「晴雲寺(せいうんじ)」
高岳山晴雲寺(こうがくさんせいうんじ)は、鉄砲町の北西に位置する曹洞宗寺院(そうとうしゅうじいん)です。もともと加藤清正家臣の荘林隼人(しょうばやしはやと)が伯父・晴雲真高居士(せいうんしんこうこじ)の菩提(ぼだい)を弔うため慶長6年(1601年)に肥後熊本に建立した寺で、開山は一峰玄鉄和尚(いっぽうげんてつおしょう)です。晴雲寺が誕生して24年余のち、開祖である荘林家が政変により没落し、寺は困窮しましたが、縁あって肥前島原に移転します。当初は杉谷杉山寺跡にありましたが、松倉重政から現在の境内地(けいだいち)に土地を賜り、玄鉄和尚自らが山野を開墾し、晴雲寺を再興しました。堂宇が完成したのは、寛永5年(1628年)のことでした。
さて、現在の晴雲寺ですが、境内はほぼ東面し、入り口に山門、奥に本堂が建ちます。
山門は一間一戸薬医門(いっけんいっこやくいもん)で、形式から昭和戦前の建物と考えられます。本堂は、一重の屋根で大棟(おおむね)の短い入母屋造(いりもやづくり)、桟瓦葺(さんかわらぶき)の建物。曹洞宗寺院の典型的な形式です。梁(はり)に彫られた渦・若葉の形状から、本堂の建立年代は18世紀後期であろうと推定されています。
また、晴雲寺には、市指定文化財「即非筆書(そくひひっしょ)『髙岳山(こうがくさん)』および同扁額(どうへんがく)」、同じく市指定文化財「隠し十字入地蔵」があります。貴重な文化財が大切に守られ、その歴史を伝えています。
○参考文献:山﨑天海『高岳山 晴雲寺歴代記』晴雲寺古荘林 平成23年8月
「島原市鉄砲町伝統的建造物群保存対策調査報告書」島原市 平成21年3月
(『広報しまばら』平成25年3月号「ふるさと再発見」)
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【写真】晴雲寺本堂 |