「猿田彦大神(さるたひこおおかみ)と石祠(せきし)」
鉄砲町には、石垣以外にも、道祖神猿田彦大神や石祠などの石造物があります。
猿田彦大神は、日本神話にも出てくる猿田彦神が江戸時代中期ごろから庚申信仰(こうしんしんこう)と習合(しゅうごう)し、邪霊を防ぐ道祖神(どうそしん)として信仰されるようになったものと言われています。鉄砲町では、街区(がいく)の鬼門(きもん)にあたる北東もしくは南西の角に設けられたと伝えられ、後世の移築などで必ずしも当初からそのままの位置にあったとは言えませんが、その多くは街区の北東もしくは南東に残されています。
石祠は、地神などが祀られたものと考えられ、各家の守り神です。宅地の北東もしくは南西角に設けられたものが多くあります。猿田彦大神が道路沿いの悪霊払いに用いられたのに対して、石祠は各宅地の守り神として設けられたようです。
鉄砲町の石造物は、銘文(めいぶん)などの彫り込みが少なく、いつの時代に設けられたものかが明らかではありません。しかしながら、住民の生活を見守り続けてきた石造物は、地区の民俗信仰を示す重要な遺産です。
○参考文献:「島原市鉄砲町伝統的建造物群保存対策調査報告書」島原市 平成21年3月
(『広報しまばら』平成24年10月号「ふるさと再発見」)
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【写真】猿田彦大神、石祠 |