ジオパーク島原市
ジオパークTOP  >  ジオパーク  >  自然・風土  >  湧水  >  水の都しまばら「湧水の誕生」

水の都しまばら「湧水の誕生」


量石

島原市指定有形民俗文化財「量石」(はかりいし)

~ 水の都 ~

雲仙岳と有明海に囲まれた自然豊かな島原市

市内のいたるところから こんこんと湧き出る清らかな水

この豊富な湧き水は島原湧水群とされ 市民の生活に潤いと豊かさをもたらしています

 

湧水の誕生

現在島原市には70ヵ所を超える湧水地があり、その湧水量は一日20万tといわれている。これらの湧水は湧き出した時期によって、大きく二つに分けられる。
古くからあるのが溶岩泉。難透水性の地表に溶岩などの透水層が重なり、その間を通って流れ出てきたものである。島原大変以前からあるもので、武家屋敷街、城内、焼山や上の町にある湧水がこれにあたる。
そしてもう一つが扇状地泉。寛政4年(1792)の島原大変による雲仙岳噴火と眉山の大崩壊による偶発地震で誘発されたもので、眉山崩壊直前の地殻変動によってできた地割れ部分から自噴を始めたという。
市街地の地下は火山灰層などが蓄積した難透水層と、水を通しやすい砂れき層が交互に重なった帯水層になっている。それは雨水を吸い込み、地下水を作り出しやすい状態となっている。島原大変時の地殻変動により、水の通り道が塞がれたり、地割れが生じたことで、市街地から水が湧き出るようになった。火山灰層や砂れき層でろ過された地下水は、非常に繊細で良質な湧水となって湧き出ている。
この歴史的大災害は人々に大きな被害を与えたと同時に、「湧水」という自然の恵みをもたらしてくれた。
当時の古町と新町(今の商店街中心部)に集中する湧水がこれにあたり、大変直後は土砂で覆われ津波に洗われ、町屋が一軒もなかった。その後の復旧作業により、湧水地や水路の整備が行われ、現在の様々な湧水の姿を見せてくれている。

 

自然の恵みに感謝

湧水(いのうえ)
桜門湧水

白土湖洗い場
白土湖洗い場

島原市では上下水道や農業用水などの産業用水のほとんどを地下水でまかなっている。しかし水道が普及した現在でも、浜の川湧水や白土湖桶川洗い場のように、共同洗い場を生活用水として活用している所もある。
また市内随所にある湧水スポットには、市内外を問わず毎日沢山の人が水を汲みに訪れる。水温は15℃前後であり、炭酸ガスやミネラルを程よく含み、「島原の水はおいしい」と評判だ。

また豊富な水に感謝する気持ちの表れとして各所に水神様が祀られている。その姿は多種多様で、弁財天・稲荷・蛇などの信仰が変形したものと考えられ、地域の人々によって大切に管理されている。
写真(上)桜門湧水、写真(下)白土湖洗い場

 

 

水の住むまち

浜の川湧水しんわの泉

浜の川湧水

しんわの泉


水頭の井戸速魚川

水頭の井戸

速魚川(はやめがわ)

 

島原市は昭和56年に国土庁(現国土交通省)により水緑都市モデル地区に指定されている。昭和60年には環境庁(現環境省)により「日本名水百選」にも選定された。
平成6年には「島原中心市街地街づくり推進協議会」が発足した。「湧水を楽しみながら街中を散策する」を念頭に、湧水を活かした落ち着きと風情のある街並みづくりを行い、地域住民や来訪者にとって魅力のある環境づくりを目指している。このようなことが評価され、平成7年には国土庁(現国土交通省)より「水の郷百選」に選定されている。
現在は生活排水の流入等による水質の汚濁、噴火災害やボーリング等による湧水量の減少が懸念されている。この伝統ある島原の湧水を守り育て後世に引き継いでいくためには、市民一人一人が今まで以上に水に親しみを持ち、より水質の保全にも努めていかなければならないだろう。
 
<ご紹介した湧水スポットの地図>
 



 
(ID:2666)
アドビリーダーダウンロードボタン
新しいウィンドウで表示
※資料としてPDFファイルが添付されている場合は、Adobe Acrobat(R)が必要です。
PDF書類をご覧になる場合は、Adobe Readerが必要です。正しく表示されない場合、最新バージョンをご利用ください。
〒855-8555  長崎県島原市上の町537番地   TEL:0957-63-1111   FAX:0957-64-5525  
Copyrights(C) 2015 Shimabara City Allrights reserved.