火山は時に大きな災害をもたらしますが、その一方で普段は私たちに多くの恵みを与えてくれます。島原半島の変化に富む景観や、温泉、地域の産業は、雲仙火山を初めとする地質遺産からの恩恵に他なりません。
現在みられる島原市内の湧水の多くは、1792(寛政4)年の雲仙岳噴火に伴う群発地震による地殻変動によって誘発されたものといわれています。市街地に おいては、地下の地層帯が、火山灰層や砂れき層が互層した良好な帯水層となっていて、源水涵養帯としての透水性に富む山体(眉山)が直前にまで迫っている ことから、地下水に強い圧力が加わり自噴しやすい状態となっているため湧出しているといわれています。
島原温泉は島原半島の東側に湧く温泉で、その泉質は炭酸水素塩泉です。源泉の温度が20~40度程度と低いため、いったん 60℃程度まで加熱した後、市内の地下に埋められた約1万メートルの給湯管を使って浴場やホテル、一般家庭に送られています。この温泉は入浴だけでなく、 飲用できることも大きな特徴です。島原観光ホテル・小涌園内には、通称「サイダー泉」と呼ばれる炭酸水素塩泉が自噴しており、1000mg/lを超える大 量の遊離した炭酸ガスを含んでいます(*残念ながら現在閉鎖されています。)。この温泉に手を入れると、サイダーのように二酸化炭素の泡が肌に付着します。市内各所には温泉水の飲用場所が設置さ れているほか、共同浴場、無料の足湯もあり、観光客の人気スポットになっています。
有明海の干満の差を利用して行う伝統的な漁具で、満潮時に来遊してきた魚が干潮時に逃げ遅れたところを捕まえます。現在でも半円形の石垣で囲まれた石干見(スクイ)を、地元の住民によって大事に保存されています。