が見込まれます。
小中学校の施設整備については、個別施設計画に基づき、第二小学校、第二中学校の外壁改修及び防水工事を行います。また、学校照明設備については、第二小学校、第三小学校、第二中学校のLED化を行います。
社会教育については、市民一人一人がその生涯にわたって自分に適した手段や方法で学び続けるとともに、学びの成果を適切に生かすことができる社会の実現に努めてまいります。特に公民館については、市民の生涯学習の場を維持しながら地域コミュニティや幅広い活動の拠点としての機能の在り方について、コミュニティセンターへの転換を含め検討してまいります。
島原市ココロねっこ運動については、地域ぐるみの子育てを目的に、豊かな心と郷土愛を育む、強い絆で結ばれた地域づくりに努めてまいります。
また、放課後や夏休み期間中に安全で安心して活動できる子どもの居場所を確保し、主体的な学習習慣を身に付けさせるための活動や体験交流活動の機会とするため、スクールキッズと放課後子ども学習室に取り組んでまいります。
文化の振興については、地域文化の活性化を図るため、市民が主体となった運営を更に充実させながら自主文化事業、美術展、音楽祭、市民文化講座などを開催いたします。
長崎県において開催される国民文化祭「ながさきピース文化祭2025」については、「きもの」の全国大会開催をはじめ、子ども狂言など本市の特色あるプログラムを通じ、地域文化の次世代への継承やふるさとへの愛着、誇りの醸成につなげてまいります。
文化財については、島原市文化財保存活用地域計画に基づき、まちづくりや観光などの他の行政分野とも連携し、市民皆様と一体となって文化財の保存と活用の取組を進めてまいります。
島原城跡の国史跡の指定答申を受け、令和7年度において、国、県、有識者による検討委員会の設立を行い、国史跡の保存活用計画の策定を進めてまいります。現在の文化財保護推進室については、島原城跡の保存と活用、市内各所における圃場整備の進展に伴う埋蔵文化財の調査等をより一層進めるために新たな課を設置いたします。
また、肥前島原松平文庫については、所蔵資料に加え寄贈及び寄託された史料の調査を進め、保存と活用に努めてまいります。
生涯スポーツについては、島原市スポーツ推進計画に基づき、市民一人一人がスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、スポーツを通じて交流するなど、常にスポーツが市民のそばにあるようなまちを目指し、市民体育祭をはじめ、各種スポーツ大会を開催いたします。
ジュニアスポーツについては、トップアスリートが夢に向かって努力することの大切さなどを子どもたちと一緒に語り合う「夢の教室」を引き続き開催し、子どもたちの心の教育の充実と競技力向上に努めてまいります。
また、本市は「スポーツ国際交流都市」として、国内外からのトップレベルのスポーツ選手の合宿や大会等の誘致を積極的に行い、スポーツによる交流人口の拡大と地域活性化に努めてまいります。
スポーツ施設の管理・運営については、適切な維持管理を行い、更なるサービスの向上を図ります。特に島原市温水プールについては、市民に親しまれるプールとなるよう完成に向けて整備を進め、令和7年秋のオープンを目指してまいります。
9 水道部門
水道事業については、「安全でおいしい水をいつまでも」を基本理念に、安全、強靭、継続を3つの柱とし、持続可能な水道事業経営のため、令和7年度から水道料金を改定し、経営基盤の強化を図ってまいります。
また、今後更に増加する老朽施設等の更新需要に対応するため、令和7年度は、老朽管路の更新事業を主として実施し、管路更新率・耐震化率及び有収率の向上に努めるとともに、今後の事業の更なる効率性と合理性を確保するため島原市水道事業基本計画及び経営戦略の更新を行い、健全な事業経営に取り組んでまいります。
以上、令和7年度における各部門の主要な施策について、申し述べてまいりました。
私は、平成24年の就任以来「オンリーワンの島原市」を目指して「市民目線の政治」をモットーに独自の施策を実行してまいりました。
このことは、これからも変わることなく市民の皆様と共に島原の未来を見据えながら「市民と街が主人公の島原」へと発展していきますようスピード感をもって全身全霊で取り組んでまいりますので、市民皆様並びに議員各位におかれましては、なお一層のご理解とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。
令和7年2月28日
島原市長 古川 隆三郎